カニ
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カニ下目/短尾下目 Brachyura | ||||||||||||
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下位分類 | ||||||||||||
(本文参照) | ||||||||||||
英名 | ||||||||||||
Crab |
カニ︵蟹︶は、甲殻綱・エビ目︵十脚目︶・エビ亜目・カニ下目に分類される甲殻類の総称。分類上は短尾類︵たんびるい︶や短尾下目︵たんびかもく︶と呼ばれる事もある。
概要
熱帯から極地まで、世界中の海に沢山の種類が生息し、一部は沿岸域の陸上や淡水域にも生息する。成体の大きさは数mmしかないものから、脚の両端まで3mを超すタカアシガニまで変異に富む。 体は堅いキチン質の甲羅で覆われる。5対10本の歩脚の内、第1歩脚は頑丈な鋏脚︵はさみ︶に変化していて、餌を摑んだり、敵を威嚇したりするのに用いる。他の4対の歩脚には鋏はなく、移動に使われるが、ヘイケガニやカイカムリなどは後ろ2対の歩脚が小さく鉤状になっていて、これで海綿や貝殻を背負って身を隠す。また、ガザミやキンセンガニなどは歩脚が鰭の様に変化しており、素早く水をかいて泳ぐ事も出来る。カニといえば横歩きする事で知られるが、タカアシガニやミナミコメツキガニ、マメコブシガニなど前後に歩くカニもいる。 呼吸は体内のえらで行う為、生存には水が不可欠である。陸上生活にある程度適応したアカテガニやオカガニ類等も、たまに水分補給をする必要がある。 エビと違って腹部の筋肉は発達せず、アサヒガニ等一部の分類群を除いて腹部は頭胸甲の下側に折り畳まれる。オスの腹部は幅が狭く、1対の交尾器があるが、メスの腹部は抱卵する為に幅が広く、卵を保持する為の腹脚が長く発達している。 卵から孵化した幼生はプランクトンとして海中を浮遊しながら成長し、それぞれの生息に適した場所に漂着し稚ガニとなる。これは陸上生活に適応したアカテガニやオカガニ類とて例外ではない。但しサワガニは幼生期を卵の中で過ごす為、一生を海と無縁に過ごす。 尚、食用の﹁カニ﹂としてタラバガニやヤシガニ等も知られるが、これらは正確にはカニではなくヤドカリの仲間に分類される。よく見ると歩脚が3対6本しかないように見えるが、これは第5歩脚が甲羅内の鰓室︵鰓がある空間︶に折り畳まれている為である。文化
ズワイガニ、ケガニ、ガザミ等、多くの種類が食用に漁獲される。料理法はしゃぶしゃぶ、刺身、焼き物、鍋料理等多種多様である。蒸したり茹でたりして殻を割って食べる事もあるし、身を解してサラダ、チャーハン等の具材にもする。但し、エビやカニは食物アレルギーを起こし易く、製品を販売する場合にはエビやカニを原材料で使用している旨を表示する事が望ましいとされる。また、スベスベマンジュウガニ等毒を持つカニもいる。 中国では﹃九雌十雄﹄といい、旧暦の9月はメスの上海蟹が、10月はオスの上海蟹が美味とされている。これは気温が下がるに従って上海蟹の動きが鈍くなり、ミソや肉が溜まりだすからである。 また、カニを潰した血液を採取し、﹁かぶれの薬﹂等として使う人もいるが、これは民間療法の域を出ない。 癌の事を英語で cancer と言うが、これはラテン語の﹁カニ﹂から。これは腫瘍とその周辺の血管その他の組織が作り出す形状によるもの。潰瘍を意味する canker も同源だが、ギリシャ語の karkinos︵カニ︶と共に、これらの語はサンスクリット語の karkata︵カニ︶に由来すると言われる。 西洋星座の名称はラテン語なので、黄道星座の一つである﹁かに座﹂も Cancer である。﹁かに星雲﹂も潰れたカニの様に見えるところからこの名が付いたが、かに星雲があるのはかに座ではなくおうし座である。種類
淡水・汽水・沿岸域から深海まで、様々な水域に色々なカニが棲む。貝類等の体内に生息する物もいる。- 淡水域 - サワガニ、モクズガニ
- 川辺や海岸近く - アカテガニ、ベンケイガニ等
- 砂浜や干潟 - スナガニ、オサガニ、コメツキガニ、シオマネキ、アシハラガニ、ミナミコメツキガニ等
- 岩礁海岸 - イソガニ、イワガニ、オウギガニ、ショウジンガニ等
- 貝類等の体内 - オオシロピンノ、クロピンノ等
- 浅い海の砂泥底 - マメコブシガニ、キンセンガニ、ガザミ、アサヒガニ、ヘイケガニ、ケガニ等
- 浅い海の岩場 - イシガニ、ベニツケガニ、ニシノシマホウキガニ、オウギガニ、スベスベマンジュウガニ等
- 深海 - ズワイガニ、タカアシガニ、ユノハナガニ等
分類
カイカムリ群 Dromiacea
- カイカムリ科 Dromiidae -カイカムリ
- コウナガカムリ科 Homolodromiidae
- トゲカイカムリ科 Dynomenidae
原始短尾群 Archaeobrachyura
- マメヘイケガニ科 Tymolidae
- ツノダシマメヘイケガニ科 Cymonomidae
- ホモラ科 Homolidae
- ミズヒキガニ科 Latreillidae
- アサヒガニ科 Raninidae -アサヒガニ
尖口群 Oxystomata
- ヘイケガニ科 Dorippidae -ヘイケガニ
- カラッパ科 Calappidae -メガネカラッパ、トラフカラッパ等のカラッパ類
- キンセンガニ科 Matutidae -キンセンガニ
- コブシガニ科 Leucosiidae -マメコブシガニ等
尖頭群 Oxyrhyncha
- クモガニ科 Majidae -モクズショイ、イソクズガニ、タカアシガニ、ズワイガニ等
- ヤワラガニ科 Hymenosomatidae
- ヒシガニ科 Parthenopidae
- ゴカクガニ科 Eumedonidae
イチョウガニ群 Cancridea
方頭群 Brachyrhyncha
- オオエンコウガニ科 Geryonidae
- ワタリガニ科 Portunidae -ガザミ、タイワンガザミ、ノコギリガザミ、イシガニ等
- ムツアシガニ科 Hexapodidae
- アカモンガニ科 Carpiliidae
- オウギガニ科 Xanthidae -オウギガニ、スベスベマンジュウガニ等
- イソオウギガニ科 Eriphiidae
- ケブカガニ科 Pilumnidae
- サンゴガニ科 Trapeziidae
- エンコウガニ科 Goneplacidae
- オカガニ科 Gecarcinidae -ミナミオカガニ(オオオカガニ)
- イワガニ科 Grapsidae -モクズガニ、イワガニ、アカテガニ、ベンケイガニ、イソガニ等
- ミナミコメツキガニ科 Mictyridae -ミナミコメツキガニ
- カクレガニ科 Pinnotheridae -オオシロピンノ、クロピンノ、オヨギピンノ等のピンノ類
- ヤマガニ科 Isolapotamidae
- サワガニ科 Potamidae -サワガニ
- ミナミサワガニ科 Sinopotamidae
- スナガニ科 Ocypodidae -スナガニ、シオマネキ、コメツキガニ、オサガニ等
- ムツハアリアケガニ科 Camptandriidae
- イトアシガニ科 Palicidae
- ユウレイガニ科 Retroplumidae
- サンゴヤドリガニ科 Hapalocarcinidae
- ユノハナガニ科 Bythograeidae -ユノハナガニ
慣用句
- 蟹の念仏
- 蟹の死にばさみ
- 蟹が爪をもがれたよう
- 蟹は甲羅に似せて穴を掘る