人称

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: personspeakeraddressee使grammatical categoryfirst personsecond personthird person[1]使firstsecondthird



使使: obviative

[]




Your mom is here!! I your mom

使It rains.Il y a ...... 

[]



動詞の人称標示[編集]


380調84296[2]西[3]

調19332[3]
動作主と対象の両方の人称が標示される例(タワラ語
kedewa kamkam i-uni-hi
3SG.A-殺す-3PL.P
「犬が鶏を殺した」

A73[3]P24[3]
動作主の人称だけが標示される例(コボン語
yad kaj pak-nab-in
殴る-FUT-1SG[A]
「私は豚を殺す」
対象の人称だけが標示される例(ヤワ語
Dorpinus po Marianna r-anepata
ドルピヌス ERG.3SG.M マリアンナ 3SG.F[P]-叩く
「ドルピヌスはマリアンナを叩いている/いた」

また、動作主か対象かに関わらず、人称の階層の高い方だけが標示される言語が6あった。人称の階層は一人称が最も高く、第三人称が最も低い(1>2>3)。このような言語では、動作者の人称が対象の人称よりも低い場合、逆行態(INV)という特別な動詞のかたちが使われる。

人称の階層の高い方が標示される例(ノクテ語)
a. nga-ma ate he(i)tho-ang
-ERG 彼.ACC 教育する-1SG[A]
「私が彼を教育する」
b. ate-ma nga-nang he(i)tho-h-ang
彼-ERG -ACC 教育する-INV-1SG[P]
「彼が私を教育する」


接語による人称標示の例
(ティンリン語)[4]
a. treanrü rri= fi winrô fònri
人々 3PL[S]= 行く 沿う
「人々が川沿いを行く」
b. u= nrâ fi wai
1SG[S]= PROG 行く すでに
「私は今行くところです」
c. rri= see saafi wake nyôrrô
3PL[S]= NEG 一緒に いつも 料理する
「彼らはいつも一緒に料理するわけではない」
(東南テペフアン語)
a. vacocoi =m =ɨt gu a'ahl
眠る =3PL[S] =PERF ART 子供
「子供たちは眠りについている」
b. aptuvús ta'm =ach =ich vají
バス =1PL[S] =PERF 行った
「私たちはバスで行った」
c. =pim duc va-'aiy-a' mu-ja'p jam-quiquia'am
いつ =2PL[S] PCL RLZ-着く-FUT そこ-場所 2PL-家
「いつあなたたちはあなたたちの家に着くのですか?」

また、語幹の変化による言語もある。

動詞の人称標識の順番[編集]

動作主(A)と動作の対象(P)がどちらも動詞に人称標示される言語では、動作主の人称を先に、対象の人称を後に標示するものが多い[5]

AがPに先行する標示の例
接頭辞(スワヒリ語
ni-li-mw-ona
1SG.A-PST-3SG.P-見る
「私は彼を見た」
接尾辞(アムハラ語
näggär-ä-h
教えた-3SG.A-2SG.F.P
「彼があなたに教えた」
両方(バルバレーニョ語
kh-utiy-in
1SG[A]-見る-2SG[P]
「私があなたを見る」

日本語における人称区別の例[編集]

日本語には、明瞭な文法カテゴリーとしての人称は存在しない。人称代名詞は古代語には「あ・わ」(第一人称)、「な」(第二人称)などがあったが、普通名詞と区別する根拠に乏しい。また文法上必須の要素ではない。しかし次のように、ウチソトの区別による使い分けがあり、誰に視点を置くかによる表現の違いが存在する。第一人称はウチに含まれ、ソトは第二・第三人称に限られるので、この使い分けは人称による使い分けに似たものとも言える。

主観的形容詞・動詞[編集]

「嬉しい」「悲しい」「欲しい」、また動詞に希望の助動詞「たい」がついた形など、人の感情、または「痛い」など肉体的感覚を表す感情・感覚形容詞は、直説法的な現在形文終止で用いる場合、主語に第一人称しか取らないのが一般的である。逆に「嬉しがる」「悲しむ・悲しがる」「欲しがる」「食べたがる」「痛がる」などの動詞は主語に第一人称を取らないのが普通である。ただし特別に感情移入する場合や、話し手自身を客観化して述べる場合、また「嬉しかった」「嬉しかろう」「嬉しいのだ」など話者の判断が介入する形では、その限りでない。

授受動詞[編集]

「与える」「受け取る」などの客観的な授受行為を表す動詞では人称は関係ないが、「やる」「くれる」「もらう」のように、ある人に視点(基準)を置いて受益を表現する動詞では、ウチとソトの区別による使い分けがある。

  • 「やる」「あげる」「差し上げる」:与える側が主語および視点となり、受ける側はソトの人物に限られる。
  • 「くれる」「下さる」:与える側が主語、受ける側が視点となり、与える側はソトの人物に限られる。
  • 「もらう」「いただく」:受ける側が主語および視点となり、与える側はソトの人物に限られる。

特に「やる」と「くれる」の区別は日本語特有とされている。またこれらの動詞は補助動詞としても受益表現に使われ、その場合も人称は同様に限定される。

敬語[編集]

山田孝雄石坂正蔵は日本語の敬語を人称に近いものとして扱っている。相対敬語の場合、ウチとソトの区別が重要である。ウチに対してソト(主語)を高めるのが尊敬語、ソトに対してウチ(主語)を低めるのが謙譲語である。上の授受動詞を例にとれば、「下さる」は尊敬語、「差し上げる」と「いただく」は謙譲語となる。

文学における人称[編集]


使

[]




19701980

HP


[]


19[6]


[]



[]


Le grand cahier

脚注[編集]

  1. ^ Siewierska 2004.
  2. ^ Siewierska 2011a.
  3. ^ a b c d Siewierska 2011b. 地図
  4. ^ Osumi, Midori. Tinrin Grammar. Honolulu: University of Hawaii Press. 1995: 215, 177, 182.
  5. ^ Siewierska 2011c.
  6. ^ シュタンツェル。

参考文献[編集]

  • 庵功雄『新しい日本語学入門: ことばのしくみを考える』スリーエーネットワーク、2001年。
  • 仁田義雄『日本語のモダリティと人称』ひつじ書房、1991年。
  • 西田直敏『敬語』東京堂出版、1987年。
  • Siewierska, Anna.(2004) Person. Cambridge University Press.
  • Siewierska, Anna. (2011a) “Alignment of Verbal Person Marking”. Dryer & Haspelmath(eds.) chapter 100.
  • Siewierska, Anna. (2011b) “Verbal Person Marking”. Dryer & Haspelmath(eds.) chapter 102.
  • Siewierska, Anna. (2011c) “Order of Person Markers on the Verb”. Dryer & Haspelmath(eds.) chapter 104.
  • Dryer, Matthew S. & Haspelmath, Martin eds.(2011) The World Atlas of Language Structures Online. Munich: Max Planck Digital Library.
  • F. シュタンツェル『物語の構造:〈語り〉の理論とテクスト分析』岩波書店、前田彰一訳、1989年。
  • ジェラール・ジュネット『物語のディスクール:方法論の試み』水声社、花輪光・和泉涼一訳、1985年。

関連項目[編集]