アメリカ合衆国海軍の原子炉一覧
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アメリカ合衆国海軍の原子炉一覧は、アメリカ海軍によって設計、建造、運用されている原子炉の一覧である。
アメリカ合衆国海軍の原子炉[編集]
アメリカ合衆国海軍の原子炉は、アメリカ海軍の艦艇に搭載され、推進・発電および航空母艦上から航空機を射出するカタパルト用の蒸気の生成、およびいくつかの副次的な用途に使用されている。そうした原子炉には完全な発電所としての能力が付随している。1975年以来、すべてのアメリカ海軍の潜水艦および航空母艦は原子力を動力としている。最後の通常動力型空母であるキティホークが2009年5月に退役して以後、アメリカ海軍には通常動力の潜水艦・航空母艦は存在しない。アメリカ海軍は原子力を動力とした巡洋艦を9隻保有していたが、すべて退役している。これらの原子炉は複数の企業によって設計され、ペンシルベニア州ウエストミフリンのベティス原子力研究所、ニューヨーク州ニスユカナのノルズ原子力研究所、ニューヨーク州ウエストミルトンのケッセルリンク・サイト、アイダホ州のアメリカ海軍原子炉施設といった政府︵エネルギー省︶所有・請負民間業者運営で、海軍原子炉部の管理下にある研究施設で開発及びテストされている。これらの施設はまた、長年にわたって、原子炉運用の資格をもった海軍の要員を訓練するためにも運用されてきた。原子炉の型式[編集]
各タイプの原子炉には、英数3文字からなる型式指定が与えられている。型式指定は1桁目から順に、 (一)当該原子炉が組み込まれる艦船のタイプ (二)設計メーカーにおける設計の世代数 (三)原子炉の設計担当メーカー をそれぞれ示している[1]。 艦船のタイプ ●A – 航空母艦 ●C – 巡洋艦 ●D – 駆逐艦 ●S – 潜水艦 設計担当メーカー ●B – ベクテル ●C – コンバッション・エンジニアリング ●G – ゼネラル・エレクトリック ●W – ウェスティングハウス・エレクトリックアメリカ海軍の原子炉一覧[編集]
以下にアメリカ海軍の原子力推進艦艇に搭載された原子炉と搭載艦の一覧を示す[2]。 シーウルフ︵USS Seawolf, SSN-575︶のS2G型炉とその原型炉S1Gがナトリウムを冷却材とする液体金属冷却炉であるのを唯一の例外として[3]、それ以外の原子炉はすべて加圧水型原子炉である。航空母艦[編集]
●A1W (原子炉) - アメリカ海軍原子炉施設に設置された、原子力空母﹁エンタープライズ﹂︵USS Enterprise, CVN-65︶用原子炉の原型炉 ●A2W (原子炉) - 原子力空母﹁エンタープライズ﹂用の実用炉 ●A3W (原子炉) - ﹁ジョン・F・ケネディ﹂ (USS John F. Kennedy, CV-67) のために設計されたが、同艦が最終的にキティホーク級航空母艦に準じた通常動力型空母として建造されたため、組み込まれることはなかった。 ●A4W (原子炉) - ニミッツ級航空母艦用の実用炉 ●A1B (原子炉) - ジェラルド・R・フォード級航空母艦用の実用炉巡洋艦[編集]
●C1W (原子炉) - 原子力ミサイル巡洋艦﹁ロングビーチ﹂用の実用炉駆逐艦[編集]
●D1G (原子炉) - ノルズ原子力研究所ケッセルリンクサイトに設置された、原子力ミサイル巡洋艦﹁ベインブリッジ﹂用の原型炉 ●D2G (原子炉) - 以下の各艦は発注・建造時点においては原子力ミサイルフリゲート︵DLGN︶と位置付けられていた。1975年の艦種分類改訂以降は原子力ミサイル巡洋艦 (CGN) に再分類された[4][5][6] ●原子力ミサイル巡洋艦﹁ベインブリッジ﹂ ●原子力ミサイル巡洋艦﹁トラクスタン﹂ ●カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦 ●バージニア級原子力ミサイル巡洋艦潜水艦[編集]
●NR-1 (原子炉) - 原子力深海潜航艇﹁NR-1﹂用の原子炉 ●S1C (原子炉) - 原子力潜水艦﹁タリビー﹂用の地上設置型原型炉 ●S1G (原子炉) - ケッセルリンクサイトに設置された原子力潜水艦﹁シーウルフ﹂用の原型炉 ●S1W (原子炉) - アメリカ海軍原子炉施設に設置された原子力潜水艦﹁ノーチラス﹂用の原型炉 ●S2C (原子炉) - 原子力潜水艦﹁タリビー﹂用の実用炉 ●S2G (原子炉) - 原子力潜水艦﹁シーウルフ﹂用の実用炉 ●S2W (原子炉) - 原子力潜水艦﹁ノーチラス﹂用の実用炉 ●S2Wa (原子炉) - 原子力潜水艦﹁シーウルフ﹂用の実用炉。S2Gからの換装用 ●S3G (原子炉) - ケッセルリンクサイトに設置された原子力潜水艦﹁トライトン﹂用の原型炉 ●S3W (原子炉) ●原子力潜水艦﹁スケート﹂ ●原子力潜水艦﹁サーゴ﹂ ●原子力潜水艦﹁ハリバット﹂ ●S4G ●原子力潜水艦﹁トライトン﹂ ●S4W (原子炉) ●原子力潜水艦﹁ソードフィッシュ﹂ ●原子力潜水艦﹁シードラゴン﹂ ●S5G (原子炉) - アメリカ海軍原子炉施設に設置された自然循環冷却式原子炉 ●原子力潜水艦﹁ナーワル﹂用の実用炉 ●S5W (原子炉) - スキップジャック級原子力潜水艦からスタージョン級原子力潜水艦まで、およびジョージ・ワシントン級原子力潜水艦からベンジャミン・フランクリン級原子力潜水艦までの、冷戦期アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦︵SSN︶および弾道ミサイル原子力潜水艦︵SSBN︶に搭載された標準型原子炉。90隻以上の原子力潜水艦に搭載された ●スキップジャック級原子力潜水艦 ●パーミット級原子力潜水艦 ●スタージョン級原子力潜水艦 ●原子力潜水艦﹁グレナード・P・リプスコム﹂[7] ●ジョージ・ワシントン級原子力潜水艦 ●イーサン・アレン級原子力潜水艦 ●ラファイエット級原子力潜水艦 ●ジェームズ・マディソン級原子力潜水艦 ●ベンジャミン・フランクリン級原子力潜水艦 ●S6G (原子炉) - ロサンゼルス級原子力潜水艦用の実用炉 ●S6W (原子炉) - シーウルフ級原子力潜水艦用の実用炉 ●S7G (原子炉) - ケッセルリンクサイト原子炉改修付加施設に設置された原型炉 ●S8G (原子炉) - オハイオ級原子力潜水艦用の実用炉 ●S9G (原子炉) - バージニア級原子力潜水艦用の実用炉 ●S1B (原子炉) - コロンビア級原子力潜水艦用の実用炉脚注[編集]
(一)^ JASON (2016年11月). Low-Enriched Uranium for Potential Naval Nuclear Propulsion Applications (PDF) (Report). p. 25.
(二)^ “US Navy Propulsion Systems”. FAS. 2021年4月4日閲覧。
(三)^ “S2G”. FAS. 2021年4月4日閲覧。
(四)^ Sharpe 1989.
(五)^ Prezelin 1990.
(六)^ Gardiner 1996.
(七)^ ただし、本艦のみ推進方式として、原子力ギアード・タービンではなく、原子力タービンエレクトリックを採用しており、型式がS5Waとなっている。Norman Polmar、 Kenneth J. Moore (2004). Cold War Submarines: The Design and Construction of U.S. and Soviet Submarines. Brassey's. p. 269
参考文献[編集]
- Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. pp. 584-585. ISBN 978-1557501325
- Prezelin, Bernard (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 784-785. ISBN 978-0870212505
- Sharpe, Richard (1989). Jane's Fighting Ships 1989-90. Janes Information Group. p. 718. ISBN 978-0710608864
外部リンク[編集]
- US Navy Propulsion Systems – Federation of American Scientists
- Nuclear Attack Submarines – CombatIndex.com