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﹃チャンセラー号の筏﹄︵チャンセラーごうのいかだ、原題 仏: Le Chancellor ︶は、1875年に刊行されたジュール・ヴェルヌの海洋冒険小説。
チャンセラー号[1]
1816年に起こったフランス海軍の軍艦メデューズの遭難・漂流事件に着想を得て書かれた作品で、大西洋上での漂流と飢餓の恐怖を描いている[2]。ただし、作中では年代設定が1869年とされているのをはじめ、チャンセラー号はイギリスの商船とされるなど、設定は史実のメデューズ号とは大きく異なっている。
ル・タン紙︵今日のル・モンドの前身︶に1874年12月17日から1875年1月24日まで連載され、連載終了直後に単行本化された。
あらすじ[編集]
大西洋を横断する帆船チャンセラー号は通常の航路を外れた南寄りの進路を取り、乗組員にも不穏な様相を呈しており、前途に徐々に暗雲が立ち込める。
登場人物[編集]
乗船者たち[1]
●J. R. カザロン (J.-R. Kazallon) - 舞台回しでたまたま乗り合わせる。
●ルトゥルヌール (M. Letourneur) - 息子と乗り合わせたフランス人。
●アンドレ・ルトゥルヌール (André Letourneur) - 左足が不自由なルトゥルヌールの息子。
●ミス・ハービー (Miss Herbey) - 若い女性で富豪に仕える。
●ジョン・サイラス・ハントリー (John-Silas Huntly) - 船長だが、リーダーシップに欠ける人物。
●ロバート・カーティス (Robert Kurtis) - 決断力と不屈の精神を持つチャンセラー号の副船長。
●ウィリアム・ファルステン (William Falsten) - マンチェスター出身の技師。
日本語訳[編集]
●ヂュールス・ベルネ 著、井上勤 訳﹃英国太政大臣難船日記 巻之1,2﹄絵入自由出版社、1885年。
●ジュール・ベルヌ 著、安東鶴城 訳﹃漂流奇譚 生き残り日記﹄フーズ、フー社、1913年。NDLJP:947490。
●ジュール・ヴェルヌ 著、榊原晃三 訳﹃チャンセラー号の筏﹄集英社︿集英社文庫﹀、1993年。ISBN 4-08-760218-4。
●ジュール・ヴェルヌ 著、榊原晃三 訳﹃チャンセラー号の筏﹄︵改訂新︶集英社︿集英社文庫﹀、2009年。ISBN 978-4-08-760571-6。
●この遭難事故はヴェルヌ以前にもテオドール・ジェリコーの絵画﹃メデューズ号の筏﹄の題材となっている。
●江戸川乱歩は青年時代に本作を読んで衝撃を受けており、最初の長編小説﹃闇に蠢く﹄︵1926年 - 1927年︶には本作の影響が見られる[3]。
外部リンク[編集]
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