「ちくま文庫」の版間の差分
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当初は、自社刊行物の囲い込み(自社自身での再刊)の意識が強かったが、[[1992年]]([[平成]]4年)の[[ちくま学芸文庫]]発足以降は、一般書籍の比重が高くなった(両レーベル共に、他社初版の再刊も多い)。創刊から25年以上を経過したため、品切れになった著名作品([[アントン・チェーホフ|チェーホフ]]全集、[[岡本かの子]]全集、[[坂口安吾]]全集など)も多く、初版のみで品切となった書目も多い。読者アンケートなどをもとに、不定期で復刊も行っている。 |
当初は、自社刊行物の囲い込み(自社自身での再刊)の意識が強かったが、[[1992年]]([[平成]]4年)の[[ちくま学芸文庫]]発足以降は、一般書籍の比重が高くなった(両レーベル共に、他社初版の再刊も多い)。創刊から25年以上を経過したため、品切れになった著名作品([[アントン・チェーホフ|チェーホフ]]全集、[[岡本かの子]]全集、[[坂口安吾]]全集など)も多く、初版のみで品切となった書目も多い。読者アンケートなどをもとに、不定期で復刊も行っている。 |
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また、古典文芸作品では、[[マルセル・プルースト]]﹃[[失われた時を求めて]]﹄を1990年代前半に文庫化し重版、小説では、[[三島由紀夫]]﹃[[三島由紀夫レター教室]]﹄ {{efn2|ミュージシャンの[[小沢健二]]がテレビで紹介したところ、火がついたように重版され、小沢のお気に入り本との紹介コピー入った帯が新たに付き、小沢自身も喜んだという{{sfn|岡崎|2000|pp=234-235}}。女性向けファッション雑誌﹃[[Olive (雑誌)|Olive]]﹄1992年9月号の﹁私が文を学んだ本﹂というコーナーで紹介したことがきっかけという説もある<ref>{{Cite web |
また、古典文芸作品では、[[マルセル・プルースト]]﹃[[失われた時を求めて]]﹄を1990年代前半に文庫化し重版、小説では、[[三島由紀夫]]﹃[[三島由紀夫レター教室]]﹄ {{efn2|ミュージシャンの[[小沢健二]]がテレビで紹介したところ、火がついたように重版され、小沢のお気に入り本との紹介コピー入った帯が新たに付き、小沢自身も喜んだという{{sfn|岡崎|2000|pp=234-235}}。女性向けファッション雑誌﹃[[Olive (雑誌)|Olive]]﹄1992年9月号の﹁私が文を学んだ本﹂というコーナーで紹介したことがきっかけという説もある<ref>{{Cite web|和書|url=https://tower.jp/article/news/2020/10/23/tg002 |title=小沢健二×三島由紀夫のコラボが実現。小沢健二、﹁三島由紀夫レター教室﹂特別帯をデザイン |accessdate=2022-05-25 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20201026063156/https://tower.jp/article/news/2020/10/23/tg002 |archivedate=2020-10-26}}</ref>。}}、[[ガブリエル・ガルシア=マルケス|ガルシア=マルケス]]﹃エレンディラ﹄など多くの再刊をしている。
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一方で、[[赤瀬川原平]]『老人力』のような話題作や、[[都築響一]]による『珍日本紀行』や『TOKYO STYLE』、『賃貸宇宙』といった[[写真集]]や、[[なぎら健壱]]・[[藤木TDC]]・[[今柊二]]他多数の「食・酒場めぐり案内」など、硬軟両面の特徴をあわせ持っている。 |
一方で、[[赤瀬川原平]]『老人力』のような話題作や、[[都築響一]]による『珍日本紀行』や『TOKYO STYLE』、『賃貸宇宙』といった[[写真集]]や、[[なぎら健壱]]・[[藤木TDC]]・[[今柊二]]他多数の「食・酒場めぐり案内」など、硬軟両面の特徴をあわせ持っている。 |
2023年10月4日 (水) 08:15時点における版
ちくま文庫︵ちくまぶんこ︶は、株式会社筑摩書房が発行している文庫レーベル。1985年︵昭和60年︶12月より刊行が開始された。フォーマットならびに基本的な装幀は安野光雅がデザインした。
特徴
ちくま文庫の柱は4本あり、﹁新教養﹂﹁古典﹂﹁ヤングアダルト﹂﹁全集﹂である[1]。文庫名を﹁筑摩文庫﹂でなく、敢えて平仮名で﹁ちくま文庫﹂と命名したのは、元々の筑摩書房のイメージから離れ、﹁ゆるやかな枠組みで作品を選んでいこう﹂という想い[2]に基づいている。 文庫レーベルは2種類に分けられ、﹁翻訳、古典、シリーズ﹂を扱う月マークと﹁現代日本の小説、エッセイ、評論、ノンフイクションほか﹂を扱う太陽マークが扉ページに描かれている。個人全集を多数出した版元として、文庫サイズでの個人全集︵夏目漱石・芥川龍之介・森鷗外・太宰治・宮沢賢治など多数︶が充実[注 1]しているのも特色である。 当初は、自社刊行物の囲い込み︵自社自身での再刊︶の意識が強かったが、1992年︵平成4年︶のちくま学芸文庫発足以降は、一般書籍の比重が高くなった︵両レーベル共に、他社初版の再刊も多い︶。創刊から25年以上を経過したため、品切れになった著名作品︵チェーホフ全集、岡本かの子全集、坂口安吾全集など︶も多く、初版のみで品切となった書目も多い。読者アンケートなどをもとに、不定期で復刊も行っている。 また、古典文芸作品では、マルセル・プルースト﹃失われた時を求めて﹄を1990年代前半に文庫化し重版、小説では、三島由紀夫﹃三島由紀夫レター教室﹄ [注 2]、ガルシア=マルケス﹃エレンディラ﹄など多くの再刊をしている。 一方で、赤瀬川原平﹃老人力﹄のような話題作や、都築響一による﹃珍日本紀行﹄や﹃TOKYO STYLE﹄、﹃賃貸宇宙﹄といった写真集や、なぎら健壱・藤木TDC・今柊二他多数の﹁食・酒場めぐり案内﹂など、硬軟両面の特徴をあわせ持っている。 2006年︵平成18年︶には、ちくま学芸文庫で数学、物理学、科学史などを扱う科学部門の﹁Math&Science﹂シリーズが発足した。 2015年︵平成27年︶には創刊30周年記念として、月のノオトという自由に書き込めるノートを全国にまわし、何冊もどってくるかという企画が催された。 2023年9月、晩聲社から出ていたが絶版になっていた茶本繁正の﹁原理運動の研究﹂を復刊。著名な刊行書目︵上記以外︶
●ちくま日本文学︵全40巻︶ 編集協力‥安野光雅、池内紀、井上ひさし、鶴見俊輔、森毅 - ﹃ちくま日本文学全集﹄︵1991年〜1993年︶をもとに、再編集したもの。 ●宮下志朗訳、フランソワ・ラブレー﹃ガルガンチュワとパンタグリュエル﹄︵全5巻︶ ●松岡和子訳、シェイクスピア全集、︵刊行中、2014年現在25巻目︶ ●夏目漱石全集 (全10巻) ●森鴎外全集︵全14巻︶ ●柳田國男全集︵全32巻、ほぼ品切︶ ●芥川龍之介全集︵全8巻︶ ●太宰治全集︵全10巻︶ ●宮沢賢治全集︵全10冊︶ ●中島敦全集︵全3巻︶ ●梶井基次郎全集︵全1巻︶ ●夢野久作全集︵全11巻、ほぼ品切︶ ●坂口安吾全集︵全18巻︶ ●ロートレアモン全集︵石井洋二郎訳、全1巻。マルドロールの歌ほか︶ ●三国志演義︵井波律子訳、全7巻︶、品切 ●水滸伝︵駒田信二訳、全8巻︶[注 3] ●詳注版シャーロック・ホームズ全集、全10巻+別巻︵シャーロック・ホームズ事典︶-詳細な解説・注入り︵小池滋監訳︶、品切。 ●ノヴァーリス作品集︵全3巻、今泉文子訳︶ ●山田風太郎明治小説全集︵全14巻︶、﹃山田風太郎忍法帖短篇全集﹄︵全12巻︶[注 4]脚注
注釈
(一)^ 一部を除き、全巻分売されるので、読者は好きな巻だけを買うことができ、宮沢賢治の場合は童話の収録された巻の売れ行きがよく、詩集の収録された巻は弱い。ただし、常備は難しいので品切の巻も多い[3]。
(二)^ ミュージシャンの小沢健二がテレビで紹介したところ、火がついたように重版され、小沢のお気に入り本との紹介コピー入った帯が新たに付き、小沢自身も喜んだという[4]。女性向けファッション雑誌﹃Olive﹄1992年9月号の﹁私が文を学んだ本﹂というコーナーで紹介したことがきっかけという説もある[5]。
(三)^ 元版は﹁中国古典文学大系﹂で、講談社文庫︵全8巻︶版を再刊
(四)^ 前者は単行判全6巻と同時刊行、後者は文庫オリジナルでの全集判
出典
参考文献
- 岡崎武志『文庫本 雑学ノート[二冊目]文庫王のごひいき文庫ものがたり』ダイヤモンド社、2000年、229-240頁頁。ISBN 4-478-95035-0。