ニトリル (nitrile) は R−C≡N で表される構造を持つ有機化合物の総称である。カルボン酸やその誘導体と、炭素の酸化数において同等とされる。なお、手袋などの家庭用品によく使われるニトリルは、ニトリルゴム(ブタジエンアクリロニトリル共重合体)のことである。

ニトリルの一般構造式

シアノ基

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CN 1sp

命名法

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IUPAC命名法では炭素数の等しいアルカンの語尾に -ニトリル (-nitrile) をつけて命名する。または、母体となるカルボン酸の語尾 (-oic acid または -ic acid) を (-onitrile) に置き換える。または、接頭語として「シアノ-」(cyano-) を用いる。

性質

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シアン化水素は別名をメタンニトリルというものの、極性溶媒ではプロトンとシアノ基が電離するため、化学的性質が異なるので一般にはニトリルには含まない。従って最も単純なニトリルはエタンニトリル(アセトニトリル)である。

シアン化水素や金属シアニドは電離してシアン化物イオンを放出するが、ニトリルは通常の条件では分解してシアン化物イオンを放出することはない。

合成

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(X=Cl,Br,I,OS(=O)2R,etc.)



 

α-α-

ストレッカー反応 

 (RCH=NOH)  (RCONH2) 

2016[1]

反応

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調1

   

11

 

α-(NC-CH2-CN)(NC-CH2-COOEt)

α(AIBN)

(DIBALH)

 

[3+2]

N-()

主なニトリル

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工業的に最も重要なニトリルはアクリロニトリル(H2C=CHC≡N)で、ポリアクリロニトリルの原料となる。アセトニトリルは非プロトン性極性溶媒として重要である。

脚注

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  1. ^ [1] 窒素分子から直接ニトリルを合成-アンモニアを用いない省資源・省エネ型合成法-