Dynamic Random Access Memory

コンピュータに搭載されるメモリの一つ
DRAMから転送)

Dynamic Random Access MemoryDRAM使RAM1RAM1SRAMSRAM
マイクロン・テクノロジ社のMT4C1024 DRAM 集積回路のダイの写真。容量は1メガビット(ビット または 128 kB)[1]

名称

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DRAM

DRAMSRAMSRAMDRAM

SIMMDIMMSO-DIMMDDR3DDR4使

歴史

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DRAM1966IBMJ(Robert Dennard)1967IBM1968[2][3]

1970DRAM110311033使1DRAM1970使4[3]

CPUZ80DRAM7RDRAMZ80
 
DRAMのメモリセル回路
1.ビット線 2.ワード線 3.FET 4.キャパシタ 5.ビット線の浮遊容量

構造

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動作原理

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コンデンサとも呼ばれるキャパシタに電荷を蓄え、この電荷の有無によって1ビットの情報を記憶する。電荷は漏出しやがて失われるため、1秒間に数回程、列単位でデータを読み出して列単位で再び記録し直すリフレッシュが絶えず必要となる。たとえ読み出しの必要がなくとも、記憶を保持するためには常にこの操作を行わなければならない。

メモリセル構造

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DRAM1FET

DRAMFET
 
8F2
DRAM
1. 2. 3. 4.1
 
4F2
DRAM 
1. 2. 3. 4.1 5. 6. 7. 8. 9.

1FET 1 "1" "0" 11[4]

メモリセルの動作

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FET "1"  "0" 

 "1" 1FETFET[5]

メモリセルの微細化

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SRAM642DRAMFET



DRAM

使IC

8F2F6F24F2

メモリセルアレイと周辺回路

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//

1

11

1

3

1使使816

データアクセスの方法

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DRAM使RAS (row address strobe) CAS (column address strobe) RASRASRASCASCAS



 (fast page mode)EDO(extended data outEDO DRAM)21synchronous DRAM (SDRAM) DRAM100nsecDRAM2.5nsec101/3

2Dual Port DRAMPCVRAMCPU-GPUPCPCI-PCI使

リフレッシュ

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1

ABC

リフレッシュアドレス指定方法

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RAS only  : DRAMRASDRAM

CAS before RAS  :CBRDRAM CASRASDRAMDRAM

 :DRAMDRAMCBRDRAM

リフレッシュのタイミング

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代表的な方法として、以下の二つがある。

  • 集中リフレッシュ: 規定された時間毎に素子内の全ての行を一度にリフレッシュする。
  • 分散リフレッシュ: 規定された時間を行の数で割った周期で一行ずつリフレッシュする。

技術の変遷

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ソフトエラー

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DRAM[1][2]

階層ワード線

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主となるメタル配線とワード線の配線の間隔を空けて配置し、その下層で1本のメタル配線ごとにゲートポリ配線を4-8本階層する方法である。メタル配線からはデコード機能を兼ねたゲートでもあるサブワードドライバによってゲートポリ配線が分岐され各メモリセルに接続される[6]

オープン・ビット線

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高集積化のため、21世紀以降はオープン・ビット線が使用されるようになっている。従来方式では、本来のビット線に平行して折り返しビット線が配線されていた。この方式では、読み出されるセルのすぐそばに2本のビット線が通っているので、たとえノイズを受けても、これらをメモリセルアレイ外周部のセンスアンプで比較することで、ノイズの影響を排除することができた。その後、セルが小さくなったため、電極としてポリシリコンではなく金属材料を使い始めると、寄生抵抗と読み出し抵抗が減少して、読み出し電流が多く取れるようになった。そこで、DRAMに対する微細化・高集積化への要求に応じて、折り返しビット線方式に代わってオープン・ビット線方式が取り入れられるようになった。

冗長技術

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ロウとカラムの両方で冗長回路を用意しておき、ウエハーテスト時や出荷前テストで不良セル、不良ロウ、不良カラムがあれば冗長回路に切り替えられて良品として出荷できるようにする技術がある。不良アドレスはレーザーによりフューズ部を焼灼切断するか電気的に過電流で焼き切り、同様の方法で冗長回路を代替アドレスへ割り当てる。冗長回路による速度性能の低下が見込まれるため、性能と良品率とのトレードオフになる。

多値化技術

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フラッシュメモリで使用されているように、キャパシタ内の電荷の有無により"0"と"1"を検出して1セル当り1ビットを保持するのではなく、例えば、0%、25%、50%、100%と4段階で電荷量を検出すれば、1つのセルで2ビットの情報を保持することができる。これが多値化技術であり、DRAMでも早くから提唱されていたが、実際の製品にはほとんど採用されていない。

薄さ

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2011年6月22日エルピーダメモリと秋田エルピーダメモリは、タブレットPCスマートフォンなどの薄型化や大容量化に役立つ、世界最薄となる厚さ0.8ミリの4枚積層DRAMを開発したと発表した[注 3]

種別

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1970年に米インテル社が世界最初のDRAMである「1103」を発売してから、多くの種類のDRAMが市場に登場している。各DRAMの種別名称ではSD-RAMあるいはSDRAMのようにハイフンの有無で表記の揺らぎが存在するが、以下では全てハイフンを省いて表記する。

初期DRAM

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19701980DRAMDRAM2000DIMMDIP816DIP2RAS/CASDRAM21DRAM

高速ページモード付きDRAM

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DRAMDRAM[]Fast Page Mode DRAMFPDRAMFPM DRAMDRAMRASCASRASCASDRAM21使
日立(当時) HM514100(4M(×1)ビット)
東芝 TC514100(4M(×1)ビット)
NEC(当時) µPD424400(4M(1M×4)ビット)など

スタティックカラムモードDRAM

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1SRAMSRAMRASCAS(DRAMCAS)CASDRAMDRAMDRAMRAS/CAS

 HM5141024M(×1)12048

 TC5141024M(×1)12048

NEC µPD4244024M(1M×4)11024×4

DRAMSRAMDRAMX68030CASDRAM

EDO DRAM

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DRAMEDO DRAMExtended Data Output DRAMPentium66MHzCPU2EDO121CPU2010使
日立 HM514405(4M(1M×4)ビット)
東芝 TC514405(4M(1M×4)ビット)
NEC µPD424405(4M(1M×4)ビット)など

BEDO DRAM

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MicronEDO DRAMBurst EDO RAM22使133CAS4Pentium052ns15nsBEDO DRAM66MHzPentium使45-1-1-1DRAMIntelPentium ProPentium IIIntel 440FXBEDO DRAM(CAS3(4))DRAM HM5141014M(×1)4

SDRAMSynchronous DRAMDRAMDRAM0使

DDR SDRAMSDR SDRAMIntelCPUPentium66MHzPentium IIAMDCPUK6-2PC100 SDRAM100MHz2000IntelPentium IIIPC133 SDRAM使使DIMMDDR SDRAM

Direct RDRAM

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Direct RDRAMRambusDRAMDRAMRAS/RAS/Direct Rambus1618RIMMRambus In-line Memory ModuleNINTENDO64使Direct RDRAMDirect RDRAMPCPC133 SDRAMDDR

DDRはDDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)のことである。内部のメモリセルアレイの読み出し時には2ビットや4ビット、8ビット分のセルを一度にアクセスし、データバスへの出力には読み出した信号線を切り替えて直列並列変換を行っている。書き込み時にはこの逆となる。パーソナルコンピュータでの使用ではほとんど全てがDIMM(Dual Inline Memory Module)での実装となっている。DDRの登場によって従来のSDRAMはSDR(シングル・データ・レート)と呼ばれることが多い。

DDR SDRAM

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SDRAMSDR2SDR50%SDRDQSSDRLVTTLSSTL[6] 200MHz266MHz332MHz400MHz2.5V2.6V184DIMM

DDR2 SDRAM

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DDR2SDR4"Posted CAS"DDRRASCAStRCDDDR2RAStRCDCAS"Additive Latency"CASODTOne Die TerminationOCDOff Chip Driver調DDR2調[6]

400MHz533MHz667MHz800MHz1066MHz5128M2G251.8V240DIMM

DDR3 SDRAM

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DDRでの同期クロックを4倍に高めそれぞれの立ち上がりと立ち下り時にデータ入出力を確定するのでSDRに比べて8倍のデータ転送速度となる。 動作周波数は800MHz、1066MHz、1333MHz、1600MHzの4種類があり、単体での半導体パッケージの容量では512Mビットや1Gビット、2Gビットのものが多い[注 4][7]。電源電圧は1.5V[8]と1.35V。

DDR4 SDRAM

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DDR5 SDRAM

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他のDRAM

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グラフィック用途でのDRAMとして書き込みと読み出しが同時平行で行えるようになっている。今でも高性能グラフィック回路で使用される。

VC-SDRAM

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日本のNECが開発したもので、内部にチャンネルを設けてメモリーセルと入出力部との伝送速度を高める工夫がなされたが、普及しなかった。

XDR DRAM

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ECCメモリ

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余分なビット誤り訂正符号を記録することで、ソフトエラー英語版によるデータの破損を検出・修正できる。 高信頼性用途のサーバなどで使われる。

スマートフォンや省電力な組み込み用途向けの規格。

レジスタード・メモリ

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使 ECCDRAM

DRAM業界

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装置産業

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DRAM業界を含むメモリ半導体製造業界は、黎明期の1970年代以降では、他社との技術的な差別化の余地が比較的少ないものとなっている。メモリ半導体を製造するメーカーのうち、先行するメーカーは、半導体製造装置メーカーと共に、一部は既にCPU等で開発された最先端技術(半導体製造装置メーカーがCPUメーカーとのビジネスで得たノウハウ)も取り入れ、メモリー半導体製造装置を共同開発して導入することで、生産工場を整えることになっている。開発現場を提供したことの対価として、メモリー半導体メーカーは共同開発パートナーである製造装置メーカーから安価に共同開発済みの装置を複数調達導入する。半導体製造装置メーカーは、追随するメモリ半導体メーカーへ同じ装置を販売することで利益を得る。追随するメモリー半導体メーカーが新規の独自技術を開発することは比較的少なく、半導体を高い生産性で量産するための工夫と経験が各社の差別化での大きな要素となっている。「半導体製造装置を買える程の投資資金があれば誰でもメモリメーカーとして起業できる」[要出典]とは、あまりにも極論であるが、世界的にはほとんど同種の半導体製造装置が各社の生産ラインに並んでいる事実が示すように、製造装置での技術的な差異は少ない。

シリコンサイクル

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現在では、メモリ半導体メーカー各社は、パーソナルコンピュータの需要が拡大する時期(新しいWindows OS製品が登場するときなど)に合わせて、量産体制を拡大している。一方、過去には「シリコンサイクル」と呼ばれるサイクルが、半導体業界の景気の好不況の循環を主導してきた。パーソナルコンピュータの需要拡大等でメモリ製品が不足すると、価格は上昇する。メモリ半導体メーカーは、上昇した価格と旺盛なメモリ製品への需要に基づいて、将来への投資といった経営判断を下し、生産設備への拡大投資を決定する。このとき、1社が生産設備の拡大を行うだけでなく、ほとんど全てのメモリメーカーが生産設備を拡大するので、生産ラインが完成して量産に移行する頃には需要拡大は既に終わっており、各社の生み出す大量のメモリ製品がほとんど同時期に市場にあふれて価格は暴落する。こういったサイクルを過去に数回繰り返してきたため、日本の総合家電メーカーのように多くの企業は、度々訪れる莫大な赤字に耐え切れず半導体ビジネスから撤退していった。このような経緯から、1990年代中期以降、生き残ったDRAMメーカー各社は、過去の失敗を参考に、将来の需要予測に対して細心の注意を払いながら設備投資を行い、かつ価格操作や供給コントロールを行うことで、シリコンサイクルが起こらないように努めてきた。

価格低迷と大幅赤字

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2000SamsungHynixQimondaMicron52006DRAMDDR2DDR3DRAM2007Windows VistaPC2004DRAMDRAM調DRAMWindows VistaWindows XPNANDDRAM20062007200820082201[5] DRAM1Gbit2007180%DRAM2008DRAMSamsung[6][9]20091235[10]
 
DRAM 20081
 
DRAM 20093

DRAM2009[11]DRAM2011DRAMDRAM

業界再編

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20092013DRAM

5(InoteraNanyaPowerchipProMOSWinbond)Nanya54Micron2008NanyaInoteraNanya20128DRAM退ProMOS5DRAM退

52009630[12]20122[13]20137Micron[14]RexchipMicron4Micron32Hynix2

2013SamsungMicronHynix3Hynix2011201321[15]

脚注

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注釈

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(一)^ CCD1988Micron TechnologyOptic RAM

(二)^  DRAMDRAM使1 

(三)^ DRAM  2011623

(四)^ Samsung Electronics200961716GDDR31.35V14G4

(五)^ 512M64M×8DDR2 667M/2006116.520081280.31

(六)^ 2008Samsung78%1,900Hynix4,650245

出典

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(一)^ How to "open" microchip and what's inside? : ZeptoBars (20121115). 2016314201642 Micron MT4C1024  1 mebibit (220 bit) dynamic ram. Widely used in 286 and 386-era computers, early 90s. Die size - 8662x3969µm.

(二)^  DRAMQimonda

(三)^ abDRAM The Invention of On-Demand Data - IBM

(四)^    2008928 ISBN 978-4-526-06129-5

(五)^ 2: 12: DRAM. ifdl.jp.  . 2022115

(六)^ abc LSI 200671ISBN 4-534-04086-5

(七)^ [1]

(八)^    BP 1999126 ISBN 4-8222-0926-1

(九)^   2009112 37-69

(十)^ JETRO 1

(11)^ computerworld

(12)^  (PDF).  (2009630). 2011212

(13)^   - MSN

(14)^ Micron - PC Watch

(15)^ SK1 | Joongang Ilbo | 

関連項目

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