素粒子
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概要
素粒子の分類
素粒子に限らない粒子の分類としては、ローレンツ変換の下での変換性を表すスピンによって大きく分類され、スピン0でスカラーとして変換するスカラー粒子、スピン1でベクトルとして変換するベクトル粒子、スピン1/2でスピノルとして変換するスピノル粒子などがある。スピン統計定理により、整数スピンの粒子はボース統計に従うボース粒子であり、半整数スピンの粒子はフェルミ統計に従うフェルミ粒子である。 素粒子の分類としては、理論における役割に基づいて大別され、素粒子間のゲージ相互作用を媒介するゲージ粒子、ヒッグス機構に関連したヒッグス粒子、物質を構成する物質粒子︵matter particle, matter fermion︶がある。 超対称性を持つ理論においては、超対称粒子︵super partner︶が導入される。ゲージ粒子
素粒子間のゲージ相互作用を媒介する粒子であり、理論の持つゲージ対称性に対応した粒子が導入される。標準模型におけるゲージ粒子はベクトル粒子である。 光子︵フォトン︶ 電磁相互作用を媒介するゲージ粒子で、ガンマ線の正体であり γ で表されることが多い。 ウィークボソン 弱い相互作用を媒介するゲージ粒子で、質量を持つ。 Wボソン 電荷±1をもつウィークボソンで、ベータ崩壊を起こすゲージ粒子である。W+, W−で表され、互いに反粒子の関係にある。 Zボソン 電荷をもたないウィークボソンで、ワインバーグ=サラム理論により予言され、後に発見された。Z0 と書かれることもある。 グルーオン 強い相互作用を媒介するゲージ粒子で、カラーSU(3)の下で8種類存在する︵8重項︶。 XボソンとYボソン ジョージ=グラショウ模型において導入される未発見のゲージ粒子である。 重力子︵グラビトン︶ 重力を媒介する未発見のゲージ粒子で、スピン2のテンソル粒子と考えられている。ヒッグス粒子
ヒッグス機構によりゲージ対称性が自発的に破れた後に残る粒子がヒッグス粒子である。単にヒッグス粒子と呼ぶ場合はグラショウ=ワインバーグ=サラム模型において電弱対称性を破るヒッグス二重項を指す場合が多いが、これに限らずヒッグス三重項や、大統一理論のゲージ対称性を破るヒッグス粒子なども考えられている。物質粒子
物質を構成する粒子であり、ゲージ変換の下での変換性を表すチャージにより大別される。標準模型の範囲では、カラーチャージと電荷が同一の粒子が3世代ずつ発見されており、世代数が大きいほど質量が大きい傾向にある。ただし、ニュートリノについては現在の標準模型を超える物理であり、未解明な部分がある。
クォーク
カラーチャージを持ち、強い相互作用をする物質粒子である。カラーの閉じ込めによりハドロンを構成する。
上系列クォーク︵up-type quark︶
電荷 +2/3 を持つクォークで、それぞれに反粒子が存在する。
●アップクォーク︵u︶
●チャームクォーク︵c︶
●トップクォーク︵t︶
下系列クォーク︵down-type quark︶
電荷 −1/3 を持つクォークで、それぞれに反粒子が存在する。
●ダウンクォーク︵d︶
●ストレンジクォーク︵s︶
●ボトムクォーク︵b︶
レプトン
カラーチャージを持たず、強い相互作用をしない物質粒子である。
荷電レプトン︵charged-lepton︶
電荷 −1 を持つレプトンで、それぞれに反粒子が存在する。
●電子 (e)
原子の構成要素として一般によく知られる。電子の反粒子は陽電子と呼ばれる。
●ミュー粒子︵μ︶
●タウ粒子︵τ︶
ニュートリノ
電荷を持たないレプトンで、標準模型の範囲では反粒子の存在が必然ではない。
●電子ニュートリノ︵νe︶
●ミューニュートリノ︵νμ︶
●タウニュートリノ︵ντ︶