﹁人類学﹂という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。﹃はじめての人類学﹄では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる﹁人類学のツボ﹂を紹介している。 ※本記事は奥野克巳﹃はじめての人類学﹄から抜粋・編集したものです。 人間は﹁生物社会的存在﹂ 本章では、現代の人類学をテーマに据えます。主人公は、70代半ばになった今でも現役として後進に影響を及ぼし続けているティム・インゴルドです。彼はそれまでの学者とはまったく違うアプローチで人類学を推し進めた開拓者と言えます。 インゴルドが世に知られるようになったのは、20世紀末からです。彼は若い頃から﹁自然﹂と﹁社会﹂を切り分けて考える近代西洋の二元論的な思考法に違和感を抱き、それを乗り越える方法を探ってきました。その思索の果てに、人間を﹁生物社
![天才学者はとつぜん現れる…21世紀の「人間観」を変えた男はこうして生まれた(奥野克巳)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/853fad39b6973ac5272bda183898958a8c3923bb/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F4%2Ff%2F1200m%2Fimg_4fc5c737f0deb8206ef519f38b665a28186388.jpg)