ラウンドアバウト︵英: roundabout︶、または環状交差点︵かんじょうこうさてん︶とは、交差点の一種で、中心の島の周囲を一方向に周回する方式のうち、環状の道路に一時停止位置や信号機がないなどの特徴をもったものをいう。
左側通行道路のラウンドアバウト︵長野県下伊那郡高森町︶
高速道路の流出入路に設けられたラウンドアバウト︵チェコ︶
同様の交差点で一時停止位置や信号機があるものをロータリー交差点︵円形交差点︶という。
英語では一時停止位置や信号機の有無にかかわらず rotary や roundabout 、traffic circle と総称しているが、特に区別する場合は一時停止位置や信号機がないもの︵日本で単にラウンドアバウトというもの︶を modern roundabout︵現代的ラウンドアバウト︶という。
本項では特に断らない限り、現代的ラウンドアバウトを扱う。
3本以上の道路を円形のスペースを介して接続したもので、この円形のスペースの真ん中には中央島と呼ばれる、円形の通行できない区域がある。車両はこの中央島の周りの環状の道路︵環道︶を一方向︵右側通行なら反時計回り、左側通行なら時計回り︶に通行する。
現代のシャルル・ド・ゴール広場
交通システムとしての円形交差点(一方通行化)
編集
交通システムの一環として設計された円形交差点は、古代ローマの馬車の構造により、使われてきた。日本では、昭和40年代に、学校・病院などの玄関前に作られた。しかし、その後車両のサイズが大型化して使用に適さなくなり、すたれてきたが、平成26年から再認識されている。一方米国では、ウィリアム・フェルプス・エノの提案によって1905年にアメリカ合衆国︵以下、アメリカ︶のニューヨークに作られたコロンバスサークルが最初のものである[1]。同時期に、フランスではウジェーヌ・エナールの提案でパリのシャルル・ド・ゴール広場の周りが円形交差点として1907年に整備された[2]。交差点内での車両の通行を、反時計回り︵右側通行の場合︶の一方通行にしたことが最大の特徴である。イギリスでは1909年、世界初の田園都市として建設されたレッチワースに作られたとされている[3]。イギリスでは円形交差点をジャイラトリー・システム (gyratory system) とも呼ぶが、1926年からはジャイラトリー・システムに代わってラウンドアバウトが円形交差点を指す公式な名称になっている[4]。日本では1936年︵昭和11年︶に作られた旭川常盤ロータリーなどが良く知られている。
円形交差点の環道で車が動けなくなる状況の例
太線は車両の列を表す。右側通行では右方車優先が原則であるが、進入車両が優先であるとこのような事が起こる。こうなると、誰か︵警察官など︶が交通整理しない限り車両は動けない状態が続く。
円形交差点では対向車もないし、対向車線を横切って曲がる必要もないので適切な交通量においては十字の交差点よりスムーズな流れが期待できる。初期の円形交差点は、環道の車両の流れに素早く合流したり、環道内で車線変更することを意図して設計されており、また、合流の際には円形交差点に入る車両が優先されていた[1]。進入する車両が優先される根拠は、右側通行の場合、通常の十字路では向かって右側の車両が優先で、円形交差点への進入に際してもそれに倣ったのである。しかし、進入する車両は減速せずに交差点に入ることができるので、衝突したときの被害も大きかった。また、交通量が多くなった時に車両が環道内で動けなくなる状況が発生し、このことによっても円形交差点に対する評価は下がった。そのため1950年代にはいると、アメリカでは円形交差点がほとんど顧みられなくなった。
一方イギリスでは、1960年代に入り、英国交通研究所︵TRL︶がそのような円形交差点のもつ問題を調査し、解決策を探ることに着手した。この時に考案されたもののうち、最も特徴的なものは、環道内の車両が優先して通行するというルールである。その結果をうけて、1966年、イギリスでは環道内の車両が優先する規則をすべての円形交差点に適用した[1]。これが現代的なラウンドアバウトの始まりである。1971年にはイギリス運輸省によりラウンドアバウトの設計ガイドラインが作成された[5]。この現代的ラウンドアバウトは、一般的な交差点を通過する際の遅れ︵赤信号の待ち時間など︶を最小限におさえつつ、旧来の円形交差点の主要な課題であった安全性と環道内で動けなくなる問題を解決し、盛んに導入されるようになった。
その後、1970年代から1980年代にかけてヨーロッパやイギリス連邦を中心にラウンドアバウトがイギリス国外にも広く普及し、例えば、フランスには1990年代後半の時点で約15,000箇所のラウンドアバウトが設置されるまでになった[5]。アメリカでも、諸外国での成功例からラウンドアバウトが見直されるようになり、1990年にネバダ州でアメリカで初めての現代的ラウンドアバウトが建設された[6]。2013年︵平成25年︶には日本でも従来あった信号機を撤去したラウンドアバウトが初めて導入されている︵長野県飯田市の東和町交差点︶。その後、2014年︵平成26年︶に道路交通法の改正により環状交差点が規定され、日本全国で正式にラウンドアバウトの整備がすすめられた。
ラウンドアバウトの設計においては、安全性と交通容量の兼ね合いを考える要素が含まれる[42]。例えば、安全性を高めるには進入速度や周回中の速度を下げるようにラウンドアバウトの形状を設計すると良いが、これは同時にラウンドアバウトの交通容量も下げることになる。また、ラウンドアバウトの形状はそこを通過する最大サイズの車両によっても決まる。ラウンドアバウトを設置する場所の状況に合わせて、最適な形状を設計することになる。
設計の前提となる要素で最も重要なものはラウンドアバウトを通過する速度を設定することである。ラウンドアバウトを通過する車両の経路を想定し、設定した速度で車両が走るような幾何学的な形状を決める。
また、ラウンドアバウトの形状を決定するには、そのラウンドアバウトを通過する車両の設計上の最大サイズをきめなければならない。例えば、アメリカの連邦道路管理局の発行する資料(Robinson et. al.)では、AASHTO Policy on Geometric Design of Highways and Streets ("Green Book") が定めるWB-15(WB-50)のトレーラー[† 8]が、一般的に幹線道路などを通過する最大サイズの車両であるとしている[43]。
環状道路の幅は、単車線の場合は設計上の最大サイズの車両(例えばWB-15)が余裕をもって転回できる幅となる。ラウンドアバウトの外径が十分に取れない場合には、中央島の周りを通行可能なエブロンとすることで大型車の転回に必要なスペースを確保することができる。複車線の場合は、想定している交通状況によって決めることになる。例えば、乗用車やトラックが支配的で、トレーラーの通過がごく少ない場合には、乗用車が並んで走行、転回できる幅や、乗用車とトラックが並んで走行、転回できる幅とする[44]。
アメリカのTRB(全米交通運輸調査委員会)は、ラウンドアバウトに適する場所として次のような場所を挙げている[45]。まず、4本以上の道路が集まる交差点や、Y字や鋭角に道路が集まる変則的な交差点、Uターンの多い交差点はラウンドアバウトに向く交差点である。隣接する2つの交差点をまとめる場合や、信号による長い車両の列を作りたくない場合(トンネルが近くにあるときなど)にもラウンドアバウトが適する。中央島などを印象的にあしらって、街の入り口や中心部を魅力的にプレゼンテーションすることも可能である[46]。
アメリカのラウンドアバウトの通行方法は、反時計回りである[47]。環状道路を走っている車が優先とされているが、ワシントン州などではラウンドアバウトを出る時にだけ左ウィンカーを出す運用となっている[47]。
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吾妻町ロータリー(飯田市・北緯35度31分13.3秒 東経137度49分39.3秒、国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成)飯田大火の復興の際に設置された。
東京都多摩市のラウンドアバウト(環状交差点・北緯35度38分26.8秒 東経139度26分40.1秒)
日本における円形道路の交差点としては、ロータリー交差点(円形交差点)のみが定義されていたが、2013年︵平成25年︶6月14日法律第43号改正道路交通法により﹁環状の交差点における右回り通行﹂︵標識327の10︶として、現代的ラウンドアバウトが定義された。国土交通省も、ラウンドアバウトを整備するときの適用条件・留意事項を示して、2014年︵平成26年︶9月1日から本格的な運用が始まった。
ラウンドアバウトの計画・設計・運用全体をカバーする技術指針としては、︵社︶交通工学研究会による﹁ラウンドアバウト マニュアル﹂が2016年に発刊された。
日本の法律において、ラウンドアバウトは道路交通法第4条第3項に﹁環状交差点﹂として次のように定義されている
﹁車両の通行の用に供する部分が環状の交差点であつて、道路標識等により車両が当該部分を右回りに通行すべきことが指定されているものをいう﹂[49]。
一般社団法人交通工学研究会のマニュアルは、その定義において、
ラウンドアバウト︵roundabout︶とは、円形の平面交差部のうち、主に、環道、中央島、エプロン、路肩、分離島、流出入部及び交通安全施設を有し、環道において車両が時計回り︵右回り︶に通行し、かつ進入する車両によりその通行を妨げられない交通が確保できる構造であるものをいう。
ラウンドアバウトは平面交差部の一形式であるため、交差点内部を走行する環道交通が中断されることがあってはならない。
としている[50]。これはすなわち、﹁環道交通流に優先権があり、かつ環道交通流は信号機や一時停止などにより中断されない﹂平面交差部の構造と運用形式を指している。したがって、信号機で制御されたもの、環道交通流より流入車両が優先されるものや駅前ロータリーなどで駐停車を想定したものはラウンドアバウトの定義から外れる。
日本では、現代的ラウンドアバウトという意味でのラウンドアバウトの導入事例は極めて少ない[† 9]。もともと日本では交差点の形式としてラウンドアバウトを想定していなかったため、従来の日本の道路交通法では、ラウンドアバウト全体を一つの交差点としては解釈できなかった[52][† 10]。このため、2013年6月14日に道路交通法が改正され、ラウンドアバウトが﹁環状交差点﹂として位置づけられた[53]。
日本国内では東日本大震災で発生した停電による信号機の滅灯で混乱が生じたことを通じて、信号が無くても安全かつ円滑に交通制御が可能なラウンドアバウトが脚光を浴び、全国的に導入が進んでいる。
長野県飯田市の東和町交差点(北緯35度31分10.45秒 東経137度49分28.08秒 / 北緯35.5195694度 東経137.8244667度 / 35.5195694; 137.8244667 (東和町交差点))は、2013年2月5日より日本初の試みとして、従来設置されていた信号機を撤去したうえでラウンドアバウトとしての運用を開始した。ただし、進入地点に﹁一時停止﹂を義務付け、本来のラウンドアバウトの利便性を損なう、変則的な方法をとっていたが、2013年6月14日法律第43号で改正された道路交通法[49]の施行︵2014年9月1日︶後は、ラウンドアバウトの標識︵327の10︶を設置して、環道内の車両の優先通行と流入車両の徐行により通行させることになった。
改正道路交通法の施行︵2014年9月1日︶を受けて全国19箇所で運用が始まった。その中で多摩市桜ヶ丘のもの︵北緯35度38分26.8秒 東経139度26分40.2秒 / 北緯35.640778度 東経139.444500度 / 35.640778; 139.444500 (多摩市桜ヶ丘のラウンドアバウト)︶は東京都で唯一の指定であった。同年度中には新たに15箇所が運用開始される予定である[54][55]。道路標識は標識327の10︵青地に白い矢印が時計回りになっているもの︶が制定された[56]。
その後、導入する自治体が増えている[57]。2017年5月末現在、22都府県で67箇所が運用されている[58][59]。なお、2015年3月16日時点では、全国で42箇所が運用され[60]、このうち仙台市が11箇所、名取市が5箇所など、宮城県が19箇所を占めていた。
環状の交差点における右回り通行︵327の10︶
●2013年6月14日法律第43号で改正された道路交通法[49]︵施行2014年9月1日︶で、ラウンドアバウトが﹁環状交差点﹂の名称で位置づけられ、その定義、左折・右折・直進・転回の方法、他の車両等との関係、の3点が明確にされた。
●﹁環状交差点﹂が﹁車両の通行の用に供する部分が環状の交差点であつて、道路標識等により車両が当該部分を右回りに通行すべきことが指定されているものをいう。﹂と定義された︵改正後の道路交通法第4条第3項︶。
●環状交差点における通行方法はつぎのように定められた。‥
●第35条の2車両は、環状交差点において左折し、又は右折するときは、第34条第1項から第5項までの規定にかかわらず、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り環状交差点の側端に沿つて︵道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して︶徐行しなければならない。
●2車両は、環状交差点において直進し、又は転回するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り環状交差点の側端に沿つて︵道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して︶徐行しなければならない。
●環状交差点における他の車両等との関係等は次のように定められた。‥
●第37条の2車両等は、環状交差点においては、第36条第1項及び第2項並びに前条の規定にかかわらず、当該環状交差点内を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
●2車両等は、環状交差点に入ろうとするときは、第36条第3項の規定にかかわらず、徐行しなければならない。
●3車両等は、環状交差点に入ろうとし、及び環状交差点内を通行するときは、第36条第4項の規定にかかわらず、当該環状交差点の状況に応じ、当該環状交差点に入ろうとする車両等、当該環状交差点内を通行する車両等及び当該環状交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
●環状交差点における合図については、方向指示器#さまざまな用法を参照。
●通常の交差点と同様に、環状交差点内と、環状交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分は駐停車禁止である。また、環状交差点の安全進行義務︵第37条の2第3項︶も適用される。
警察庁は、環状交差点の交通方法についての動画を作成している。一般社団法人全国届出自動車教習所協会のHPで見ることができる[61]。
また、交通方法についてのリーフレットを作成して配布している[62]。
道路交通法の環状交差点についての規定が施行される直前の2014年8月8日に警察庁交通局は、環状交差点についての規制基準を発出した[63]。交通規制基準の本編では、第140ページに記載されている。
対象交差点は、﹁流出入部、環状部分とも1車線の道路により構成される交差点﹂としており、流出入部が4車線︵往復合計での車線数︶の道路を想定していない。具体的な規制として、標識﹁327の10﹂の設置場所・設置方法について規定している。
また、2014年12月16日には、ラウンドアバウトは、交通事故抑止、被害の軽減、信号機が不要になることでの待ち時間の減少、災害時の対応力の向上等の効果が見込まれるので、適切な箇所へのラウンドアバウトの交通規制の導入を推進すべし、との通達を出している[64]。
2014年8月8日に国土交通省が、道路管理者がラウンドアバウトを計画・設計するに当たっての、当面の適用条件と留意事項について通達を出した[65]。その概要は次の通り[66]。
1︶適用条件
●交通量
交通量は総流入交通量10,000台/日台未満。総流入交通量が10,000台/日以上の場合、各流出入部において、時間当たりの流入部交通容量とピーク時間当たりの流入交通量を踏まえ可否を確認。
●幾何構造
外径は、設計車両の種類、隣接して接続する道路の交差角度、及び分離島の有無を踏まえ、車両の通行軌跡を考慮し設定。中央島は、乗り上げを前提としない。
2︶留意事項
●交通量
横断歩行者・自転車が多い場合、交通確保に留意。
●幾何構造
(一)形状は正円若しくは正円に近い形状が望ましい。
(二)環道については、停車帯を設置しない。
(三)分離島は設置することが望ましい。
(四)中央島は通行する車両の見通しを十分に確保できる構造とする。
(五)流出入部は安全かつ円滑に流出入できる構造とする。
(六)幅員は走行性や安全性を踏まえるものとする。
(七)環道とエプロンは利用者が認知できるよう区分する。
●交通安全施設
(一)照明は必要に応じ設置することが望ましい。
(二)中央島に反射板等を設置することが望ましい。
(三)案内標識﹁方面及び距離︵105のC︶﹂、﹁方面及び方向の予告︵108のA︶﹂、﹁方面及び方向︵108の2-A︶﹂及び警戒標識﹁ロータリーあり︵201の2︶﹂を、必要に応じ、設置することが望ましい。
(四)区画線﹁車道外側線︵103︶﹂及び﹁導流帯︵107︶﹂を、必要に応じ設置することが望ましい。
ラウンドアバウトを設計する際は、設置場所の性格、単/複車線などに注目して分類するが、ここでは外観上特徴のあるラウンドアバウトを挙げる。
2つのラウンドアバウトを組み合わせた形態のものをツイン・ラウンドアバウトという[67]。錯綜する交錯箇所を減らすことで交差点内での衝突リスクを低下させたり速度抑制による重大事故の減少を目的とする[67]。
日本では2018年3月に島根県の朝山・大田道路に初めて設置された[67]。しかし、このツイン・ラウンドアバウトでは設置して間もない同年6月4日に70代男性が軽自動車で逆走事故を起こしており[68]、誘導方法の改良が行われた。
2つの近接するラウンドアバウトを合体し、1つのラウンドアバウトとしたもの。ラウンドアバウトの環状部分の形状をくびれた形状とすることで限られた用地で設置でき、環道部の走行速度も一定に保つことができる。日本では先述の朝山・大田道路の大田朝山インターチェンジに導入されている。
細街路などが交差する交差点において用いられる外径が13 - 22 m程度の小規模なラウンドアバウト。中央島にはわずかな段差を設け、大型車が右左折する場合はこの上を乗りあげて直接右折することを認める。ヨーロッパやオーストラリアなどで数多く用いられている。
ミニ・ラウンドアバウト(イギリス) 中央島は道路に描かれた白い円。矢印が進行方向を表している
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ミニ・ラウンドアバウト(ドイツ) 中央島は環道の路面から少し高くしてある。
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ミニ・ラウンドアバウトの走行 中央島は石畳の円。バスは中央島に乗り上げて走行し、乗用車は島の周りを走行している。
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バルコニーラウンドアバウトとは環道を高架状にし、自転車や歩行者などの事故の被害者になりやすい人々の動線を、環道の下をくぐって通り抜けられるように設計されたラウンドアバウトで、それぞれの車道に沿った歩道や自転車道が環道の下の広場を通じて互いにつながり、自動車交通との輻輳がないために事故の危険を低減させることができる。ベルギーのブリュージュをはじめ、オランダのレーワルデン、スヘルトーヘンボスなどに実例が見られる。
環道が複数車線をした外径40 - 60 mの大型のラウンドアバウト。比較的交通需要が高い交差点での導入が有効とされているものの、車両どうしの交錯点が多くなり、環道の通過速度が上昇し、流入部の内側車線の利用率が低くなるなど必ずしも交通容量の増大に役立つとは限らない欠点を持つ。
交通容量を上げるためには環道を2車線にするが、環道の内側車線の車両が流出する時の織り込みをなくして交錯天を少なくした形式のラウンドアバウトである。流入部から進行方向別に設けられた車線を走行すれば車線変更する必要が無く、そのまま目的の出口に流出できる。1990年代にオランダで開発された形状であり、現在ではオランダのほかドイツなどでも主に幹線道路で適用されている。
ターボ・ラウンドアバウト
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ターボ・ラウンドアバウトでの案内標識 左車線からラウンドアバウトに入ったら右折できない。
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ターボ・ラウンドアバウトの模式図
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オランダ型ラウンドアバウトの自転車と歩行者保護策
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オランダ型ラウンドアバウト
新しい考え方のオランダのラウンドアバウトは、自転車を自動車よりも優先させる設計になっている。自転車レーンはラウンドアバウトの環道よりも外側に環状に設置され、それぞれの自動車の進入路との交差部は、赤い舗装で目立つようにした横断帯で渡る。それぞれの進入路を渡るための歩行者用の横断歩道も設けられる[72]。
自転車道を分けることで環道の幅員を削減できるほか、横断歩道の手前では躊躇なく速度を落とすことができる[73]。
イギリスで見られるラウンドアバウトの形式で、中央島の周りに回転方向の違う2本の環道をもち、進入・退出口の場所に、内側と外側の環道をつなぐミニ・ラウンドアバウトが設置されている。外側の環道に入った後、そのまま時計回りに目的の出口にむかってもよいし、ミニ・ラウンドアバウトでUターンして反時計回りに目的の出口に向かっても良い。環道内ではミニ・ラウンドアバウトが優先である。
日本のJR東日本は、産学連携の取り組みとして、2023年7月10日から7月12日の3日間、新宿駅南口付近のコンコースにおいて、歩行者を対象としたラウンドアバウト実証実験を実施[74]。
サンドラース・ファーム
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スウィンドン
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スウィンドンのマジック・ラウンドアバウトの模式図
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(一)^ 環道内で合流・車線変更がしやすいように大きく作られていた。
(二)^ 英語であれば、YIELD や GIVE WAY のこと。日本では前方優先道路がこれに該当する道路標識であるが、ゆずれ等の法定外標識であったり譲れ表記がないなど、ラウンドアバウトでは使用されていない。ただし、後述するように道路標識がなくても環状交差点内を通行する側が法定で優先とされている。
(三)^ 例えば、横断歩道の幅が1.6 m - 2.5 m程度で、中心線がラウンドアバウトが外周から5 - 6 mのところ。(Jacquemart et al., p.27)
(四)^ 信号機は、ある瞬間に他の動線上に車両を走らせないことで、交錯点を減らす手法と言える。
(五)^ 例えば、停止線から20 - 50 m
(六)^ Jacquemart et al., p.30。ラウンドアバウトに関するアンケート調査で、8ケ所中1ケ所で遅れが増えたと答えたケースがある。
(七)^ 日本語では﹁ロータリーあり﹂と言われるが、ここでいうロータリーはラウンドアバウトを含む円形交差点を指す。
(八)^ ホイルベース15メートル(50フィート)のトレーラー。
(九)^ 国際交通安全学会、p.2。同報告書ではラウンドアバウトと言えるかもしれない円形交差点︵ラウンドアバウト候補︶として133の交差点をあげ、同時に内8箇所はラウンドアバウトではないと結論している。ただし、この調査では進入時の﹁譲れ﹂は考慮していない。
(十)^ 従来は道路交通法第36条第1項の一で規定されているように、標識や信号などで整理の行われていない交差点では左方から進行してくる車両が優先であるので、ロータリーに進入してくる車両が優先となるため、必然的に日本の﹁ロータリー交差点﹂はラウンドアバウトを満たさないことになっていた。
(一)^ abcRobinson et al., p.2
(二)^ Jacquemart et al., p.9
(三)^ UK's First Roundabout レッチワースのツーリストインフォメーションセンターのサイト。
(四)^ Modern Roundabouts - History アメリカ、アリゾナ州交通局のウェブサイトをアーカイブしたもの
(五)^ abJacquemart et al., p.11
(六)^ Jacquemart et al., p.12
(七)^ 交通工学研究会 2021, p. 3.
(八)^ Robinson et al., p.9
(九)^ Taekratok, p. ix
(十)^ ab交通工学研究会 2021, p. 8.
(11)^ Robinson et al., p.6
(12)^ FHWA-SA-10-005, p.2
(13)^ abcd交通工学研究会 2021, p. 9.
(14)^ 交通工学研究会 2021, p. 82.
(15)^ 交通工学研究会 2021, p. 84.
(16)^ Robinson, p.199
(17)^ Robinson, p.200
(18)^ Robinson et. al., p24
(19)^ Robinson et. al., p177
(20)^ Robinson et. al., p82
(21)^ Jacquemart et al., p.25
(22)^ Robinson et al., p.112
(23)^ Rodegerdts et al., p.33
(24)^ Robinson et al., p.23
(25)^ abc交通工学研究会 2021, p. 17.
(26)^ 交通工学研究会 & 20212, p. 19.
(27)^ Jacquemart et al., p.29
(28)^ 国際交通安全学会, p.4
(29)^ NYSDOT, p.3
(30)^ MassDOT 2006, Chapter6, p.6-27
(31)^ Robinson, p.87 および Appendix A (pp.251-253) にこのモデルの説明がある。
(32)^ MassDOT 2006, Chapter6, p.6-25
(33)^ Tan, pp.15-16
(34)^ “Modern Roundabouts, an Informational Guide”. Federal Highway Administration Research and Technology. 2015年9月15日閲覧。
(35)^ abRobinson, p.87, p.214
(36)^ MassDOT 2010, p.11
(37)^ Robinson, p.29
(38)^ ab“Q&As”. 高速道路安全保険研究所(IIHS). 2020年11月19日閲覧。
(39)^ EKKON, p.31
(40)^ Robinson, pp.44-46
(41)^ “環状交差点、人身事故が半減 全国66カ所、警察庁調査 ﹁聞こえづらい﹂視覚障害者懸念‥朝日新聞デジタル”. (2019年11月28日). https://www.asahi.com/articles/DA3S14270910.html
(42)^ Robinson et. al., p.130.
(43)^ Robinson et. al., p.142.
(44)^ Robinson et. al., p.150.
(45)^ Jacquemart et al., p.42
(46)^ Robinson, p.30
(47)^ ab“日本人が迷いやすい・間違えやすいアメリカの交通ルールを15個まとめてみた”. junglecity.com. 2019年1月23日閲覧。
(48)^ ab交通工学研究会 2018, p. 102.
(49)^ abc道路交通法 - e-Gov法令検索
(50)^ 一般社団法人交通工学研究会 ラウンドアバウト マニュアル、1.3.ラウンドアバウトの定義、p.5、2016年4月28日初版、丸善出版、ISBN 978-4-905990-85-7
(51)^ 交通工学研究会 2018, p. 101.
(52)^ 国際交通安全学会、p.8
(53)^ 峯岸邦夫編著﹃トコトンやさしい道路の本﹄日刊工業新聞社︿今日からモノ知りシリーズ﹀、2018年10月24日、70頁。ISBN 978-4-526-07891-0。
(54)^ 環状交差点、1日から=8都府県34カ所で誕生―﹁急がば回れ﹂で徐行を・警察庁
(55)^ ﹁ラウンドアバウト﹂運用開始、事故防止に効果も
(56)^ [1] 第3回ラウンドアバウト検討委員会 配布資料、資料3 道路交通法の改正、第6ページ、別表第二︵第3条関係︶、国土交通省道路局
(57)^ ﹁ラウンドアバウト﹂効果大 滋賀県守山市、本格導入を決定
(58)^ 信号機がない環状交差点 安曇野で全国サミット始まる 信毎Web、2017年7月28日
(59)^ ラウンドアバウト普及へ安曇野でサミット 日本工業経済新聞社、2017年7月29日︵長野建設新聞︶
(60)^ 環状交差点の指定状況 第4回ラウンドアバウト検討委員会、資料3、国土交通省道路局、2015年3月17日
(61)^ 環状交差点︵ラウンドアバウト︶ 次の4つの動画がある。1.環状交差点とは 2.環状交差点の交通方法 3.環状交差点を通行するときの留意点 4.交通方法のポイント ︵注︶これらの動画は、警察庁の﹁安全快適な交通の確保﹂より引用されている。
(62)^ 急がば回れ 環状交差点 警察庁・都道府県警察
(63)^ ﹁交通規制基準﹂の一部改正について︵通達︶ 警察庁丙規発 第31号、第2ページ目﹁第42環状の交差点における右回り通行﹂、2014年8月8日
(64)^ 環状交差点の交通規制の導入に向けた検討について︵通達︶ 警察庁丁規発 第97号、警察庁交通局交通規制課長、2014年12月16日
(65)^ 望ましいラウンドアバウトの構造について 国土交通省道路局、2014年8月8日
(66)^ [2]
(67)^ abcツインラウンドアバウトの通行形態について 国土交通省中国地方整備局松江国道事務所、2018年3月1日
(68)^ “ラウンドアバウトから逆走進入、避けようとした順走車2台が被害”. response (2018年6月6日). 2020年11月28日閲覧。
(69)^ abc交通工学研究会 2021, p. 13.
(70)^ abc交通工学研究会 2021, p. 11.
(71)^ abcde交通工学研究会 2021, p. 12.
(72)^ King, Mel (2020年12月1日). “Essex town to make history with county's first 'Dutch roundabout'” (英語). EssexLive. 2022年3月23日閲覧。
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