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各言語での名称
Shō
Shō
Shō
Sho
笙
(岐阜城資料館)
分類

リード

関連楽器

(しょう)は、雅楽管楽器の一つ。自由簧に属する。

概要

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笙を吹く源義光を描いた『足柄山月』 月岡芳年「月百姿」
笙の演奏
笙を焙じる(笙を炭火で暖める)
携帯用の笙専用の電気コンロ

)171715



[1]



11調

調調2

使使

3





[2][3][4]

使

西使西調One9Two3

(shēng)

5623


竹の順番

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音程は竹の長さとは無関係で、吹き口から向かって右側から時計回りに、以下の通りとなる。竹の長さの順位と押さえる指も併せて示す。

名称
読み せん じゅう おつ いち はち ごん しち ぎょう じょう ぼう こつ もう
近似音 F#6 G5 F#5 E5 C#5 G#5 B4 E6 (G6/A#5) C#6 B5 A5 D6 D5 A4 (D#5/F5) C6
十二律 下無 双調 下無 平調 上無 鳧鐘 盤渉 平調 (双調/鸞鏡) 上無 盤渉 黄鐘 壱越 壱越 黄鐘 (断金/勝絶) 神仙
竹の長さの順位 5 4 3 2 1 2 3 4 5 5 4 3 2 1 2 3 4
押さえる指 R1 R1 R2 R2 R1/[L1] L1/[R1] L1 L1 (L1) L1 L2 L3 L4 L4 L4/[R4] (R3/R4)[5] R2



1()2345()5姿

L()R()1()2()3()4()6
(R2)

(L2)(L3)

11西2

()G6D#5調使西A#5F5使

1719172172F5()A#5()19317()

332222
古体(正倉院の墨書) L[6] [7]
今体(現行)

合竹

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伝統曲で使われる笙の和音を合竹といい、基本的には以下の11種類がある。

合竹名 構成音
乞(A4)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)
一(B4)、凢(D5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、千(F#6)
工(C#5)、凢(D5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)
凢(D5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)
乙(E5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)
下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、千(F#6)
下(F#5)、十(G5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)
十(双調) 十(G5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)
美(G#5)、行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、千(F#6)
行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)
行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、八(E6)、千(F#6)

調調調56(C#6)



調224242
特殊合竹 構成音
乙美 乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、千(F#6)
乙言 乙(E5)、行(A5)、七(B5)、言(C#6)、上(D6)、千(F#6)
凢美 凢(D5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、千(F#6)
凢言 凢(D5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、言(C#6)、千(F#6)

分析例

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江戸時代の田安宗武の『楽曲考』などでは、唐代の俗楽の1均の七声の律以内で構成するのを原則としているとし、次のように分析している[8]。ここで現行の日本の笙の合竹は、太簇均の和声が中心となっている。

合竹名 変宮 変徴 均外
乞行 乙八 南呂均宮
一七 太簇均羽
太簇均変宮
乙八 太簇均宮
乙八 太簇均商
下千 太簇均角
林鐘均宮
十(双調) 林鐘均宮
[9] 太簇均変徴
太簇均徴
黄鐘均宮

田辺尚雄らは、半音隣接を含まない乞・一・凢・乙・行・十(双調)の6種は協和音的であり、半音隣接を含む工・下・十・美・比の5種(うち工・美の2種は半音隣接を2ヶ所含む)は不協和音的であると分析した。

現行の合竹以外

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體源抄』などの古文献には、「笙笛相竹」と称して次のような一見合竹に似た2音から7音までのものが挙げられている。それには現在の通常の笙で音の出る15管の名前が付いているが、美と言の内容は同じとなっている[8]

笙笛相竹 構成音
×千 乞(A4)、凢(D5)、乙(E5)、下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、千(F#6)
×十 十(G5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、八(E6)
×下 一(B4)、下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、言(C#6)
乞(A4)、乙(E5)、七(B5)、八(E6)
工(C#5)、凢(D5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)
×美 凢(D5)、下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、言(C#6)
×一 一(B4)、凢(D5)、下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、
×八 乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)
×言 凢(D5)、下(F#5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、言(C#6)
凢(D5)、十(G5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)
凢(D5)、美(G#5)、行(A5)、千(F#6)
×上 十(G5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、上(D6)、千(F#6)
×凢 工(C#5)、凢(D5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、千(F#6)
×乞 乞(A4)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)
比(C6)、上(D6)

しかしこの「笙笛相竹」は、和音として見た場合、そもそも(少なくとも現行の標準運指で、同一指で複数の管を同時に押さえないという前提では)演奏不可能なものが半分以上を占めており(×印を付けたものが該当。同一指で押さえるはずの千十・千工・下乙・八美・一美・一言・美言・凢乞が混入しているため)、演奏可能なものの中でも5音以上から成るものは工・七の2つしかないことなどからして、これについて林謙三は、合竹のように演奏するための和音というよりも、「管と管の律の関係のあるものを吹き比べて音を調べるかどうかの用を持つにすぎない」としている。

『楽曲考』では、現行の合竹の他、現在の通常の笙で簧が付けられていない毛や、義管として用いた卜・斗を主とする合竹を、「毛以下三管の合竹、今伝へず、伝ふる処の合竹の法によて是を製す」として復元試作しており、ここで『楽曲考』では、卜は工、斗は言の代わりに挿入されるとしている。またこれに関連して、林謙三は各均の合竹の試案を作成しており、その中で毛・卜に当たる合竹も作成している[8]

合竹名 構成音
毛(楽曲考) 毛(D#5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、千(F#6)
毛(林謙三) 毛(D#5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、言(C#6)、千(F#6)
卜(楽曲考) 卜(F5)、行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、千(F#6)
卜(林謙三1) 卜(F5)、行(A5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、也(G6)
卜(林謙三2) 卜(F5)、行(A5)、比(C6)、上(D6)、也(G6)
斗(楽曲考) 行(A5)、斗(A#5)、七(B5)、比(C6)、上(D6)、千(F#6)

また『楽曲考』の毛・卜・斗の合竹を上の分析例の表と同様に分析してまとめると次のようになる。

合竹名 変宮 変徴 均外
南呂均変徴
仲呂均宮
七千 無射均宮

音取・調子等の笙譜における演奏指示

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 - 調調

調調調調

著名な笙奏者

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笙製作者

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脚注

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(一)^ 

(二)^ 100261951715

(三)^ 5671998/2006 ISBN 4-642-02860-9 P130-151

(四)^ 392014/:2019) ISBN 978-4-642-02958-2 2019P150-151.

(五)^ (D#5)(F5)

(六)^ 

(七)^ 

(八)^ abc

(九)^ 5

(十)^ NTV, 200889

(11)^ 63   2010.0904

関連項目

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外部リンク

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