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ユリ根︵ユリね︶は、狭義には食用とされるユリ属植物の球根である鱗茎のこと[1]。広義にはユリの鱗茎全般を指すこともある。ユリの葉が変形した鱗茎に養分が貯蔵されているため、栄養豊富である︵ヨウ素、カリウムなど[1]︶。
ユリの鱗茎は無皮鱗茎のため乾燥、高温、過湿などに弱いが、皮がないので食用とする際はそのまま食用と出来る。調理で使うときは、形を崩さないように鱗片を1枚ずつ剥がしてから使うことが多い。
食用にするのはヤマユリやオニユリ、コオニユリなどの鱗茎で、ホクホクとした食感に、ほんのりした甘さとほろ苦さがあり、関西地方の正月料理や料亭などで使われる[1]。食材としての旬は秋から冬︵11月 - 2月︶で、貯蔵したものが正月用に多く出回る。紫色がかった部分は苦味があり、色が白いものがよく、張りがあって、かたく締まったものが市場価値の高い良品とされる。かつては野生のものが流通したが、現在ではほとんどが栽培品である。日本国内生産量の99%が北海道産で、その7割程度がようてい農業協同組合︵JAようてい︶管内で栽培されている[1]。
栄養価は、可食部100グラム (g) あたりの熱量が125キロカロリー (kcal) とヤマイモやサツマイモ並みで、野菜としては高エネルギーで炭水化物が約30%を占める。微量栄養素では、タンパク質、ビタミンB群、カリウム、鉄、食物繊維が多い。鱗茎に蓄えられているデンプンの一部が糖の形で存在するため、特有の甘味がある。
昔から滋養強壮効果が知られており、漢方薬としても用いられる。漢語では﹁玉簪花根﹂と称し、薬種とする。水溶性食物繊維のグルコマンナンが豊富で、便秘改善のほか、コレステロール値の上昇を抑制する効果が期待されている。
茶碗蒸しなどに入れて食されることが多く、和え物、含め煮などの和風の煮物、かき揚げ、かぶら蒸しの具材や、裏ごししておせち料理の金団にも使われる。
形を生かして調理する場合もあるが、多くは鱗茎の根元のかたい部分を除いて、鱗片を1枚ずつ剥がして茹でる。白く茹で上げるために、少量の酢を加えて茹でる場合もある。強火で茹でると、煮崩れを起こしてしまう。
鯨百合︵くじらゆり︶は、ユリ根を水洗いし、1片ずつ離し、ざっと蒸して裏漉しする。これを、コンブを炙って細粉にし、毛篩︵けふるい︶にかけたものと練り混ぜ、板に薄く伸ばす。これを蒸籠で蒸し上げ、カヤ油またはごま油で揚げる。形が皮鯨に似るため﹁鯨百合﹂の名が付いた。
保存するときは、水に濡らすと傷みが早くなるので濡らさないようにし、おがくずの中に入れて冷暗所に置く。
食用とされる種[編集]
ユリの多くは灰汁︵あく︶が多く食用に適さないが、灰汁が少ない種を食用とする。主に利用される種はコオニユリ︵小鬼百合︶で、ほかにオニユリ︵鬼百合︶、ヤマユリ︵山百合︶がある。いずれも鱗茎が大型である。
- ^ a b c d e 【産地からの手紙】ユリ根(北海道・JAようてい)純白の美 手間かけて/ミネラル成分 豊富に『日本農業新聞』2020年11月14日(9面)