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「オテロ (ヴェルディ)」の版間の差分

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{{Portal クラシック音楽}}

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『'''オテロ'''』''Otello''は、[[ジュゼッペ・ヴェルディ]]が作曲した全4幕からなる[[オペラ]]である。[[1887年]]、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]で初演された。『'''オテッロ'''』とも表記される。

『'''オテロ'''』 (''Otello'') は、[[ジュゼッペ・ヴェルディ]]が作曲した全4幕からなる[[オペラ]]である。[[1887年]]、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]で初演された。『'''オテッロ'''』とも表記される。



*原語曲名:''Otello''

* 原語曲名:''Otello''

*原作:[[ウィリアム・シェイクスピア]]の悲劇『[[オセロ (シェイクスピア)|オセロ]]』''Othello''

* 原作:[[ウィリアム・シェイクスピア]]の悲劇『[[オセロ (シェイクスピア)|オセロ]]』 (''Othello'')

*台本:[[アッリーゴ・ボーイト]]

* 台本:[[アッリーゴ・ボーイト]]

*演奏時間:約2時間20分

* 演奏時間:約2時間20分

*初演[[1887年]][[2月5日]]、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]にて

* 初演[[1887年]][[2月5日]]、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]にて



== 作曲の経緯 ==

== 作曲の経緯 ==

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== 舞台構成 ==

== 舞台構成 ==

全4幕

全4幕


*第1幕 キプロスの港

*第2 庭園に面する城一室

* 1 - キプロス

*第3 城の大広間

* 2 - 庭園に面する城の一室

*第4 デズデーモナ寝室

* 3 - 城大広間

* 第4幕 - デズデーモナの寝室



== 編成 ==

== 編成 ==

===主な登場人物===

=== 主な登場人物 ===

*オテロムーア人でヴェネツィア領キプロスの総督 ([[テノール]])

* オテロ - ムーア人でヴェネツィア領キプロスの総督([[テノール]])

*イヤーゴオテロの旗手 ([[バリトン]])

* イヤーゴ - オテロの旗手([[バリトン]])

*カッシオオテロの副官 (テノール)

* カッシオ - オテロの副官(テノール)

*ロデリーゴヴェネツィアの貴族 (テノール)

* ロデリーゴ - ヴェネツィアの貴族(テノール)

*ロドヴィーコヴェネツィアからの使者 ([[バス (声域)|バス]])

* ロドヴィーコ - ヴェネツィアからの使者([[バス (声域)|バス]])

*モンターノキプロスの前総督 (バス)

* モンターノ - キプロスの前総督(バス)

*デズデーモナオテロの妻 ([[ソプラノ]])

* デズデーモナ - オテロの妻([[ソプラノ]])

*エミーリアイヤーゴの妻で、デズデーモナの女中 ([[メゾソプラノ]])

* エミーリア - イヤーゴの妻で、デズデーモナの女中([[メゾソプラノ]])

*合唱

* 合唱



===楽器編成===

=== 楽器編成 ===

[[フルート]]3(第3奏者[[ピッコロ]]持ち替え)、[[オーボエ]]2、[[コーラングレ]]、[[クラリネット]]2、[[バスクラリネット|バス・クラリネット]]、[[ファゴット]]4、[[ホルン]]4、[[コルネット]]2、[[トランペット]]2、[[トロンボーン]]3、[[バストロンボーン|コントラバス・トロンボーン(チンバッソ)]]、[[ティンパニ]]、[[シンバル]]、[[タムタム]]、[[バスドラム|大太鼓]]、[[ハープ]]、[[弦五部]]

[[フルート]]3(第3奏者[[ピッコロ]]持ち替え)、[[オーボエ]]2、[[コーラングレ]]、[[クラリネット]]2、[[バスクラリネット|バス・クラリネット]]、[[ファゴット]]4、[[ホルン]]4、[[コルネット]]2、[[トランペット]]2、[[トロンボーン]]3、[[バストロンボーン|コントラバス・トロンボーン(チンバッソ)]]、[[ティンパニ]]、[[シンバル]]、[[タムタム]]、[[バスドラム|大太鼓]]、[[ハープ]]、[[弦五部]]

;舞台のバルコニー

:[[マンドリン]]、[[ギター]]、[[バグパイプ]]、[[タンブリン]]

;舞台裏

:トランペット6、トロンボーン4、[[サンダーマシーン]]、[[オルガン]]、大砲

『[[ドン・カルロ]]』と同じく[[エクトル・ベルリオーズ|ベルリオーズ]]のフランス風の[[管弦楽法]]の影響が強い。



; 舞台のバルコニー

==あらすじ==

: [[マンドリン]]、[[ギター]]、[[バグパイプ]]、[[タンブリン]]

; 舞台裏

: トランペット6、トロンボーン4、[[サンダーマシーン]]、[[オルガン]]、大砲


『[[ドン・カルロ]]』と同じく[[エクトル・ベルリオーズ|ベルリオーズ]]のフランス風の[[管弦楽法]]の影響が強い。



== あらすじ ==

と場所: 15世紀末、キプロス島の港町

15世紀末、場所はキプロス島の港町



===第1幕===

=== 第1幕 ===

激しい嵐。島の住民が待ちわびる中、オテロに率いられた船団が帰還する。敵、トルコ艦隊は海の藻屑になったとの勝利報告に住民は歓喜する。カッシオが副官になったことを妬むヤーゴは一計を案じ、酒に弱いカッシオにワインを無理強いする。カッシオは悪酔いし醜態を演じたばかりか、喧嘩の仲裁に入ったモンターノを傷付ける。騒ぎを聞いたオテロが戻ってくる。彼は即座にカッシオを罷免、群衆に帰宅を命ずる。舞台にはオテロと妻デズデーモナだけが残り、愛情を確かめ合う美しい二重唱が歌われる。

激しい嵐。島の住民が待ちわびる中、オテロに率いられた船団が帰還する。敵、トルコ艦隊は海の藻屑になったとの勝利報告に住民は歓喜する。カッシオが副官になったことを妬むヤーゴは一計を案じ、酒に弱いカッシオにワインを無理強いする。カッシオは悪酔いし醜態を演じたばかりか、喧嘩の仲裁に入ったモンターノを傷付ける。騒ぎを聞いたオテロが戻ってくる。彼は即座にカッシオを罷免、群衆に帰宅を命ずる。舞台にはオテロと妻デズデーモナだけが残り、愛情を確かめ合う美しい二重唱が歌われる。



===第2幕===

=== 第2幕 ===

副官の座を失ったカッシオに、ヤーゴは「デズデモーナに取成しを頼め」と提案する。オテロが登場。ヤーゴは、庭園でカッシオとデズデモーナが歓談している様子を、さも二人が不貞を働いているかのようにオテロに信じ込ませる。室内に入ってきたデズデモーナはカッシオの赦免を夫に願うが、心中疑念をもつオテロは耳を貸さない。デズデモーナが落としたハンカチは女中エミーリアが拾ったものの、その夫ヤーゴが脅迫の末手中に入れる。ヤーゴとオテロ二人だけが舞台に残り、オテロは「不倫の証拠を見せろ」と迫る。ヤーゴは、「カッシオが夢の中でデズデモーナを求めていた」と作り話をし、また、デズデモーナが愛用していたハンカチ(それはオテロからの彼女への贈り物だった)を、カッシオが持っているのを見た、と吹き込む。激怒したオテロは復讐を誓う。

副官の座を失ったカッシオに、ヤーゴは「デズデモーナに取成しを頼め」と提案する。オテロが登場。ヤーゴは、庭園でカッシオとデズデモーナが歓談している様子を、さも二人が不貞を働いているかのようにオテロに信じ込ませる。室内に入ってきたデズデモーナはカッシオの赦免を夫に願うが、心中疑念をもつオテロは耳を貸さない。デズデモーナが落としたハンカチは女中エミーリアが拾ったものの、その夫ヤーゴが脅迫の末手中に入れる。ヤーゴとオテロ二人だけが舞台に残り、オテロは「不倫の証拠を見せろ」と迫る。ヤーゴは、「カッシオが夢の中でデズデモーナを求めていた」と作り話をし、また、デズデモーナが愛用していたハンカチ(それはオテロからの彼女への贈り物だった)を、カッシオが持っているのを見た、と吹き込む。激怒したオテロは復讐を誓う。



===第3幕===

=== 第3幕 ===








使

使


===第4幕===

=== 第4幕 ===

デズデモーナは床に就く用意をしている。ここ数日の夫の言動から不吉な予感を覚える彼女は「もし死んだら婚礼の衣装で身を包んでほしい」と、女中エミーリアに依頼する。オテロが寝室に現れ、カッシオとの姦通を詰責する。デズデモーナは抗弁も空しくオテロに絞殺される。エミーリアが「カッシオがロデリーゴを殺した」と急を告げに戻ってくるが、デズデモーナが殺されているのを発見、驚いて人々を呼ぶ。エミーリアは「夫ヤーゴが私からハンカチを奪った」と証言、ロデリーゴが死ぬ前に陰謀の全てを白状した、との事実も明らかになる。形勢不利とみたヤーゴは遁走する。いまや全てを悟ったオテロは短刀で自刃し、妻の遺体に最後の接吻を求めつつ息絶えて、幕。

デズデモーナは床に就く用意をしている。ここ数日の夫の言動から不吉な予感を覚える彼女は「もし死んだら婚礼の衣装で身を包んでほしい」と、女中エミーリアに依頼する。オテロが寝室に現れ、カッシオとの姦通を詰責する。デズデモーナは抗弁も空しくオテロに絞殺される。エミーリアが「カッシオがロデリーゴを殺した」と急を告げに戻ってくるが、デズデモーナが殺されているのを発見、驚いて人々を呼ぶ。エミーリアは「夫ヤーゴが私からハンカチを奪った」と証言、ロデリーゴが死ぬ前に陰謀の全てを白状した、との事実も明らかになる。形勢不利とみたヤーゴは遁走する。いまや全てを悟ったオテロは短刀で自刃し、妻の遺体に最後の接吻を求めつつ息絶えて、幕。



== 備考 ==

== 備考 ==

*登場人物中、ヴェルディが最初に惹かれたのは悪役ヤーゴであった。1882年頃までは、作曲中のこのオペラを彼はしばしば『ヤーゴ』''Jago''と称している。彼が『オテロ』と呼ぶことに消極的だったもう1つの理由として、[[ジョアキーノ・ロッシーニ|ロッシーニ]]が既に同名の作品を発表していた([[1816年]])こともある。ヴェルディはロッシーニをオペラ作曲の大先輩として深く敬愛していた。

* 登場人物中、ヴェルディが最初に惹かれたのは悪役ヤーゴであった。1882年頃までは、作曲中のこのオペラを彼はしばしば『ヤーゴ』''Jago''と称している。彼が『オテロ』と呼ぶことに消極的だったもう1つの理由として、[[ジョアキーノ・ロッシーニ|ロッシーニ]]が既に同名の作品を発表していた([[1816年]])こともある。ヴェルディはロッシーニをオペラ作曲の大先輩として深く敬愛していた。

*1887年2月5日、[[ミラノ]]・スカラ座での初演はヨーロッパ音楽界を挙げての一大イヴェント化した観があった。観客の中には、イタリアの作曲家[[フランチェスコ・パオロ・トスティ]]、[[ウィーン]]の著名な音楽評論家[[エドゥアルト・ハンスリック]]などの姿もあった。

* 1887年2月5日、[[ミラノ]]・スカラ座での初演はヨーロッパ音楽界を挙げての一大イヴェント化した観があった。観客の中には、イタリアの作曲家[[フランチェスコ・パオロ・トスティ]]、[[ウィーン]]の著名な音楽評論家[[エドゥアルト・ハンスリック]]などの姿もあった。

*初演指揮者は、このオペラ制作に「チョコレート計画」の当初から関与したフランコ・ファッチオ。オテロには「スカラ座の遥か遠くまで声が響く」と評された[[フランチェスコ・タマーニョ]]、ヤーゴ役には、フランス人ながらヴェルディのお気に入りで、『シモン・ボッカネグラ(改訂版)』、『[[ファルスタッフ]]』でも初演に加わった[[ヴィクトル・モレル]]が参加した。また、スカラ座の第2チェロ・パートには、当時まだ20歳前の[[アルトゥーロ・トスカニーニ]]もいた。

* 初演指揮者は、このオペラ制作に「チョコレート計画」の当初から関与したフランコ・ファッチオ。オテロには「スカラ座の遥か遠くまで声が響く」と評された[[フランチェスコ・タマーニョ]]、ヤーゴ役には、フランス人ながらヴェルディのお気に入りで、『シモン・ボッカネグラ(改訂版)』、『[[ファルスタッフ]]』でも初演に加わった[[ヴィクトル・モレル]]が参加した。また、スカラ座の第2チェロ・パートには、当時まだ20歳前の[[アルトゥーロ・トスカニーニ]]もいた。

*オテロ役は傑出したアリアこそないものの、テノール・ドラマティコにとって最大の難役の一つとされる。「オテロ歌い」として著名な歌手には[[ジョヴァンニ・マルティネッリ]]、[[レナート・ザネッリ]]、[[ラモン・ヴィナイ]]、[[マリオ・デル=モナコ]]、[[ジョン・ヴィッカーズ]]そして[[プラシード・ドミンゴ]]が挙げられる。

* オテロ役は傑出したアリアこそないものの、テノール・ドラマティコにとって最大の難役の一つとされる。「オテロ歌い」として著名な歌手には[[ジョヴァンニ・マルティネッリ]]、[[レナート・ザネッリ]]、[[ラモン・ヴィナイ]]、[[マリオ・デル=モナコ]]、[[ジョン・ヴィッカーズ]]そして[[プラシード・ドミンゴ]]が挙げられる。

*ヤーゴ役も、性格俳優的要素の強い難役とされる。[[ティッタ・ルッフォ]]、[[ティート・ゴッビ]]などが代表的なヤーゴ歌手である。

* ヤーゴ役も、性格俳優的要素の強い難役とされる。[[ティッタ・ルッフォ]]、[[ティート・ゴッビ]]などが代表的なヤーゴ歌手である。

*1887年の時点で、本作には『[[序曲]]』が既に書かれていたが、初演時を含め実際の上演で使用されることはなかった。2009年に、[[リッカルド・シャイー]]の指揮により[http://www.arkivmusic.com/classical/album.jsp?album_id=77065 録音]されている。

* 1887年の時点で、本作には『[[序曲]]』が既に書かれていたが、初演時を含め実際の上演で使用されることはなかった。2009年に、[[リッカルド・シャイー]]の指揮により[http://www.arkivmusic.com/classical/album.jsp?album_id=77065 録音]されている。



== 参考文献 ==

== 参考文献 ==

*Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 3)", Cassell, (ISBN 0-3043-1060-3)

* Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 3)", Cassell, (ISBN 0-3043-1060-3)

*Marcello Conati & Mario Medici (Ed.), William Weaver (Tr.), "The Verdi-Boito Correspondence", University of Chicago Press (ISBN 0-2268-5304-7)

* Marcello Conati & Mario Medici (Ed.), William Weaver (Tr.), "The Verdi-Boito Correspondence", University of Chicago Press (ISBN 0-2268-5304-7)

*永竹由幸「ヴェルディのオペラ――全作品の魅力を探る」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1046-1)

* 永竹由幸「ヴェルディのオペラ――全作品の魅力を探る」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1046-1)

*福尾芳昭「二百年の師弟――ヴェルディとシェイクスピア」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1561-7)

* 福尾芳昭「二百年の師弟――ヴェルディとシェイクスピア」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1561-7)



{{ヴェルディのオペラ}}

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2016年11月30日 (水) 10:36時点における版


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Otello

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Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 3)", Cassell, (ISBN 0-3043-1060-3)

Marcello Conati & Mario Medici (Ed.), William Weaver (Tr.), "The Verdi-Boito Correspondence", University of Chicago Press (ISBN 0-2268-5304-7)

  (ISBN 4-2762-1046-1)

  (ISBN 4-2762-1561-7)