保安林

自然災害防止の役割を持つ森林。日本では、森林法に基づき指定される公益的機能を持つ森林。

保安林(ほあんりん)は森林法によって定められた森林の一種。木材生産ではなく、水源の保持・土砂災害の防止・生活環境の向上などの森林が持つ公益的機能を重視し、機能を発揮することを一般の森林以上に期待された特別な森林である。

概要

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歴史

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670使使

調1660


保安林の制限

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指定施業要件

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320%200035%20

4

38206210212

作業許可

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作業許可とは指定施業要件とは別に定められる制限である。

保安林の優遇措置

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38

保安林に設置される構造物

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41

退2511117[1]81117

保安林の指定と解除

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保安林の指定

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23

簿



簿簿

保安林の解除と作業許可

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212

121212112


保安林の種類と面積

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保安林の種類は森林法第25条において1号から11号の条文で定められている。ただし、5号及び6号の条文で定められる保安林は複数の公益的機能を持っているため、これらを各々分離させた次の17種類の保安林が認められている。保安林の面積は1,300万haに達するとされ、日本の森林面積2,500万haの過半数、日本の国土面積3,800万haの1/3以上に及ぶ。

  • 水源かん養保安林
    別名を緑のダムともいわれる森林の水量調節機能や森林土壌が持つ水質浄化機能に期待する保安林(水量調節機能は地形や地質にも大きく左右される)。日本の保安林では最も面積が広く900万ha余りが指定されており、保安林全体の7割に達する。伐採に対する制限は比較的緩く皆伐が可能なことも多いこと、河川上流部や山間部の渓流周辺を中心に一般的な山林が指定されることが多く、樹木の生長具合も悪くないところも多いことなどから17種の保安林の中で唯一木材生産にも向く保安林であるといえる。砂防ダムの周辺は次の土砂流出防備保安林に指定されていることが多いが、水源かん養保安林の場合もまれにある。森林法第25条では1号の条文にて記載されているので、別名1号保安林ともいう(以下の保安林も号数は森林法25条における条文の記載位置を示す)。
  • なだれ防止保安林
    雪崩の発生・流下・堆積の各段階のうち、特に雪庇の形成抑制とグライドの発生抑制などの発生段階での雪崩防止に加えて、雪崩の堆積地で樹木が盾となり雪崩を止めることも期待される。指定地は地表をはぎ取り荒廃させ、苗木の定着を妨げる全層雪崩の常襲地に多い。荒廃地を復旧し保安林生育を促す構造物として、雪崩の動きを止める雪崩防止柵、グライドを防止する三角枠工や斜面を階段状に切土する段切などが施工されていることがある。土砂崩壊防止保安林と同じく伐採に対する条件は極めて厳しく、択伐もしくは禁伐の場所が多い。次の落石防止保安林と共に6号保安林に含まれる。
  • 落石防止保安林
    土砂崩壊防備保安林と似ているが樹木の根で岩石を抑え落石の発生を予防するだけで無く、落石が発生した場合に樹木が盾となって保全対象に被害を与えないことを期待する保安林。落石による樹木の損傷を軽減し、保安林生育を促すためとして落石防護ネットや、落石防護柵などが施工されていることがある。伐採に対する条件は極めて厳しいことが多い。6号保安林に含まれる。
  • 魚つき保安林
    水面に枝葉を張り出すことで魚の餌となる昆虫や隠れ家の提供すること、森林土壌からの栄養塩の供給や水質を浄化することなどが期待される保安林。指定地は漁業が盛んな地域が多く、海岸沿いの指定地では山が海に迫るような森林、河川では中流から河口部にかけての川沿いの森林が指定されることが多い。別名8号保安林。

指定目的達成の手段

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41393[2]

保安林に関係する主な判断事例

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1969-1983

MIM-14 2

531311975-1978

19758沿3

241482010-2012

調1970

2020

20213

類似の法律や制度

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日本国内

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3


砂防事業で作られた砂防ダム。砂防指定地を示す看板には県の土木事務所の文字が見える(新潟県)
  • 砂防指定地を示す看板とアーチ式の砂防ダム(福井県)
  • 立山で長年続けられている砂防事業(富山県常願寺川流域)
  • 砂防事業では荒廃渓流を土石流危険渓流と呼ぶ。
  • 砂防事業で造成された湘南海岸のクロマツ林
    • 道路法
      保全対象が道路に限られるが、国土保全という意味で森林法の保安林と共通している。必要に応じて土砂崩れ防止の土留工(擁壁)や法枠工、落石防止や雪崩防止の覆道(洞門)などの構造物を作ることがある。

    海外における類似の法律や制度

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    海外にも保安林に類似の制度が存在する。

    脚注

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    1. ^ 森林法第41条
    2. ^ 全国林業改良普及会『保安林のしおり』(2017) p.11-p.12

    関連項目

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