一節切
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一節切︵ひとよぎり︶は、日本の伝統楽器。尺八の前身ともいわれる真竹製の縦笛で、節が一つだけあるのがその名前の由来である。
富永藤兵衛︵手前︶に一節切を与える武田信玄︵奥︶︵﹁信玄之一節切﹂ 藤長庚編集﹃遠江古蹟圖會﹄1803年。国立国会図書館蔵︶
尺八が竹の根本部分を用いるのに対し、一節切は幹の中間部を用いるため、尺八に比べて細径・薄肉である。全長は一尺一寸一分︵約34cm︶で、尺八と同じように、前面に四孔、裏側に一孔の計五つの手孔がある。音域は尺八よりも狭く、約1オクターヴ半ほどである。
前野良沢や一休宗純、雪舟[1]、北条幻庵なども一節切の奏者として知られている。織田信長に仕えた大森宗勲も名手である[2][3][4]。しかし、もともと武家や上流階級の風雅な嗜みとしての趣向が強く、一般市民には普及していなかったことや、より音域が広く音量の大きい普化尺八が普及したこともあって、江戸時代の始まりより徐々に廃れていった。現在、残された楽譜は存在するが、音価︵音の長さ︶の指定がなくどのような演奏だったのかを再現するのは難しく、専ら好事家の研究対象となっている。