農業分野で世界のトップに立つオランダのワーゲニンゲン大学の学長は﹁農業をこのままの体制で続けることは不可能﹂と語ると同時に、すべてを有機農業に移行すればいいわけでもないと主張する。それではどうしたら、持続可能な農業を営むことができるのか。﹁農業界のスタンフォード大学﹂の取り組みを、フランス誌が取材した。 ﹁環境や生物多様性を尊重しつつ、世界人口に対応する食糧を確保することは可能です﹂ すがすがしいほどに楽観的な意見だが、ワーゲニンゲン大学の学長ショーケ・ヘイモヴァーラの言葉なのだから、重みがある。ワーゲニンゲンはアムステルダムから南東に90キロのところにある小さな自治体だ。同大学は、あらゆる世界ランクのトップに君臨する農業界の権威として、この分野のスタンフォードとも謳われる。 オランダ政府の﹁シンクタンク﹂とも目され、気候変動に関する政府間パネル︵IPCC︶からも諮問を受けているうえ、充実