農水省は2兆3000億円弱の予算のうち、6000億円近くを水田に関連する事業に使っている。ジャーナリストの山口亮子さんは「北陸などの米どころほど農業産出額が低いにもかかわらず、多額の助成金が投入されている。コメに税金を投入する構造を変えなければ、日本の農業は立ちゆかなくなる」という――。
農業と食料の専門家/浅川芳裕 @yoshiasakawa 世界の農業・食料問題のディープな視点を提供します。たまに中東問題やアメリカ政治などもカバー。主著は、『日本は世界5位の農業大国』、大統領選勝利を予言した『トランプ 黒の説得術』、『カイロ大学』など多数。日ごろは農業アドバイザー、時としてジャーナリスト。カイロ大学文学部(小池都知事と同じ学部の後輩)中退 農業と食料の専門家/浅川芳裕 @yoshiasakawa 食料不足どころか、世界の小麦在庫、積み上がり中。史上最高の約3憶トンへ(米農務省の6月予測)。原因は、外食・観光の激減と在宅人口の増加だ。これだけ動かず消費カロリーが減れば、摂取量も減少する。 一方、小麦生産量予測は昨年と同水準。穀物3大情報機関(USDA/IGC/AMIS)ともに同見解である 2020-05-10 02:47:20 農業と食料の専門家/浅川芳裕 @yoshia
厚生労働省は31日、健康増進法に基づき食物摂取量などの目標値を定める「健康日本21」を10年ぶりに改訂し、公表した。2024年度以降の1人1日当たり摂取量として、野菜は350グラムと前回と同じだが、果物は200グラムと事実上2倍に増やした。一方、前回目標値と実際の摂取量には開きがあり、同省はアクションプランを策定して目標の達成を図る方針。 同省は21世紀入りした2000年度から食物摂取量や睡眠時間など約50項目の目標値を設定している。今回は13年度の改訂以来。19年11月に行った「国民健康・栄養調査」や国内外の研究論文などを基に目標値を定めた。 野菜は前回目標350グラムに対し国民調査では281グラムと2割も下回った。果物は「100グラム未満を3割にする」目標だったが、調査では6割に上った。同省は改訂に当たり「野菜は前回目標が妥当」と判断。果物は目標値が少な過ぎたとし、表現も変更して「20
レタスの最大の産地は外国人なしに成り立たない 「レタスの生産量は日本一ですが、みなさんの力を借りなければ、農家さんも経営が成り立ちません」 自らのホームページで外国人にこう呼びかけるのは、レタスの出荷量が全国トップの長野県川上村。標高1000メートルを超え冷涼な気候であることから、レタスや白菜といった葉物野菜の生産が盛んだ。 収穫をはじめ、作業には多くの人手を要する。しかし「重労働で、日本人のアルバイトには敬遠される状況にある」と村役場産業建設課長の原恭司さんは嘆く。そこで貴重な労働力となっているのが、外国人だ。コロナ禍前は住民の2割を占めるまでになり、新宿区よりも外国人の割合が高い村として紹介されてきた。 「農家戸数は400戸余り。農業に従事する外国人は例年およそ1000人なので、農家1戸当たり2、3人の計算です」(原さん) コロナ禍で外国人の割合は20→5%台に コロナ禍では、水際対策
政府は日本産ホタテの殻むきなどの加工業務を受刑者の刑務作業で行うことを断念した。宮下一郎農相は27日の閣議後記者会見で「刑務作業による産品の米国などへの輸出は相手国側の制度上できないことが判明した。輸出先の転換を推進する観点から困難」と理由を説明した。国内向けの加工作業についても「輸出向けとの分別コストが加わる」として、刑務作業の活用は困難と判断した。 日本産ホタテは、殻付きのまま中国向けに輸出されることが多く、一部は中国で加工され米国に再輸出されてきた。だが、中国は東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に反発し、日本産水産物の輸入を全面的に停止。中国で加工処理ができなくなっている。このため、政府は中国以外の国に直接輸出できるように国内での加工を進めようとしている。国内も人手不足が加速しているため、受刑者の刑務作業の一つにホタテの殻むきなどを追…
実際の漁獲量をはるかに上回る「熊本県産」アサリが全国に出回っていた。生産に携わる地元漁協の幹部は「生活と経営のためだった」と、偽装を黙認してきたと打ち明けた。店先からはアサリを撤去する動きが出始めた。後を絶たない生鮮食品の産地偽装。「一体何を信じて買えばいいのか」。消費者は憤った。 1日午後、熊本県内。産地偽装の現場となった遠浅の干潟に人の気配はなかった。地元の漁協関係者は「ニュースで流れたからね。今、出荷すれば、偽物のお墨付きになる」と話し、肩を落とした。 「何十年も続いてきた。正直、いつかこうなることは分かっていた」。この海域を管理する漁協の男性組合長は西日本新聞の取材に偽装の実態を告白した。「以前から知っていた。漁業者も漁協も、食っていくためだった」 組合長によると、この漁場では業者が輸入した中国産や韓国産のアサリを1週間から半年間ほど養殖し、問屋の求めに応じて出荷する。組合長は「産
福島県沖で行われている試験的な漁で、22日に水揚げされたクロソイという魚から、基準を超える放射性物質が検出され、福島県漁連はこの魚の出荷を停止しました。福島県沖の漁で基準を超える放射性物質が検出されたのはおよそ2年ぶりで、去年2月には、すべての魚種で出荷制限が解除されていました。 福島県漁連によりますと22日に新地町の沖合8.8キロ、水深24メートルの漁場でとれた、クロソイという魚から放射性物質が検出されました。 県の研究所で詳しく測定した結果、放射性セシウムの濃度が、1キロ当たり500ベクレルと、国の食品の基準である1キロ当たり100ベクレルを上回ったということです。 県漁連がより厳しく定めている1キロ当たり50ベクレルの自主基準も超えていたことから、県漁連は安全性が確認できるまでクロソイの出荷を停止することを決めました。 今後、国の原子力災害対策本部がクロソイの出荷制限を指示する見通し
今月中旬以降、千葉県の九十九里浜の海岸にハマグリが大量に打ち上げられているのが見つかっています。原因は分かっていませんが、地元の漁協では漁場を守るため一般の人に勝手に持ち帰らないよう呼びかけています。 千葉県九十九里町の漁協によりますと、今月10日ごろから九十九里浜の海岸に朝、ハマグリが大量に打ち上げられているのが見つかっているということです。 18日の朝も九十九里町の海岸では波打ち際の周囲一面に大量のハマグリが打ち上げられていて、地元の漁業者らおよそ15人が集まって状況を確認していました。 九十九里浜全域には漁業権が設定されていて、ハマグリは一般の人が許可なくとることは禁止されていますが、中には持ち帰ってしまう人もいるということで漁協では海岸をパトロールしてハマグリを勝手にとらないよう呼びかけていました。 漁協によりますと、この現象は周辺のおよそ10キロ以上の範囲で起きていると見られると
Published 2023/08/26 17:47 (JST) Updated 2023/08/27 09:14 (JST) 【マニラ共同】フィリピンの首都マニラの日本大使館前で26日、漁業者団体関係者や環境活動家ら15人前後が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に抗議し、停止を求めるデモを行った。「フィリピンの海と国民が影響を受ける。処理水が安全だと言うのなら、なぜ東京湾に投棄しないのか」と疑問を投げかけた。 参加した小規模漁業者団体「パマラカヤ」は、処理水が「核廃棄物」に当たると指摘し「フィリピン政府は太平洋への投棄に同意したかもしれないが、フィリピンの国民感情を反映した結果とは言えない」と主張した。同団体副議長は「漁業者らは人々が魚を買わなくなるのではないかと恐れている」と訴えた。
秋田県が開発したコメの新品種「あきたこまちR」を巡ってSNS(交流サイト)で農家を中傷しかねない発信が相次ぎ、県が「冷静な判断と行動」を呼びかける事態に発展している。「R」は放射線による品種改良で開発されたもので「放射線」に過剰反応したためとみられる。一般的な品種改良の手法ではあるが、一部野党の国会議員も安全性を問題視している。 「不安をあおる情報や、県内農業者などに対して誹謗(ひぼう)中傷と受け取れる発信が目立っている」 秋田県は12月4日、ホームページ(HP)で「あきたこたちR」の安全性を説明した上で、こう懸念を訴えた。「内容によっては名誉毀損(きそん)罪などに問われる場合がある」とも警告した。 県は今年2月、艶や香りに優れる「あきたこまち」の魅力はそのままに、土壌に含まれる有害物質カドミウムをほとんど吸収しない新品種「R」に改良した。令和7年から「あきたこまち」は「R」に切り替え、海
投資の経験がある方なら「先物取引」ということばを聞いた方もいらっしゃるかと思います。原油や金、トウモロコシなど、さまざまな先物取引がありますが、日本にはコメの先物取引も存在します。江戸時代に誕生した歴史あるコメ先物。それが令和の時代に姿を消すことになりました。取引所や政府、農業団体、それに政治。背後には主食であるコメの価格をめぐる考え方のぶつかり合いがありました。私たちのゴハンにも影響する、裏の事情を深掘りします。(経済部記者 川瀬直子/大阪放送局記者 甲木智和) 大阪市中心部、中之島近くの川沿いに米粒の形をしたモニュメントがあります。 1730年、江戸幕府が公認した「堂島米市場」の跡地で、この市場は世界初の組織的な先物取引所として知られています。 そう、先物取引はシカゴでもニューヨークでもなく、日本の大阪が発祥の地だったのです。 各地から年貢米が集まった当時の「大坂」。 「日本の富の7割
「駅前で桃を売る軽トラックを見かけますが、購入しても良いものなのでしょうか」 東京都内の女性から本紙「農家の特報班」に調査依頼が届いた。価格が妙に安く、桃の盗難のニュースも聞くため、心配になったという。交流サイト(SNS)上でも、価格を理由に「盗品では」との推測が飛び交う。桃の出どころを探った。 特報班はまず、桃を売る軽トラを探した。だが、場所を告知せずに販売する軽トラを探すのは雲をつかむようなものだ。7月下旬、SNSの目撃情報を頼りに、複数の記者が都内の繁華街の駅前を中心に捜索。5日目でようやく発見した。 場所は、JR山手線の駅近くのガード下。「産地直送」「桃7個300円から」という看板を掲げていた。荷台をのぞくと、屋号の入った黄色いコンテナが所狭しと並ぶ。中には、フルーツキャップをかぶせた桃が平積みされていた。 記者が近付くと、30代ぐらいの男性がすかさず声をかけてきた。「一番小さいの
農林水産省は3月6日、公式X(旧Twitter)アカウント(@MAFF_JAPAN)で、未発生地域や被害防止に取り組む地域でのジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の放飼を止めるよう注意喚起を行いました。 今回の注意喚起は、2月下旬ごろからXで「ジャンボタニシを除草目的でまいた人がいる」といった指摘が上がったり、「ジャンボタニシ農法を全国でやったらいい」とする投稿が問題視されたりといった状況を受けてのものとみられます。農水省は、未発生地域や被害防止に取り組む地域でのジャンボタニシの放飼は「周辺農地への拡散により悪影響を及ぼす」「一度侵入・まん延すると根絶は困難」として、除草目的であってもジャンボタニシを持ち込むのは止めるよう呼び掛けています。 農林水産省「スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策について」より スクミリンゴガイは、南米原産の大型の淡水巻貝。ピンク色のつぶつぶとした卵を産
▶(上)を読む 首都圏の駅前に出没し、桃を売る軽トラック。桃の出どころを調べていた本紙「農家の特報班」は、山梨県の桃産地の農家出身だという女性から、有力な情報を入手した。JAの選果で規格外になる桃を買い取る業者がおり、その業者の桃ではないかというのだ。 祖父の代から桃を買い取ってもらっているというその女性によると、業者は桃の季節になると、女性の実家がある地域に集荷施設を開く。女性が、その業者の桃だとみる“証拠”は、屋号の入った黄色いコンテナ。交流サイト(SNS)では、このコンテナで桃を売る軽トラの画像が数多く投稿されている。記者が購入した軽トラも同じコンテナを使っていた。 「桃泥棒ではなく、多くの農家が取引している。正確な情報が伝わってほしい」と、この女性。特報班が地元JAにも確認すると、「20~30年前からあり、JAの出荷農家もよく利用している業者」との証言を得た。 このJAは、桃の糖度
切浜海水浴場近くの岩場でサザエやアワビを採取した女性(右)を聴取する海上保安官ら=豊岡市竹野町切浜(画像の一部を加工しています) 兵庫県北部の沿岸で今夏、サザエやアワビの密漁が多発している。地元の漁協が知事から免許を受けて共同漁業権を設定しており、漁業者以外が採取すると漁業法違反(漁業権侵害)となる。しかし京阪神などからの海水浴客を中心に「レジャー感覚」で密漁に手を染めるケースが後を絶たず、今年はすでに16人を摘発。密漁現場の実態を調べるため、海上保安官に密着した。(金海隆至) 8月上旬、日曜の午後。豊岡市の切浜(きりはま)海水浴場に近い岩場で、ウエットスーツの女性が素潜りを繰り返した後、浜辺に上がってきた。崖の上の県道から双眼鏡で動きを探っていた海上保安官が「網袋を持っている。何か取っています」と声を上げた。 それを合図に、私服姿の保安官5人が一斉に約200メートル離れた海水浴場へ向かっ
全国1位のキノコ産地の県内で、経営に行き詰まるキノコ生産企業が相次いでいる。今年に入り4社の倒産が判明。生産に使う培地や電気代の高騰で、他の農産物と比べてもコストが増大している。一方、製品の安値が続き、借入金の返済が重くのしかかっている―との指摘もある。 ◇ 帝国データバンク長野支店などによると、4社のうち3社はエノキタケなどを生産していた中野市内の企業だ。悦和産業(負債約7億円)が2月に破産手続き開始決定を受け、マルヨ(同約13億5千万円)が4月に民事再生法の適用を申請。5月にはウインダム(同約6300万円)が破産手続き開始決定を受けた。 残る1社は、ブナシメジ栽培のホクサン(飯山市)。組合員向けに培地となるおがくずの共同仕入れを担った長野木糠(きぬか)事業協同組合(同)の関連会社で、負債額は合わせて約3億円に上る。 今月10日、悦和産業があった場所を訪ねると、工場が残っていた。破産管財
4月4日、コートジボワールでカカオ豆農家を営むエデュアルド・クアメ・クアディオさん(写真)は、貧しいままで一生を終えることになると諦めている。写真は1月、サンペドロにあるカカオ農場で撮影(2023年 ロイター/Ange Aboa) [サンペドロ(コートジボワール)/ロンドン 4日 ロイター] - コートジボワールでカカオ豆農家を営むエデュアルド・クアメ・クアディオさんは、貧しいままで一生を終えることになると諦めている。世界中でかつてないほど多くのチョコレートが消費され、原料の需要が高まっているにもかかわらずだ。 2019年にコートジボワールとガーナの政府が共同で導入した、農家の生活所得を保障するプログラム(LID)により、クアディオさんのような、カカオ豆生産上位国の両国の農家の生活が圧迫されていることが、データや生産者、貿易業者、業界の専門家らへのインタビューで分かった。
「日本産の品質の良さを理解してほしい」。中国のナマコ加工会社の総経理(社長)、方さん(32)は、手製の地図を片手に福島から放出された処理水の影響が日本海側には及ばないことを力説していた。交流サイト(SNS)には「汚染水は3年後に北太平洋を覆い尽くす」と主張する動画が流れ、多くの中国人消費者が日本産品全体に不安感を抱いているためだ。 同社は2005年に北海道に工場を設立し、道産ナマコを中国に届けてきた。健康ブームで中国のナマコ需要は増え、22年には日本から中国への農林水産物・食品の輸出額で6番目の79億円に上った。「北海道産はトゲが6列あり、4列の大連産より価値が高い。2倍の価格で売れる」と明かす。ただ24日に禁輸措置が発表されると「中国に出す在庫が日本に5トンもある」と嘆いた。
処理水放出を開始 試練の海いつまで… 福島県の漁業者にじむ無力感 県外サーファー「応援する」 2023/08/25 09:33 網の片付けをする漁師。奥は東京電力福島第1原発の排気筒=24日午前6時20分ごろ、浪江町・請戸漁港 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興へ向けて歩む福島県民、恵みの海は新たな試練の時を迎えた。処理水の海洋放出が始まった24日、漁業者は「ついに始まってしまった」と無力感をにじませた。一方、「廃炉を進める上では仕方ない」と冷静に受け止める人もいる。今後、長期間にわたる放出の間、風評の発生をどう抑えるか。県民は国や東電に安全対策の徹底と分かりやすい情報発信を強く求めた。 ■「きめ細かな情報発信を」 福島県民 沿岸部の漁港ではこの日も、漁から戻った漁業者が片付けなどの作業に追われていた。午後1時過ぎ、処理水の放出は始まった。少し波が立っていたが、海の様子はいつ
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山梨県の富士北麓地域の野生キノコは、東日本大震災以降、放射性物質が検出され、出荷停止の状態が続いています。 【写真を見る】野生キノコの無断採取が相次ぐ 基準値を超える放射性セシウム検出で出荷停止続く富士山の北麓 今年も本格的なキノコのシーズンに入り、現地では巡視員がキノコを採らないよう呼びかけていますが、応じる人は少なく、無断採取が相次いでいます。 キノコ狩りに来た人: 「これは食べられる、アイシメジと言う」 「ハナイグチというが、ほうとうに入れると美味しい」 秋の代表的な味覚「キノコ」 富士北麓の山林には、毎年この時期野生のキノコが自生します。 しかし、この地域のキノコは、東日本大震災があった2011年の翌年から基準値を超える放射性セシウムの検出が続き、現在も国から出荷停止の措置が取られています。 山梨県は個人で採取に訪れる人に野生キノコを採取しないよう求めていて、山林を管理する富士吉田
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