モチーフ (物語)
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物語におけるモチーフ︵英語: motif︶とは物語を構成する要素、ことにシンボル化され得るようなものを指す概念である。
概論[編集]
口承伝承、小説、演劇、映画、漫画などの物語には共通した事物、類似の役割を果たす人物、似たような出来事が多く認められる。それは例えば﹁主人公だけが使える剣︵武器︶﹂、﹁隠された宝物﹂、﹁英雄﹂、﹁魔法使い﹂、﹁隠遁者﹂、﹁誘惑する女﹂、﹁三角関係﹂、﹁心中﹂、﹁自己犠牲﹂などであり、それらを総称してモチーフと呼ぶ。モチーフはときにその物語の主題(テーマ)そのものともなるが、多くは物語の一要素として用いられている。 モチーフの多くは神話や伝説にまでその系譜を遡ることができるが、時間旅行のように比較的新しいものもある。また、一般にモチーフはジャンルを問わず現れ、漫画やアニメにも神話以来のモチーフは多く認められる。 モチーフは種々の物語に繰り返し現れるために、何らかのシンボルとして解釈されることも多い。心理学者の カール・グスタフ・ユングが元型と呼んだ﹁影﹂や﹁アニマ﹂、﹁老賢者﹂なども、人物のモチーフを強くシンボル化したものと解釈することもできるだろう。モチーフ・インデックス[編集]
詳細は「アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス」を参照
こうしたモチーフを分類して一覧表化したものはモチーフ・インデックスと呼ばれ、民話や口承文芸の研究などに用いられている。たとえばトンプソンは、モチーフ・インデックス︵Motif-index of folk-literature, 1955︶全6巻を出版した。この中でモチーフは細かく体系化されており、例えば大分類Fは﹁驚異︵marvels︶﹂、その下位分類であるF500-F599は﹁驚くべき人物︵remarkable persons︶﹂、その下位のF510は﹁怪物的人物︵monstrous persons︶﹂、その下位のF511は﹁頭部が異常な人物︵person unusual as to his head︶﹂、その下位のF511.1は﹁顔が異常な人物︵person unusual as to his face︶﹂、その下位のF511.1.3は﹁獣顔の人物︵person with animal face︶﹂、その下位のF511.1.3.1は﹁猿の顔の人物︵person with face o ape︶﹂といった具合である。それぞれの項目にはひとつから数十の参考文献と︵場合によっては︶関連するが別の箇所にあるモチーフインデックス番号が記されている。