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「タンクレーディ (ロッシーニ)」の版間の差分

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{{Portal クラシック音楽}}

'''タンクレーディ(Tancredi)'''は[[1813年]]に[[ヴェネツィア]]・[[フェニーチェ劇場]]で初演された初の本格的[[オペラ|オペラ・セリア]]。このオペラの成功によりロッシーニはイタリア中で名声を得ることとなった。


''''''{{lang-it-short|''Tancredi''}}[[]][[1813]]1[[26]][[]][[]][[]][[]][[ ()|]][[]][[]]

*原曲名:Semiramide

*原作:ヴォルテールの悲劇「タンクレード」

*台本:ガエターノ・ロッシ

*演奏時間:[[序曲]]6分、第1幕1時間10分、第2幕1時間40分

*作曲期間:1813年1月ごろ

*初演:1813年2月6日フェニーチェ歌劇場(ヴェネツィア)



== 作曲の経緯 ==

== 作曲の経緯 ==

 「[[試金石]]」で初めて[[オペラ・ブッファ]]で成功を収めたロッシーニは、兵役を免除され、ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場の委嘱を受け新たにオペラ・セリアを書くこととなった。作曲までの経過にいては不明な点も多いが、タンクレーディの成功で、ロッシーニの名はイタリア中にとどろくこととなった。

「[[試金石_(ロッシーニ)|試金石]]」で初めて[[オペラ・ブッファ]]で成功を収めたロッシーニは、兵役を免除され、[[ヴェネツィア]][[フェニーチェ歌劇場]]の委嘱を受け新たにオペラ・セリアを書くこととなった。作曲までの経過にいては不明な点も多いが、本作品の成功で、ロッシーニの名はイタリア中にとどろくこととなった。


 しかし、主人公が死ぬこととなっている原作と異なり、劇場ではハッピーエンドで終わらせなければいけないという慣習に従ったことに疑問を感じ、フェラーラでの上演の際は原作どおりに悲劇版として発表している。

しかし、主人公が死ぬこととなっている原作と異なり、劇場ではハッピーエンドで終わらせなければいけないという慣習に従ったことに疑問を感じ、[[フェラーラ]]での上演の際は原作どおりに悲劇版として発表している。


== 作品の特徴 ==

== 作品の特徴 ==

 この作品は、主役であるタンクレーディに女性歌手を充てたことが大きな特徴といえる。この当時、[[フランス革命]]の影響を受けて[[カストラート]]が歌劇場から追放されたが、[[テノール]]はまだ主役を張るには未熟な状態であった。そこでロッシーニが目をつけたのがカストラートと同じ声域を有する[[コントラルト]]歌手だった。コントラルト歌手の奥深い声とヒロインの[[ソプラノ]]歌手との重唱はえもいわれぬ効果をもたらすものであったために、その後のロッシーニのオペラ・セリアでは男装女性歌手が主役級の役割を果たすこととなる。他にもソプラノやテノールにも超絶技巧が求められるために、なかなか上する機会が少ないのも事実である。しかし、1970年代にフェラーラ版が再発見されてからは、「[[セミラーミデ]]」と並んで人気を二分するオペラ・セリアとなっている。タンクレーディを得意とした[[メゾソプラノ]]歌手[[マリリン・ホーン]]はフェラーラ版にこだわっててい


[[]][[]][[]][[]][[]]1970[[]][[]][[]]

== 構成 ==

*第1幕

**第1場…アルジーリオの宮殿の回廊

**第2場…海岸を望む宮廷の庭

**第3場…城壁の近くの広場

*第2幕

**第1場…アルジーリオの城内の回廊

**第2場…牢獄

**第3場…シラクサの大広場

**[[ヴェネツィア]]版第4場…山間の崖下

**[[フェラーラ]]版第4場…戦場

== 編成 ==

== 編成 ==

=== 登場人物 ===

=== 登場人物 ===

*アルジーリオ(シラクサの王でアメナイーデの父)…[[テノール]]

*アルジーリオ([[シラクサ]]の王でアメナイーデの父)…[[テノール]]

*タンクレーディ(前王の息子)…[[メゾソプラノ]]

*タンクレーディ(前王の息子)…[[メゾソプラノ]]

*オルバッツァーノ(アルジーリオと対立する貴族)…[[バス (声域)|バス]]

*オルバッツァーノ(アルジーリオと対立する貴族)…[[バス (声域)|バス]]

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*イザウーラ(アメナイーデの友人)…メゾソプラノ

*イザウーラ(アメナイーデの友人)…メゾソプラノ

*ロッジェーロ(タンクレーディの腹心)…メゾソプラノ

*ロッジェーロ(タンクレーディの腹心)…メゾソプラノ


=== 管弦楽 ===

=== 管弦楽 ===

*[[フルート]]2(1は[[ピッコロ]]持ち替え)

*[[フルート]]2(1は[[ピッコロ]]持ち替え)

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**[[チェロ]]

**[[チェロ]]

**[[コントラバス]]

**[[コントラバス]]

*[[男声合唱]]


[[レシタティーヴォ]]用に

[[レシタティーヴォ]]用に

*[[ピアノ・フォルテ]]、[[チェロ]]、[[コントラバス]]

*[[ピアノ|ピアノ・フォルテ]]、[[チェロ]]、[[コントラバス]]



== あらすじ ==

== あらすじ ==



舞台は[[1005年]]の[[シラクサ]]

=== 第1幕 ===

=== 第1幕 ===

==== 第1場 ====

==== 第1場 ====


 殿''''''調''''''

殿''''''''''調''''''''''

==== 第2場 ====

==== 第2場 ====


 殿''''''姿

殿''''''''''姿




==== 第3場 ====

==== 第3場 ====

 場所は変わって城壁の近くの広場。貴族と戦士たちがオルバッツァーノとアメナイーデの婚礼を祝っている。'''合唱「愛よ、降りてこい」'''その歌声を耳にしたタンクレーディは、恋人に裏切られたと思い込む。やがて人々が集まると、彼は身分を隠して義勇軍への参加を申し出る。タンクレーディの姿を認めたアメナイーデはこれに力を得て、父へ結婚式を取りやめるように願い出るが却って怒りを買ってしまう。そこにオルバッツァーノがアメナイーデの手紙を持って現れる。宛名の無いその手紙は、彼女がタンクレーディに渡すつもりで書いてあったのだが、内容が朗読されると皆は彼女がサラセンの将軍ソラミーロと内通したと誤解する。祖国を裏切ったとみなされたアメナイーデは逮捕され、父から死刑を言い渡される。事の成り行きに一同戦慄する。'''フィナーレ「神よ! なんてことだ!」'''

場所は変わって城壁の近くの広場。貴族と戦士たちがオルバッツァーノとアメナイーデの婚礼を祝っている。'''''(合唱「愛よ、降りてこい」)'''''その歌声を耳にしたタンクレーディは、恋人に裏切られたと思い込む。やがて人々が集まると、彼は身分を隠して義勇軍への参加を申し出る。タンクレーディの姿を認めたアメナイーデはこれに力を得て、父へ結婚式を取りやめるように願い出るが却って怒りを買ってしまう。そこにオルバッツァーノがアメナイーデの手紙を持って現れる。宛名の無いその手紙は、彼女がタンクレーディに渡すつもりで書いてあったのだが、内容が朗読されると皆は彼女がサラセンの将軍ソラミーロと内通したと誤解する。祖国を裏切ったとみなされたアメナイーデは逮捕され、父から死刑を言い渡される。事の成り行きに一同戦慄する。'''''(フィナーレ「神よ! なんてことだ!」)'''''


=== 第2幕 ===

=== 第2幕 ===

==== 第1場 ====

==== 第1場 ====


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==== 第2場 ====

==== 第2場 ====


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イザウーラ、続いてアメナイーデが来て二人で決闘の成り行きを心配していると、戻ってきたアルジーリオが戦いの模様を伝える。アメナイーデがタンクレーディの無事を神に祈っていると、遠くから勇者を讃える群衆の声が聞こえる、タンクレーディの勝利を知り彼女の不安は喜びに変わる。'''''(アリア「恭しく崇める正義の神様」)'''''



 イザウーラ、続いてアメナイーデが来て二人で決闘の成り行きを心配していると、戻ってきたアルジーリオが戦いの模様を伝える。アメナイーデがタンクレーディの無事を神に祈っていると、遠くから勇者を讃える群衆の声が聞こえる、タンクレーディの勝利を知り彼女の不安は喜びに変わる。'''アリア「恭しく崇める正義の神様」'''

==== 第3場 ====

==== 第3場 ====

シラクサの大広場。人々の歓呼を浴びるタンクレーディ。'''「喝采しよう、人々よ」'''しかし、心晴れぬ彼は祖国を去ろうと決意する。アメナイーデが来て誤解を解こうとするがタンクレーディは耳を貸さず、二人は理解しあえぬまま苦しむ。'''二重唱「ほっといてくれ:聞く耳は持たぬ」'''タンクレーディに付き従うことを拒まれたロッジェーロに対し、イザウーラはアメナイーデの潔白を説明する。驚いたロッジェーロは、それが本当なら主人も平和を取り戻せると喜ぶ。'''アリア「ついに微笑みながら戻ってきた」'''


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=== ヴェネツィア版のフィナーレ ===

=== [[ヴェネツィア]]版のフィナーレ ===


==== 第4場 ====

==== 第4場 ====

 山間の崖下。アメナイーデを忘れられないタンクレーディが一人苦しむ。サラセンの兵士たちが勝利を願う歌声'''「恐怖が町を支配する」'''が聞こえてくる。アメナイーデとアルジーリオがやって来てタンクレーディーの誤解を必死に解こうとするが彼は心を開かない。アメナイーデが足元に身を投げ出すのを見てようやくタンクレーディも心動かされるが、サラセン軍が間近に迫り、彼は騎士たちを率いて戦地へと向かう。やがて勝利して戻ってきた彼は、打ち倒した敵将の口からアメナイーデの潔白を告げられており、一同喜びのうちに和解する。'''フィナーレ「この甘美なときめきの中」'''


''''''''''''''''''''

=== フェラーラ版のフィナーレ ===

=== [[フェラーラ]]版のフィナーレ ===


==== 第4場 ====

==== 第4場 ====


 姿''''''''''''''''''''''''

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== 主要曲 ==

== 主要曲 ==

*第1幕

**第2場のアリア「おお、祖国よ!…君はわが心を燃え上がらせ」(タンクレーディ)

**フィナーレ「神よ!何てことだ」

*第2幕

**第1場のアリア「ああ! 署名しようとしてもできぬ」(アルジーリオ)

**第2場のアリア「いいえ、死というものは」(アメナイーデ)

**第2幕の二重唱「ああ、もしも私の不幸を」(タンクレーディ、アルジーリオ)

**第2場のアリア「恭しく崇める正義の神様」(アメナイーデ)

**第3場の二重唱「ほっといてくれ:聞く耳は持たぬ」(タンクレーディ、アメナイーデ)

**[[ヴェネツィア]]版フィナーレ「この甘美なときめきの中」(タンクレーディ、アメナイーデ、アルジーリオ)

**[[フェラーラ]]版フィナーレ「アメナイーデ…持ち続けておくれ、お前の」(タンクレーディ)


== 外部リンク ==

*[http://www006.upp.so-net.ne.jp/Rossini-642/ 日本ロッシーニ協会]による[http://www006.upp.so-net.ne.jp/Rossini-642/opere/tancredi.html タンクレーディの解説]

*{{IMSLP|work=Tancredi_(Rossini,_Gioacchino)|cname=タンクレーディ}}

* [http://www.urfm.braidense.it/rd/04966.pdf 台本(イタリア語)、1813年ヴェネツィア(PDFファイル)]

* [http://digital.slub-dresden.de/werkansicht/dlf/73936/1/ 台本(イタリア語/ドイツ語訳)、1816年ドレスデン]

* [http://www.librettidopera.it/tancredi/tancredi.html 台本と作品情報(イタリア語)]

* [https://www.operadis-opera-discography.org.uk/CLROTANC.HTM ディスコグラフィー]



{{ロッシーニのオペラ}}



{{Classic-stub}}

== 関連事項 ==

{{Normdaten}}

*[[マリリン・ホーン]]

{{DEFAULTSORT:たんくれえてい}}

[[Category:ロッシーニのオペラ]]

[[Category:イタリア語のオペラ]]

[[Category:1810年代のオペラ]]

[[Category:戯曲を原作とするオペラ]]

[[Category:ヴォルテール]]

[[Category:シチリアを舞台とした作品]]

[[Category:イタリアを舞台とした舞台作品]]


2024年6月11日 (火) 02:44時点における最新版


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姿

主要曲[編集]

  • 第1幕
    • 第2場のアリア「おお、祖国よ!…君はわが心を燃え上がらせ」(タンクレーディ)
    • フィナーレ「神よ!何てことだ」
  • 第2幕
    • 第1場のアリア「ああ! 署名しようとしてもできぬ」(アルジーリオ)
    • 第2場のアリア「いいえ、死というものは」(アメナイーデ)
    • 第2幕の二重唱「ああ、もしも私の不幸を」(タンクレーディ、アルジーリオ)
    • 第2場のアリア「恭しく崇める正義の神様」(アメナイーデ)
    • 第3場の二重唱「ほっといてくれ:聞く耳は持たぬ」(タンクレーディ、アメナイーデ)
    • ヴェネツィア版フィナーレ「この甘美なときめきの中」(タンクレーディ、アメナイーデ、アルジーリオ)
    • フェラーラ版フィナーレ「アメナイーデ…持ち続けておくれ、お前の」(タンクレーディ)

外部リンク[編集]