チャールズ・N・リー
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チャールズ・N・リー︵Charles N. Li、1940年生まれ︶は、中国出身のアメリカ合衆国の言語学者。中国での名前は李訥(Lǐ Nà[1])だが、論文は英語名で発表している。
言語類型論に関する多くの論文がある。また、現代中国語文法書﹃Mandarin Chinese﹄でも知られる。
生涯[編集]
リーが渡米するまでの経緯は自伝﹃The Bitter Sea﹄に詳しく書かれている。それによると、リーは日中戦争中に6人兄弟の末っ子として上海で生まれ、幼少期を南京で過ごした。父の李聖五は汪兆銘政権の部長︵大臣︶であり、戦後は漢奸として懲役15年の刑を受けたが、国共内戦の激化した1948年に釈放され、香港に移住した。父が刑務についている間、リーは上海のおばのもとで過ごしたが、中華人民共和国成立後の1950年に香港にいる家族に合流した。1957年に中華人民共和国の大学に入学するために広州に入るが、漢奸の息子であるために入学することはできず、香港に戻って崇基学院︵香港中文大学の前身のひとつ︶に入学した。 1961年に渡米してボウディン大学に入学した。卒業後スタンフォード大学に移り、1971年にカリフォルニア大学バークレイ校の博士号を取得した。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の言語学教授をつとめたが、現在は退官している。業績[編集]
リーは1970年代にUCLAのサンドラ・トンプソンと共著で多くの論文を発表し、また多数の著者による論文集を編集した。1976年の論文では言語を主語優勢言語︵印欧語など︶、主題優勢言語︵中国語など︶、主語・主題の両方が優勢な言語︵日本語など︶、どちらも優勢でない言語︵タガログ語など︶の4つの類型に分け、それらの通時的変化を論じた。 ﹃Mandarin Chinese﹄(1981、トンプソンと共著)では、中国語の語順の類型的特徴を論じて、中国語は主題優勢言語であり、また文法的機能ではなく意味によって語順が決まるため、SVO であるとも SOV であるとも言えないとした。また、中国語はVO的な特徴︵前置詞の存在、助動詞が動詞の前に来る︶と、OV的な特徴︵前置詞句・副詞・関係節が動詞に前置されるなど︶の両方を持っているが、とくに北京語はほかの言語にくらべてOV的な特徴が多く、VO言語からOV言語に変化しつつあると主張した。 中国語以外にワッポ語︵英語版︶の研究を行っている。 リーは中国語を中心に研究を行っていたが、のちには進化言語学に関する学際的研究を行った[2]。主な著作[編集]
●Li, Charles N, ed (1975). Word Order and Word Order Change. University of Texas Press 語順に関する類型を扱った論文集 ●Li, Charles N, ed (1976). Subject and Topic. Academic Press 主語と主題に関する類型を扱った論文集 ●Li, Charles N, ed (1977). Mechanisms of Syntactic Change. University of Texas Press 統辞論の通時的変化を扱った論文集 ●Li, Charles N; Thompson, Sandra A (1981). Mandarin Chinese: A Functional Reference Grammar. University of California Press 英語で書かれた現代中国語口語文法の代表的な作品。台湾で﹃漢語語法﹄の題で中国語訳が出版されているが、著者名は﹁李伊﹂になっている。 ●Thompson, Sandra A; Park, Joseph Sung-Yul; Li, Charles N (2006). A Reference Grammar of Wappo. University of California Press サンフランシスコの北で話されていたワッポ語の研究。 ●Li, Charles N (2008). The Bitter Sea: Coming of Age in a China before Mao. Harper Collins 渡米するまでの自分とその周辺︵とくに父親︶について語った著書。脚注[編集]
外部リンク[編集]
- “Charles N. Li”. Department of Linguistics, University of California, Santa Barbara. 2015年4月18日閲覧。