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挿話
●和田は書物をこよなく愛した蔵書家であった。史書を好み、在郷時には頼山陽の﹃日本外史﹄などを読んでいたという。面白いことに、和田は古典講習科に入学するまで﹃徒然草﹄を知らなかったという。古典講習科在学中、﹁和本は軽くて歩きながらの勉強に﹂都合が良いといって、通学時も本を手放すことはなく、﹁読みたかった本や、珍しいものが手に入った時には、読みながらいつのまにか家についていた﹂という。しかし、その蔵書は関東大震災に際して、灰燼に帰してしまった。深い嘆きと悲しみにくれる中、和田は﹃古事類苑﹄を筆頭に蔵書の復興に取り掛かったという。﹃古事類苑﹄は日本の制度・社会・文物など諸分野に関する類書である。和田の学問の根底が国学にあったことを窺わせる。
参考図書
●﹃和田英松博士の学恩﹄︵国書逸文研究会、1987年︶