自動体外式除細動器

心停止の際に機器が自動的に心電図の解析を行い、心室細動を検出した際は除細動を行う医療機器

自動体外式除細動器(じどうたいがいしきじょさいどうき、: Automated External Defibrillator, AED)は、心停止(必ずしも心静止ではない)の際に機器が自動的に心電図の解析を行い、心室細動を検出した際は除細動を行う医療機器除細動器の一つであるが、動作が自動化されているため施術者が非医療従事者でも使用できる。

AED(外観)
パッドを取り出したところ
駅に設置されているAED

概要

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AED使[1]使

1950[2]19801995AHAPAD[2]

85[3][4]AED使AED使[5][6]

機器の使用

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使用方法

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使

[7]



AED調3 [8][9]20212022使[10]JEITA()

AED使

使用目的の誤解

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メドトロニックのAEDトレーニングシステム。AEDは電気ショックの発生源となる本体と人体に装着する電極パッドから構成される。本体は、電源スイッチの他に心電図の解析を行う解析ボタンと電気ショックを与える通電ボタンを備えている。

AEDとは「異常な拍動を繰り返し、ポンプとしての役割を果たしていない状態(心室細動)」の心臓を、電気ショックによって一時静止させることにより正常な拍動の再開を促すものであり、「静止した心臓を電気ショックで再起動させる」ものではない。

また、AED使用によって一時静止させられた心臓は、本来であれば自動的に拍動を再開するが、酸欠等の状態にあると拍動が再開しにくいため、AED使用後は、速やかに(人工呼吸と)胸骨圧迫(一般に心臓マッサージといわれるもの)を行い、拍動の再開を促す必要がある。AED機器が心室細動ではないと診断した場合は、除細動は行われず、胸骨圧迫を行うようアナウンスが流れる[11][12]

講習

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AED使



 (AHA: American Heart Association) NPONPOACLS[13]

設置と保守

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主な設置場所

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2005年のヨーロッパのガイドラインでは、空港、カジノ、スポーツ施設など少なくとも2年に1件院外心停止が発生する可能性がある施設への設置を推奨している[14]。また、米国のガイドラインでは5年に1件心停止が発生する場所への設置を推奨している[14]

交通機関

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  • 空港旅客機内(旅客機は、1990年代から諸外国の航空会社がいち早く機内に搭載を開始し、日本航空も、2001年10月に国際線機内に搭載を始めている[15]
  • 鉄道駅構内(大都市周辺や地方主要都市のJR駅、大手私鉄地下鉄)、新幹線特急列車
  • フェリーターミナル、フェリー内
  • バス(主に観光バス)、バス営業所

医療機関

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龍谷大学に設置されているAED搭載の自動販売機(AEDは日本光電製)

公共施設

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商業施設、娯楽施設

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その他

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  • 大規模な工場内、自衛隊駐屯地、救急車内など

メンテナンスと寿命

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バッテリ切れのAED(インジゲーターが赤色になっていて、バッテリは0%を示している)

使[16]使[17]使使使使3-5AED57AED使5-7130-40使使[18]

機器の普及

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米国での普及

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1992AHA[19]

2000AHAAED使AED[19]

200120047AED[19]

2003AED[19]

日本での普及

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使2003使20047使

2005AED20062008AED20067101AED2006JRJR[20]

2002141121[21][22]

製造と販売

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欧米で販売されている商品

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  • フィリップスメディカル(米国)
  • カルディアック・サイエンス(米国)
  • フィジオコントロール(米国)
  • ハートサインテクノロジーズリミテッド(英国)

日本で販売されている商品

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出典:日本心臓財団[23]

AEDをめぐる諸課題

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使用率の男女差

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AED使調2019[25][26]調20082015232AED調AED83.2%55.6%30[27]

調2011201411,000AED使60%10[25]

1[25][28][29][30]20195AED使[28][31]

AED使86%[32][32][32][33][34]

500AED使調37.9%58.0%42.0%[35]60.1%33.4%[35]

AED使[36]

デマの流布

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201712AED使[30][37][30][37][38]AEDAED使[37]

使用時の法的責任の問題

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米国

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Good Samaritan LawAct[39]73[39]

6in good faith4without compensation  gratuitously[39][39]

日本

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AED使[40]AED使使使[40][41]AED使AED[42]

AED使[43]6986981999[44][45]

2016[46]AED使[47]

1994[39]

使用率の低さ

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2018年の時点で日本には少なくとも50万台以上のAEDが設置されていると推定されているが、心肺停止によって倒れるところを目撃された人のうち、AEDによる電気ショックが行われる割合は4%程度である[48][49]。しかもそのうち約半数は医療従事者であり、一般市民による使用率は低い。そうした背景を受け、京都大学の石見教授は「AEDが素早く心停止の現場に届く仕組みの構築」と「AEDを使った救命処置を出来る人を増やすこと」が必要であるとしている。

関連文献

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  • 久保田博南『いのちを救う先端技術』PHP研究所PHP新書〉、2008年。ISBN 4569701159 

脚注

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(一)^ JRC2015 1 BLS

(二)^ ab 2022725

(三)^  - 06.  - MSD

(四)^ 350%

(五)^  (AED)  - AED使[]

(六)^ Valenzuela, Terence D.; Roe, Denise J.; Nichol, Graham; Clark, Lani L.; Spaite, Daniel W.; Hardman, Richard G. (2000). Outcomes of Rapid Defibrillation by Security Officers after Cardiac Arrest in Casinos. New England Journal of Medicine 343 (17): 1206-1209. doi:10.1056/NEJM200010263431701. PMID 11071670. https://doi.org/10.1056/NEJM200010263431701. 

(七)^  (PDF)  AED

(八)^ AEDAED | AED(). AED. 2022514

(九)^ 使(030730730003730003730003). www.mhlw.go.jp. 2022515

(十)^ AEDAED | AED. inoti-aed.com (2022422). 202268

(11)^ AED - AED2022710

(12)^ AED使 - AED2022714

(13)^ 西 AED 2013119

(14)^ abAED;  (2012). AED·.  44(4): 392-402. doi:10.11281/shinzo.44.392. https://doi.org/10.11281/shinzo.44.392. 

(15)^ 1443200771-82ISSN 03870723 

(16)^ AED 使 20091120

(17)^ AEDAEDby. AEDAED. 202444

(18)^ AED70 .  (202224). 202426

(19)^ abcdAED 2022725

(20)^ 沿 - JR  2008

(21)^ . . 2019613

(22)^ . www.nz-ishikai.or.jp. 201968

(23)^ AED 201731

(24)^  20121024

(25)^ abcAED使 . NHK (201958). 2019512

(26)^ 使2"使". . 201969

(27)^ AED 使. NHK (201956). 2019512

(28)^ ab (2019510). AED使. AED. 2019512

(29)^  (2019510). AED. AED. 2019512

(30)^ abcAED使... 稿. J-CAST (20171222). 20171223

(31)^ AED 調.  (2019517). 2019523

(32)^ abc. Philips. 201989

(33)^  ,調 . 2018

(34)^ , AED 使. 2019

(35)^ abAED使調 AEDAED. AED. 2022622

(36)^ AED . NHK (2019531). 2021110

(37)^ abc (20171231). AED. Style. . 201829

(38)^ AED20171222

(39)^ abcde西2017 vol.95 -  2022725

(40)^ ab 

(41)^ AED使  J-CAST 2016725

(42)^  使  2017817

(43)^ m3.com (2015109). Vol.2 -  - m3.com. m3.com. . 2019523

(44)^ . . plaza.umin.ac.jp. 201989

(45)^ 西,. 2017

(46)^ AED .  (20161019). 2019512

(47)^ AED使 (PDF). 2019512

(48)^ AED . NHK (201974). 2021110

(49)^ : 使. . 2021110

注釈

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  1. ^ 深圳邁瑞生物医療電子のOEM機だが、フクダ電子は選任製造販売元ではなく製造販売業者として取り扱う(添付文書等への外国特例承認取得者の記載はなし)。
  2. ^ AED-9100/9200シリーズはカルディアック・サイエンスのOEM、AED-1200以降の機種は自社製造(ただしAED-1200はカルディアック・サイエンスから技術提携を受ける形で製造)。
  3. ^ パワーハートG3はカルディアック・サイエンス、レスキューハート HDF-3500はハートサインテクノロジーズリミテッドのOEM。

関連項目

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外部リンク

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