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サッポーの詩はその在世中から人気があったが、古典期のアッティカにはすでに何らかの作品集が存在していたことが知られている{{r|yk88|page=358-359}}。[[ヘレニズム時代]]、紀元前3世紀の[[アレクサンドリア]]において、[[ビュザンティオン]]のアリストパネースとその弟子のアリスタルコスの2人によってそれぞれサッポー作品集が作られた。いずれも9巻で、アリストパネースのものは |
サッポーの詩はその在世中から人気があったが、古典期のアッティカにはすでに何らかの作品集が存在していたことが知られている{{r|yk88|page=358-359}}。[[ヘレニズム時代]]、紀元前3世紀の[[アレクサンドリア]]においてサッポーの作品は正典化され、[[ビュザンティオン]]のアリストパネースとその弟子のアリスタルコスの2人によってそれぞれサッポー作品集が作られた。いずれも9巻で、アリストパネースのものは題材によって分類され、アリスタルコスのものは詩形によって分類されていた{{r|yk88|page=358-359}}{{r|yk18|page=153}}。アレクサンドリアの詩集は少しずつ散逸したが、2-3世紀ごろにはまだ大部分が残っていたらしい{{r|yk18|page=153}}。 |
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古代ギリシアにおいてサッポーは十番目のムーサとまで呼ばれて評価が高かったが、その一方で[[メナンドロス (作家)|メナンドロス]]の喜劇の題材にもされた。[[古代ローマ]]時代にもよく知られ、[[オウィディウス]]は抒情詩「愛について」の中で「いまやサッポーの名はあらゆる国々に知られている」(Ars Amatoria, 第28行)と述べている(オウィディウスは「サッポーからパオーンへの手紙」によって伝説のイメージを広めた人物でもあった)。[[ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス|カトゥルス]]はサッポーを崇拝し、その51番の詩{{enlink|Catullus 51}}はサッポーの有名な31番の詩{{enlink|Sappho 31}}の翻案と考えられている。 |
古代ギリシアにおいてサッポーは十番目のムーサとまで呼ばれて評価が高かったが、その一方で[[メナンドロス (作家)|メナンドロス]]の喜劇の題材にもされた。[[古代ローマ]]時代にもよく知られ、[[オウィディウス]]は抒情詩「愛について」の中で「いまやサッポーの名はあらゆる国々に知られている」(Ars Amatoria, 第28行)と述べている(オウィディウスは「サッポーからパオーンへの手紙」によって伝説のイメージを広めた人物でもあった)。[[ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス|カトゥルス]]はサッポーを崇拝し、その51番の詩{{enlink|Catullus 51}}はサッポーの有名な31番の詩{{enlink|Sappho 31}}の翻案と考えられている。 |
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* [[9歌唱詩人]] |
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* [[ベアトリッツ・デ・ディア]] - 中世のサッポーとも呼ばれる女性[[トルバドゥール]]詩人。 |
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* [[ルイーズ・ラベ]] - 16世紀のサッポーとも呼ばれる女性詩人。 |
* [[ルイーズ・ラベ]] - 16世紀のサッポーとも呼ばれる女性詩人。 |
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* [[マルーシャ・チュラーイ]] - 「ウクライナのサッフォー」と呼ばれる17世紀の女性詩人 |
* [[マルーシャ・チュラーイ]] - 「ウクライナのサッフォー」と呼ばれる17世紀の女性詩人 |
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2024年2月15日 (木) 22:47時点における最新版
サッポー | |
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誕生 |
紀元前7世紀末 レスボス島 |
死没 | 紀元前6世紀初 |
職業 | 詩人 |
活動期間 | 古代ギリシア |
ジャンル | 抒情詩 |
ウィキポータル 文学 |
生涯[編集]
作品・作風[編集]
サッポーは何十もの異なる韻律によって詩を書いたが、スタンザ形式になっているものが多く、とくに1つのスタンザが4行からなる四行詩が多い。11音節の詩行が3行と5音節の1行からなる形式はサッポー詩体として知られる。 サッポーの詩は大部分が滅び、他の作品の中に引用されるなどして断片が残るのみである。19世紀末以降に彼女の詩の断片を記したパピルスが発見され、現在でも新たに発見されることがある。2004年にはケルン・パピルスから老いに関するサッポーの詩の新たな断片 (Tithonus poem) が発見され[8]、2014年にも兄弟について記した新しい詩の断片が発見された[9]。 彼女の詩の中でほぼ完全な形で残っているのは﹁アプロディーテー讃歌﹂ (Ode to Aphrodite) で、ハリカルナッソスのディオニュシオスによる引用によって生き残った。サッポー詩体による7つのスタンザから構成される。もう1つ、やはり引用によってほぼ完全な形で生き残ったのが﹃レスボス詩人断片集﹄のサッポー31番 (Sappho 31) ︵沓掛訳では﹁恋の衝撃﹂という題になっている︶で、伝ロンギヌス﹁崇高について﹂ (On the Sublime) に引用されている。 ﹃レスボス詩人断片集﹄(PLF)[10]ではサッポーの詩に1番︵アプロディーテー讃歌︶から213番までの番号を付しているが、その大部分は非常に小さな断片である。テクストの伝承と評価[編集]
日本語文献[編集]
脚注[編集]
参考文献[編集]
- Lidov, Joel (2002). “Sappho, Herodotus and the Hetaira”. Classical Philology 97 (3).
関連項目[編集]
- 9歌唱詩人
- ベアトリッツ・デ・ディア - 中世のサッポーとも呼ばれる女性トルバドゥール詩人。
- ルイーズ・ラベ - 16世紀のサッポーとも呼ばれる女性詩人。
- マルーシャ・チュラーイ - 「ウクライナのサッフォー」と呼ばれる17世紀の女性詩人
- ルネ・ヴィヴィアン - フランスの象徴主義の女性詩人。自らもレズビアンであることを公言し、1903年にサッポーの詩の翻訳を出版した。
- エーゲ海の誘惑 - 2008年のウクライナ映画。原題が「サッポー」(ウクライナ語: Сафо)
- パオーン
外部リンク[編集]
- サッフォ:作家別作品リスト - 青空文庫
- サッポー日本語訳詩番号逆引き対照表 - ウェイバックマシン(2002年2月20日アーカイブ分)
- ギリシアの壺絵におけるサッポーの描写