食肉目
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食肉目 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||
前期暁新世 - 現世 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Carnivora Bowdich, 1821[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
食肉目[2] |
食肉目︵しょくにくもく、Carnivora︶は、哺乳綱に分類される目。イヌ科、ネコ科、クマ科などの肉食動物が多く属する。
日本の教科書などではネコ目︵ネコもく︶とも表記される[3]。これは、1988年に文部省が作った﹁学術用語集動物学編﹂で定めたものだが、研究者にはあまり使われていない[4]。
特徴[編集]
本来は捕食者として特化したグループであり、獲物を捕えるのに必要な目、耳、鼻、触毛︵ひげ︶などの感覚器官と知能がよく発達しており、運動能力も高い[要出典][5]。
真獣類のうちで、裂肉歯︵肉を裂くためのハサミ状の頬歯︶が上顎最遠位小臼歯と下顎第1大臼歯からなるもの︵およびその子孫︶のグループと定義することもできる。現生の海棲のグループ︵いわゆる鰭脚類︶では、その食性もあって裂肉歯は失われている。属する殆ど全ての動物が肉食であるが、部分的にはヒグマやツキノワグマなどの雑食性の種も見られ、特にタケを主食とするジャイアントパンダやレッサーパンダなどはほぼ完全な草食性である[要出典]。
分類[編集]
以下の現生する分類群は、Burgin et al. (2020) に従う[6]。和名は、特に注釈がない限り川田ら (2018) に従う[2]。 ●イヌ型亜目 Caniformia ●クマ下目[7] Arctoidea ●Musteloidea小目︵イタチ上科として、鰭脚類とともにイタチ小目︿イタチ様小目﹀Mustelidaに分類する説もあり[8]︶ ●レッサーパンダ科 Ailuridae ●スカンク科 Mephitidae ●イタチ科 Mustelidae ●アライグマ科 Procyonidae ●Pinnipedia小目︵鰭脚類︶ ●セイウチ科 Odobenidae ●アシカ科 Otariidae ●アザラシ科 Phocidae ●クマ小目[7] Ursida ●クマ科 Ursidae ●Canoidea下目︵イヌ上科として、イヌ下目Cynoideaに分類する説もあり[9]︶ ●イヌ科 Canidae ●ネコ型亜目 Feliformia ●Feloidea下目 ●ネコ科 Felidae ●オビリンサン科[要出典] Prionodontidae ●Nandinioidea下目 ●キノボリジャコウネコ科 Nandiniidae ●Viverroidea下目 ●マダガスカルマングース科 Eupleridae ●マングース科 Herpestidae ●ハイエナ科 Hyaenidae ●ジャコウネコ科 Viverridae系統[編集]
絶滅科を含む系統樹は以下の通り[10][11][12][13]。化石種で知られている原始的なグループとして、暁新世から始新世にかけて生息したビベラブス科Viverravidaeやミアキス科Miacidaeなどが挙げられるが、これらをクラウングループとしての本目から除いて食肉形類Carnivoramorphaとしてまとめる説もある[14]。2010年時点で知られている最古の化石記録は、中華人民共和国や北アメリカから報告されている古第三紀の前期暁新世︵ダニアン期︶のものである。ミアキス上科に分類される初期の食肉目は種数・個体数ともに少ないグループであったが、後期始新世にネコ型亜目とイヌ型亜目が出現し、多様化を遂げた[15]。 本目は、主に陸生のネコ亜目︵裂脚亜目‥れっきゃくあもく︶と、主に海棲のアシカ亜目︵鰭脚亜目‥ききゃくあもく︶に二分されてきた。近年[いつ?]、鰭脚類の起源がクマ類の近縁グループであることが明らかになり、裂脚類・鰭脚類を同レベルの分類単位とするのが適切でないことがわかっている。そのことから、たとえば﹁クマ・鰭脚類﹂というグループを、下目︵クマ下目︶の下位・上科︵クマ上科︶の上位に設定し、ここにクマ上科︵化石群を含むクマのグループ︶と鰭脚支目︵かつての鰭脚亜目︶を位置づけるという考え方がある。しかし、一般用語としては、まだ裂脚類・鰭脚類の二分法が用い続けられている。ネコ亜目︵裂脚亜目︶は、かつて[いつ?]はイヌ上科 Canoidea︵イヌ科、クマ科、アライグマ科、イタチ科︶とネコ上科 Feloidea︵ネコ科、ジャコウネコ科、ハイエナ科、マングース科︶の2上科に分けられていた︵絶滅グループのミアキス上科を含めると3上科︶。後に[いつ?]、化石種においてイヌ科がネコ科に近いことなど、類縁関係についての新知識を踏まえて、クマ上科 Arctoidea ・マングース上科 Herpestoidea ・イヌネコ上科 Cynofeloidea の3上科︵ミアキス上科を合わせると4上科︶に分ける分類が提唱された[要出典]。
出典[編集]
(一)^ W. Christopher Wozencraft, "Order Carnivora," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 532 - 628.
(二)^ ab川田伸一郎他 ﹁世界哺乳類標準和名目録﹂﹃哺乳類科学﹄58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1 - 53頁。
(三)^ 田隅本生﹁哺乳類の日本語分類群名,特に目名の取扱いについて 文部省の“目安”にどう対応するか﹂﹃哺乳類科学﹄第40巻1号、日本哺乳類学会、2000年、83 - 99頁。
(四)^ ﹁なぜイヌはネコ目なのでしょうか?﹂毎日新聞、2020年。
(五)^ “食肉︵しょくにく︶目 動物を分類しよう IN東山動物園”. apec.aichi-c.ed.jp. 愛知総合教育センター. 2024年4月21日閲覧。
(六)^ Connor J. Burgin, Jane Widness & Nathan S. Upham (2020). “Introduction”. In: Connor J. Burgin, Don E. Wilson, Russell A. Mittermeier, Anthony B. Rylands, Thomas E. Lacher & Wes Sechrest (eds.). Illustrated Checklist of the Mammals of the World. Volume 1. Lynx Edicions. Pages 23 - 40.
(七)^ ab日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会﹁哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について﹂﹃哺乳類科学﹄第43巻2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
(八)^ 佐藤淳, Mieczyslaw Wolsan ﹁レッサーパンダ︵Ailurus fulgens︶の進化的由来﹂﹃哺乳類科学﹄52巻1号、日本哺乳類学会、2012年、23 - 40頁。
(九)^ 遠藤秀紀, 佐々木基樹 ﹁哺乳類分類における高次群の和名について﹂﹃日本野生動物医学会誌﹄6巻2号、2001年、45 - 53頁。
(十)^ Werdelin, L.; Yamaguchi, N.; Johnson, W. E.; O'Brien, S. J. (2010). “Phylogeny and evolution of cats (Felidae)”. In Macdonald, D. W.; Loveridge, A. J.. Biology and Conservation of Wild Felids. Oxford, UK: Oxford University Press. pp. 59–82. ISBN 978-0-19-923445-5
(11)^ Flynn, J. J.; Finarelli, J. A.; Zehr, S.; Hsu, J.; Nedbal, M. A. (April 2005). “Molecular phylogeny of the Carnivora (Mammalia): Assessing the impact of increased sampling on resolving enigmatic relationships”. Systematic Biology 54 (2): 317–37. doi:10.1080/10635150590923326. PMID 16012099.
(12)^ Morales, Jorge; Mayda, Serdar; Valenciano, Alberto; DeMiguel, Daniel; Kaya, Tanju (2019). “A new lophocyonid, Izmirictis cani gen. et sp. nov. (Carnivora: Mammalia), from the lower Miocene of Turkey”. Journal of Systematic Palaeontology. Online Edition. 17 (16): 1127–1138. doi:10.1080/14772019.2018.1529000.
(13)^ Barycka, E. (2007). “Evolution and systematics of the feliform Carnivora”. Mammalian Biology 72 (5): 257–282. doi:10.1016/j.mambio.2006.10.011.
(14)^ 西岡佑一郎・楠橋直・高井正成 ﹁哺乳類の化石記録と白亜紀/古第三紀境界前後における初期進化﹂﹃哺乳類科学﹄第60巻2号、日本哺乳類学会、2020年、251 - 267頁。
(15)^ 冨田幸光、伊藤丙雄、岡本泰子﹁食肉類︵目︶﹂﹃新版 絶滅哺乳類図鑑﹄丸善出版、2011年1月30日、105-115頁。ISBN 978-4-621-08290-4。