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リゴレット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リゴレット
Rigoletto
リゴレットの初演ポスター。
作曲 ジュゼッペ・ヴェルディ
原作 ヴィクトル・ユーゴーの戯曲『王は愉しむフランス語版英語版Le Roi s'amuse
台本 フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
言語 イタリア語
演奏時間 約2時間
初演 1851年3月11日ヴェネツィアフェニーチェ座にて、作曲者自身の指揮による。

Rigoletto31851

[]


18504185110

Kean183628Le Roi s'amuse(Triboulet)

18321122171882

185062La Maledizione di Saint-Vallier(Triboletto)

8111012

1稿Il Duca di Vendome

185012306

(一)

(二)

(三)

(四)1

(五)

(六)1851228

(Rigoletto)1851114

185121931120

[]


321443



1
1 

2 

2 

3 

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[]

 

 - Mantova#

 - Rigoletto[1]

 - 16GildaGildaHermenegildHermenegila[2] gelt [3]

 - SparafucileSpara =  / fucile = [ 1]

 -  / MaddalenaMagdala[4][5]














[]


 - 21

 - 21

 - 2

 - 2

 - 4

 - 3

 - 3

 - 1

 - 1

 - 1

12

12

2

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16

前奏曲[編集]

音楽・音声外部リンク
前奏曲のみ試聴する
G.Verdi - Rigoletto, Preludio - Leonardo Catalanotto指揮ORCHESTRA, CORO E TECNICI DEL TEATRO MASSIMO BELLINIによる演奏。当該指揮者自身の公式YouTube。

2調

1[]


1Questa o quella

2Pari siamo2Caro nome

2[]


Parmi veder le lagrime殿Cortigiani, vil razza dannata

3[]


La donna è mobile44Bella figlia dell'amore

1022


有名なアリア・重唱等[編集]


Questa o quella11

Pari siamo12

2È il sol dell'anima12

Caro nome12

Parmi veder le lagrime2

Cortigiani, vil razza dannata2

La donna è mobile3

4Bella figlia dell'amore3
4S.4344Wilhelm Krüger[6]

[]

音楽・音声外部リンク
マントヴァ公爵のカンツォーネ
『女は気まぐれ(La donna è mobile)』
Verdi's La donna è mobile - ジョセフ・カレヤ(Joseph Calleja)のT独唱、シャン・ジャン(張弦)指揮、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団による演奏。
BBC Radio3公式YouTube。

La donna è mobile

La donna è mobile
Qual piuma al vento,
Muta d'accento - e di pensiero.


Sempre un amabile,
Leggiadro viso,
In pianto o in riso, - è menzognero.


È sempre misero
Chi a lei s'affida,
Chi le confida - mal cauto il core!


Pur mai non sentesi
Felice appieno
Chi su quel seno - non liba amore!

女は気まぐれ

女は気まぐれ
まるで羽根 風の中の
声色が変わる そして心も


いつも愛らしい
可憐なお顔
泣いたり笑ったり 嘘で出来てる


いつも哀れだ
女を信じたり
打ち明けたり 不注意不用心!


なのに気づかない
しあわせいっぱいを
あのお乳の 愛に乾杯せねば!

美しい愛らしい娘よ[編集]

音楽・音声外部リンク
4重唱
『美しい愛らしい娘よ(Bella figlia dell'amore)』
"Bella Figlia dell'amore" - 吉田裕史指揮、ボローニャ歌劇場管弦楽団による演奏(4分39秒から)。
中央:マントヴァ公爵(歌:ヴァルター・ボリン)とマッダレーナ、左:リゴレットとジルダ、右:スパラフチーレ。
吉田裕史公式YouTube。

Bella figlia dell'amore

DUCA a Maddalena:

Bella figlia dell'amore,
Schiavo son dei vezzi tuoi;
Con un detto sol tu puoi
Le mie pene consolar.
Vieni e senti del mio core
Il frequente palpitar.


MADDALENA rispondendo al duca:

Ah! ah! rido ben di core,
Che tai baie costan poco
Quanto valga il vostro gioco,
Mel credete, so apprezzar.
Son avvezza, bel signore,
Ad un simile scherzar.


GILDA a sé stessa:

Ah, così parlar d'amore
A me pur l'infame ho udito!
Infelice cor tradito,
Per angoscia non scoppiar.


RIGOLETTO a Gilda:

Taci, il piangere non vale...
Ch'ei mentiva sei sicura.
Taci, e mia sarà la cura
La vendetta d'affrettar.
Sì, pronta fia, sarà fatale,
Io saprollo fulminar.

美しい愛らしい娘よ

公爵からマッダレーナ:

べっぴんな 愛の乙女
素敵な 貴君の とりこに
ただ貴君の たった一言が
僕の落ちこんだ心を癒すんだ
近くへ寄り 触れてみよ心へ
胸 震え狂いて 春来た


マッダレーナから公爵への返答:

は!は! 本当可笑しい人ね
からかいは簡単なこと
おいくらかしら あなたの劣情
心を込めてさ お礼をしたら
もう慣れたの 色男ね
ありふれた言葉ね


ジルダの独白:

ああ、このように愛に埋もれ
私にも言った 最低な人!
裏切りに 不しあわせよ
平安を失い 胸 張りやるなかれ


リゴレットからジルダ:

黙れ 泣いても仕方がないね・・・
欺瞞男だ お前に分かるな
黙れ で、ワシがやることは、
だ、 とっとと かたき討ちだ
そうだ 用意は いいな さあ当たれ
威力は 電撃的だ

備考[編集]

  • マントヴァ公爵の役名はイタリア語台本でもIl Duca di Mantovaとのみ記されているが、この時代設定からすると、作曲家モンテヴェルディや画家ルーベンスなどの庇護者として知られたヴィンチェンツォ1世・ゴンザーガのはずである。当初はその本名に言及する台本が作成されていたが、最終的には1851年2月24日前後の検閲で単に「マントヴァ公爵」とさせられた。もっとも台本作家ピアーヴェによれば「これは大したことではない。この時代誰がマントヴァを統治していたかは皆知っているのだから」。確かにヴィンチェンツォに金銭的には浪費家の一面はあったが、ヴェネツィア検閲当局によって彼は不当にも好色家・放蕩家の汚名をも着せられることとなった。
  • 第3幕の公爵のカンツォーネ『女は気まぐれ(女心の歌)』はヴェルディ自身も自信作と考えていたらしく、その秘匿に努めた。リハーサルへの一般人の出入りや盗み聴きを禁じたとも、初演の公爵役テノール、ラファエッレ・ミラーテに個人レッスンでのみこの曲を教えたとも、あるいはオーケストラ演奏者や共演声楽家には初演の数時間前になって初めて公開したなどとも伝えられ、諸説紛々としている。また、こういった秘匿の努力にもかかわらず初演終演後にはヴェネツィアの街の通行人、ゴンドラの漕ぎ手の大多数がこの歌を口ずさんでいた、ともいう。これらイタリア人にありがちな大げさな逸話の真偽はさておき、『女は気まぐれ(女心の歌)』は現在でもテノール歌手中最も有名なショー・ピースの一つであることは疑いようがない。
  • このオペラ中、リサイタルでたびたび演奏されるアリアは上記のように殊欠かないが、その魅力はむしろ次々と紡ぎ出される重唱の数々にあると考えられている。大規模な合唱場面を欠いている点でヴェルディの他作と大きな対照をなしているのも興味深い。ヴェルディ自身は、ジルダのためにもう一曲魅力的なアリアを補作してほしいという要請を断る書簡(1852年)において、作曲者の意図では『リゴレット』は途切れることのない一連の2重唱であるべきで、アリアは仕方なくそこに置かれているに過ぎず、これ以上何も加えようはない、という旨の考えを述べている。
  • このオペラでは検閲による変更を余儀なくされた地名、固有名詞などを除けばかなりの程度ヴィクトル・ユーゴーの原作戯曲を忠実にイタリア語化している。それにもかかわらず、ユーゴーには著作権料に相当する金銭の受取が一切なかったため彼は立腹、フランスで訴訟まで提起した(結果は敗訴)。このため同オペラのパリ初演は他の世界諸都市に大きく遅れて1857年1月19日(イタリア座)、世界初演のほぼ6年後であった。
  • ヴィクトル・ユーゴー自身、ヴェルディの効果的な重唱の用い方には驚嘆せざるを得なかった。同オペラのパリ初演に観客として(不承不承)招かれたユーゴーは第3幕の4重唱を聴いて「4人に同時に舞台で台詞を言わせて、個々の台詞の意味を観客に理解させるのは芝居では不可能だ」と述べたと伝えられている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ イタリアの芸術作品ではフェリーニの映画『』(1954年)においても fucile はストーリーのポイントである。『道』の主たる登場人物である道化師ザンパノは喜劇でそれを ciufile というふうに言い間違えて観客を笑わせる。彼は同業の道化師から ciufile をあだ名にされ、のちにこの同業者を殺す。
  2. ^ 公爵の台詞 le mie penela mia pena (私の痛み)の複数形であり、公爵の生殖器(私の生殖器 il mio pene)ではない。モーツァルトのアリア『Cara, se le mie pene いとしい人、もしも私の痛みが』(1769年)と同様である。Le mie pene が男性器を意味する場合は、例えばある特定の男性の生殖器の写真が複数枚あるような状態である。
  3. ^ マッダレーナと公爵の絡みは上演団体によって演出は様々であり、性的に過激な場合もある。
  4. ^ マントヴァ公爵とマッダレーナの性的な描写の流れの中でジルダは scoppiar という言葉を発するが、これは胸が張り裂けるという意味合いである。音が類似する scopare (性交を意味する俗語)と誤認しないように区別する必要がある。
  5. ^ リゴレットの台詞 mentiva とは、「彼(Mantova公爵)は嘘をついた」 という意味の動詞。

出典[編集]

  1. ^ rigoletto 伊和中辞典 2版の解説”. コトバンク
  2. ^ Josep M. Albaigès i Olivart, Diccionario de nombres de personas, Edicions Universitat Barcelona, 1993, pp. 126, 268.
  3. ^ The meaning, origin and history of the given name Gilda”. Behind the Name
  4. ^ Oxford Reference: Sparafucile”. オックスフォード大学出版局. 参照元: Joyce Bourne, A Dictionary of Opera Characters (2 ed.), Oxford University Press, 2008
  5. ^ Oxford Reference: Maddalena”. オックスフォード大学出版局. 参照元: Joyce Bourne, A Dictionary of Opera Characters (2 ed.), Oxford University Press, 2008
  6. ^ Bella figlia dell'amore, Op.61 (Krüger, Wilhelm)”. IMSLP

参考文献[編集]

  • Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 1)", Cassell, (ISBN 0-3043-1058-1)
  • Charles Osbone, "The Complete Operas of Verdi", Indigo, (ISBN 0-575-40118-4)
  • アッティラ・チャンパイ+ディートマル・ホラント(編)『リゴレット』(名作オペラブックス10)音楽之友社 (ISBN 4-276-37510-X)
  • 永竹由幸「ヴェルディのオペラ―全作品の魅力を探る」音楽之友社 (ISBN 4-2762-1046-1)

外部リンク[編集]