中川五郎
中川五郎 | |
---|---|
出生名 | 中川五郎 |
生誕 | 1949年7月25日(74歳) |
出身地 | 日本・大阪府 |
ジャンル | フォークソング |
職業 |
歌手 翻訳家 音楽評論家 |
活動期間 | 1960年代 - |
公式サイト | http://www.goronakagawa.com/ |
中川 五郎︵なかがわ ごろう、1949年︿昭和24年﹀7月25日 - ︶は、1960年代後半から活躍するフォークシンガー、訳詞家、音楽評論家、小説家、エッセイスト、翻訳家。ノーベル文学賞受賞者であるボブ・ディランの訳詞を全て手がけた[1]。
略歴[編集]
1960年代後半、フォークミュージックのムーブメント﹁関西フォーク﹂の中で活動を開始した。 1967年3月、当時、大阪府立寝屋川高等学校の3年生であった中川はベトナム反戦講演会に参加。ゲストで来ていた高石ともやの歌に衝撃を受けた。1967年7月29日、中川は、高石やザ・フォーク・クルセダーズが参加した、第1回関西フォークキャンプ︵京都・高雄︶で歌唱した。 1967年、ボブ・ディランの﹁ノース・カントリー・ブルース﹂に、受験生を題材にしたオリジナルの詞をつけた﹁受験生ブルース﹂を制作する。その後1967年~1968年にかけて曲を付け替えてレコード化しようと言う話が持ち上がり、中川自身もURCレコードの秦社長に﹁新たな曲を付けないか?﹂と言われるが、結局高石友也がコミカルなメロディーをつけ歌ったものがレコード化されヒットした。中川は﹁帰って来たヨッパライ﹂に似たテープの早回し等も入っていて、最初に聞いたときは二番煎じで恥ずかしいと思ったが、一方で﹁あぁ言う風にしたからヒットしたと思う﹂とも。[2] 1969年4月、小室等のグループ六文銭とのカップリングアルバム﹃六文銭・中川五郎﹄でURCレコードからデビューする。﹁殺し屋のブルース﹂﹁うた﹂など数多くの作品がフォーク・ゲリラのレパートリーになった。このレコードは六文銭の面が45rpm、中川の面が33rpmという変則な規格であった。 中川は、政治性やメッセージ性だけを意識していたわけではなく、第4回関西フォークキャンプ︵1969年8月15日︶打ち上げコンサート︵京都市の円山公園野外音楽堂︶では、恋愛歌であるエリック・アンダースンの﹁恋人よベッドのそばにおいで﹂を歌っている。 1969年11月﹃終り、はじまる﹄をリリース。 1970年に﹁歌手廃業﹂を宣言し、URCの機関紙﹃フォークリポート﹄の編集者となるが、その最初の号﹁冬の号﹂がわいせつ容疑で押収され、中川はわいせつ文書販売同所持事件の被告人となり、裁判は7年続く。その内容は中川の著書﹃裁判長殿、愛って何?﹄に詳しく書かれている。 この﹁フォークリポートわいせつ裁判﹂で1970年代前半を棒に振り、1976年妻・青木ともことの生活や愛猫の死などを描いた傑作アルバム﹃25年目のおっぱい﹄をリリース。だが、1978年﹃また恋をしてしまったぼく﹄︵ベルウッド・レコード︶を最後にアルバムリリースが四半世紀途絶えることとなる。 フォーク冬の時代と呼ばれた1980年代には、雑誌﹃BRUTUS﹄の編集を担当。また、音楽評論家、ロックの訳詩家、チャールズ・ブコウスキー等の先鋭的な文学作品の翻訳家として知られるようになる。 2004年に、詩人片桐ユズル作詞の2曲を含む新作﹃ぼくが死んでこの世を去る日﹄がoff noteからリリースされた。また、2006年にはシールズ・レコードから﹃そしてぼくはひとりになる﹄をリリース。なお、デビュー当時から、歌手廃業宣言時期を除き、現在にいたるまで地道にライヴ活動を続けている。 また、フォークキャンプ、中津川フォークジャンボリー、春一番コンサート、ホーボーズコンサートなど多くのイヴェントの音源が残されており、中川の活動の一端を窺い知ることができる。また、﹁田舎五郎と魚﹂、﹁ヴァギナ・ファック﹂などのグループも、編成していた。 近年はセンチメンタル・シティ・ロマンスの中野督夫、アナーキーの寺岡信芳(Bs)、永原元(Ds)とバンド﹁To Tell The Truth﹂を結成し、全国ツアーを行うなど、活発に活動を行っているほか、2015年にライブCD﹃Live at BB Street﹄を発売。これにも収録されているピート・シーガーの日本語カバー﹁腰まで泥まみれ﹂を元ちとせがカバーアルバム﹃平和元年﹄でカバーし、日本レコード大賞企画賞を受賞。 中川は他に、洋楽の訳詞や、解説の執筆もしている。キング・クリムゾンの"レッド"など。 2017年にはC.R.A.C. Recordingsから﹁トーキング烏山神社の椎ノ木ブルース﹂をリリースしている。エピソード[編集]
オックスの岡田志郎︵本名は史郎︶とは中学時代の同級生であり、二人は史郎、五郎として有名人であった。 沢知恵がアルバム﹃いいうたいろいろ2﹄で﹁三十才の子供﹂を、アルバム﹃わたしが一番きれいだったとき﹄で﹁自分の感受性くらい﹂、︻アルバム﹃一期一会㈼﹄で﹁消印のない手紙﹂、アルバム﹃われ問う﹄で︽愛情60︾︼をカバーしている。ディスコグラフィ[編集]
シングル[編集]
発売日 | 規格 | 規格品番 | 面 | タイトル | 作詞 | 作曲 |
---|---|---|---|---|---|---|
URCレコード | ||||||
1969年10月 | EP | URS-0015 | A | 殺し屋のブルース | 西尾志真子 | 中川五郎 |
B | うた | 山内清 | ||||
1969年12月 | EP | URS-0020 | A | 腰まで泥まみれ | Pete Seeger
訳:中川五郎 |
中川五郎 |
B | 恋人よ ベッドのそばにおいで | Eric Andersen
訳:日高仁 |
Eric Andersen | |||
キングレコード | ||||||
1972年3月 | EP | BS-1496 | A | 俺とボビー・マギー | F.Foster、K.Kristofferson
訳:中川五郎 |
F.Foster、K.Kristofferson |
B | ミスター・ボージャングル |
アルバム[編集]
発売日 | レーベル | 規格 | 規格品番 | アルバム | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
URCレコード | |||||
1969年4月 | URCレコード | LP | URL-1002 | 六文銭・中川五郎
中川五郎
|
|
1995年6月16日 | EMIミュージック・ジャパン | CD | TOCT-8956 | ||
2002年9月11日 | avex io | CD | 14.に(エンハンスド)CD-EXTRA仕様 | ||
1969年11月 | URCレコード | LP | URL-1010 | 終り はじまる
A面
B面
ボーナストラック
|
|
1977年 | URCレコード | LP | UX-8029 | ||
1989年9月25日 | ポリグラム | CD | H20K-25026 | ||
1995年12月6日 | EMIミュージック・ジャパン | CD | TOCT-9291 | ||
2003年3月5日 | avex io | CD | IOCD-40046 | 13.に(エンハンスド)CD-EXTRA仕様 | |
2017年4月26日 | グリーンウッド・レコーズ | CD | GRCL-6069 | ボーナストラック5曲を追加 | |
フィリップス・レコード | |||||
1976年1月25日 | フィリップス | LP | FW-5007 | 25年目のおっぱい
光りのない時代だけど
うまれてくるひとのため
|
|
1988年12月21日 | 徳間ジャパンコミュニケーションズ | CD | |||
2013年8月7日 | CD | デジタルリマスター版 | |||
ベルウッド・レコード | |||||
1978年5月21日 | キングレコード・ベルウッド | LP | また恋をしてしまったぼく~Fall in Love Again
A面
B面
|
||
1991年7月21日 | キングレコード | CD | |||
2012年10月3日 | CD | デジタルリマスター版 | |||
off note | |||||
2004年4月25日 | off note | CD | IND-050434 | ぼくが死んでこの世を去る日
|
|
シールズ・レコード | |||||
2006年10月30日 | シールズ・レコード | CD | IND-06462 | そしてぼくはひとりになる
|
|
コスモスレコーズ | |||||
2017年1月25日 | コスモスレコーズ | CD | どうぞ裸になって下さい - ライヴ2枚組
[Disc1]
[Disc2]
|
参加作品[編集]
To Tell The Truth[編集]
●﹃Live at BB Street﹄︵2015年︶- 中川五郎(Gt、Vo)、中野督夫(Gt)、寺岡信芳(Bs)、永原元(Ds)著書[編集]
自伝[編集]
●中川五郎﹃七〇年目の風に吹かれ: 中川五郎グレイテスト・ヒッツ﹄平凡社︵原著2019-6-27︶。ISBN 978-4582838084。小説[編集]
●中川五郎﹃愛しすぎずにいられない﹄マガジンハウス︵原著1992-10-1︶。ISBN 978-4838703814。 ●中川五郎﹃渋谷公園通り﹄ケイエスエス︵原著1999-1-1︶。ISBN 978-4877093341。 ●中川五郎﹃ロメオ塾﹄リトルモア︵原著2019-4-1︶。ISBN 978-4947648914。エッセイ集[編集]
●高石友也、岡林信康、中川五郎﹃フォークは未来をひらく : 民衆がつくる民衆のうた﹄︿新報新書﹀、社会新報、1969年4月30日。 ●﹃裁判長殿、愛って何?﹄晶文社、1982年1月25日。ISBN 978-4794956439。 ●﹃未来への記憶 : 中川五郎的音楽生活﹄話の特集、1986年4月3日。ISBN 978-4826400954。 ●永井宏、中川五郎﹃友人のような音楽﹄アスペクト。ISBN 978-4757208568。翻訳[編集]
●ケオラ・ビーマー 著、中川五郎 訳﹃ハワイアン・スラック・キイ・ギター﹄ミュージックセールス︵原著1978-2-1︶。ASIN B000J8H4DE。 ●ジョナソン・グリーン 著、中川五郎 訳﹃ロック・クオーツ﹄クイック・フォックス社︵原著1978-5-1︶。ASIN B000J8M1BO。 ●ラス・バレンバーグ 著、中川五郎 訳﹃クラレンス・ホワイトのギター そのフレーズとスタイル﹄ミュージックセールス︵原著1978-12-1︶。 ●ラス・バレンバーグ 著、中川五郎 訳﹃クラレンス・ホワイトのギター そのフレーズとスタイル﹄シンコーミュージック、1981年1月1日。ISBN 978-4401140800。 ●ステファン・グロスマン﹃ステファン・グロスマンのカウントリー・ブルース・ギター﹄新興楽譜出版社︵原著1981-9-1︶。ISBN 978-4401140794。 ●マーティ・モンロー 著、中川五郎 訳﹃ブルース・スプリングスティーン 写真集 バック・イン・ザ・U.S.A.﹄シンコーミュージック︵原著1984-1-1︶。 ●ピーター・ゴダード 著、中川五郎 訳﹃ポリス クロニクルズ―栄光の軌跡﹄シンコーミュージック︵原著1984-1-1︶。ISBN 978-4401620753。 ●ホールアンドオーツ 著、中川五郎 訳﹃ホールアンドオーツ詩集﹄シンコーミュージック︵原著1986-1-1︶。ISBN 978-4401611829。 ●U2 著、中川五郎 訳﹃U2詩集‥ヨシュア・トゥリー﹄シンコーミュージック︵原著1988-4-1︶。ISBN 978-4401612451。 ●U2 著、中川五郎 訳﹃U2詩集‥アクトン ・ベイビー﹄シンコーミュージック︵原著1998年12月10日︶。ISBN 978-4401613922。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃詩人と女たち︿上﹀﹄河出書房新社︵原著1992-9-1︶。ISBN 978-4309201924。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃詩人と女たち︿下﹀﹄河出書房新社︵原著1992-9-1︶。ISBN 978-4309201931。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃くそったれ!少年時代﹄河出書房新社︵原著1995-9-1︶。ISBN 978-4309202471。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃ブコウスキーの酔いどれ紀行﹄河出書房新社︵原著1995-12-1︶。ISBN 978-4309202549。 ●リチャード ローズ 著、中川五郎 訳﹃メイキング・ラヴ﹄文藝春秋︵原著1996-3-1︶。ISBN 978-4163514505。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃詩人と女たち﹄河出書房新社︿河出文庫﹀。ISBN 978-4309461601。 ●マーク・ボラン 著、中川五郎 訳﹃マーク・ボラン詩集―ボーン・トゥ・ブギ﹄シンコー・ミュージック︵原著1998-6︶。ISBN 978-4401612543。 ●クリス・ウェルチ 著、中川五郎 訳﹃ザ・ポリス/スティング 全曲解説﹄シンコーミュージック︿グレイト・ロック・シリーズ﹀︵原著1998年12月10日︶。ISBN 978-4401701247。 ●モリッシー 著、中川五郎 訳﹃モリッシー詩集﹄シンコーミュージック︵原著1998年12月10日︶。ISBN 978-4401613496。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃死をポケットに入れて﹄河出書房新社︵原著1999-2-1︶。ISBN 978-4309203096。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃くそったれ!少年時代﹄河出書房新社︿河出文庫﹀、1999年12月1日。ISBN 978-4309461915。 ●ハワード・スーンズ 著、中川五郎 訳﹃ブコウスキー伝―飲んで書いて愛して﹄河出書房新社︵原著2000-5-1︶。ISBN 978-4309203386。 ●ハニフ・クレイシ 著、中川五郎 訳﹃ぼくは静かに揺れ動く﹄アーティストハウス︿Book plus﹀︵原著2000-7-1︶。ISBN 978-4048973038。 ●ハニフ・クレイシ 著、中川五郎 訳﹃ミッドナイト・オールデイ﹄アーティストハウス︿Book plus﹀︵原著2001-11-1︶。ISBN 978-4048973175。 ●ハワード・スーンズ 著、中川五郎 訳﹃ブコウスキー・イン・ピクチャーズ﹄河出書房新社︵原著2001-10-1︶。ISBN 978-4309203539。 ●リー・ストリンガー 著、中川五郎 訳﹃グランドセントラル駅・冬﹄文藝春秋︵原著2001-11-1︶。ISBN 978-4163579207。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃死をポケットに入れて﹄河出書房新社︿河出文庫﹀、2002年1月1日。ISBN 978-4309462189。 ●ハニフ・クレイシ 著、中川五郎 訳﹃パパは家出中﹄アーティストハウスパブリッシャーズ︵原著2003-5-1︶。ISBN 978-4048981231。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃ブコウスキーの酔いどれ紀行﹄河出書房新社︿河出文庫﹀、2003年10月1日。ISBN 978-4309462332。 ●ダン・ファンテ 著、中川五郎 訳﹃天使はポケットに何も持っていない﹄河出書房新社︿Modern & classic﹀︵原著2004-7-21︶。ISBN 978-4309204024。 ●ダグラス・A. マーティン 著、中川五郎 訳﹃彼はぼくの恋人だった﹄東京創元社︵原著2007-8-1︶。ISBN 978-4488013288。 ●ボブ・ディラン 著、中川五郎 訳﹃追憶のハリウッド’60s もうひとつのディラン詩集﹄青土社︵原著2010-6-25︶。ISBN 978-4791765522。 ●ボブ・ディラン 著、中川五郎 訳﹃ボブ・ディラン全詩集 1962-2001﹄ソフトバンククリエイティブ︵原著2015年10月29日︶。ISBN 978-4797330724。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃ワインの染みがついたノートからの断片 -未収録+未公開作品集-﹄青土社︵原著2016-7-22︶。ISBN 978-4791767953。 ●チャールズ・ブコウスキー 著、中川五郎 訳﹃ブコウスキーの酔いどれ紀行﹄筑摩書房︿ちくま文庫﹀、2017年3月9日。ISBN 978-4480434357。 ●フィリップ・ロス 著、中川五郎 訳﹃グッバイ、コロンバス﹄朝日出版社、2021年3月。ISBN 978-4-255-01211-7。関連項目[編集]
●対レイシスト行動集団 ●野間易通 ●ヘイトスピーチ ●差別 ●正義 ●バブル景気脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ CNJ. “ボブ・ディランの「新しくない」という新しさ──中川五郎が「ディランの文学」に学んだこと”. WIRED.jp. 2020年12月7日閲覧。
- ^ “URCレコード読本”. シンコーミュージック・エンタテイメント | 楽譜[スコア]・音楽書籍・雑誌の出版社. 2020年8月13日閲覧。
外部リンク[編集]
- 中川五郎オフィシャルサイト
- 中川五郎 (@GoroNakagawa) - X(旧Twitter)
- 中川五郎 (NakagawaGoro) - Facebook