戯曲
演劇上演のために執筆された脚本や、上演台本のかたちで執筆された文学作品
特徴 編集
戯曲は、登場人物︵キャラクターとも言う︶と、彼らが舞台上で行う行為︵アクションとも言う︶によって構成される。登場人物の行為は通常、連鎖反応的に描かれる。つまり、ある行為が次の行為を誘発し、その繰り返しが劇の始まりから終わりまで続く。ただし、シュルレアリスム的世界観に基づいて書かれた戯曲など、手法によっては行為が連鎖的に発生しない場合もある。
舞台上で起きる行為は、舞台上実時間︵劇世界上の時間ではない︶の時系列順に記述される。その行為の記述方法には、ほとんどの場合、台詞およびト書きが用いられる。しかし実際のところ、戯曲の記述方法自体には厳密な決まりはない。
台詞には登場人物から発せられる言葉が、ト書きには登場人物の登場・退場や所作などが書かれる。ト書きにはこれらの他に、舞台進行に関する指示や、舞台装置︵美術︶、音響効果、照明効果、演出的な指示なども書かれることがある。
戯曲は演劇を作る上で、設計図的な役割を持つ。演出家・俳優・スタッフなど、作品づくりに携わる者たちは、戯曲に基づいて共通の目的・方向性・劇の完成イメージを形成していく。もちろん、戯曲を使わない即興劇や、即興をベースにした集団創作による劇などはこの限りではない。が、そのような場合でも、進行台本的なものを用意することもあり、その進行台本が後に戯曲化されるケースもある。