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この項目では、波動が持つ性質について説明しています。現象学の概念については「志向性」をご覧ください。 |
指向性︵しこうせい、directivity︶とは、音、電波、光などが空間中に出力されるとき、その強度︵単位立体角あたりエネルギー︶が方向によって異なる性質である。
あるいはそれらを空間中から検出するときにも使われる。電気信号等に変換すると、方向による利得の違いとして得られる。
さまざまな指標で表現されるが、それぞれ向き不向きがある。
よく使われる指標の1つが、半値幅︵半値半幅 HWHM︶である。半値幅は角度の次元を持ち、半値角とも呼ばれる。最も強度の高い方向からHMHWだけ外れると強度が半分に下がる。従って、2倍以上の強度比がない指向性は表せない。強度がちょうど半分となる角度を見つけるためには、角度ごとの強度を連続的に計測し指向性図を作る必要がある。
前方後方比 (front/back, F/B) や前方側方比 (front/side, F/S) も使われる。これらは無次元量で、それぞれ、前方︵最も強度の高い方向︶と後方、前方と側方の強度の比である。これらは2方向の強度を計測するだけで得られる。ただし、後方や側方の強度がほとんど0となる鋭い指向性を表すには適さず、双極性や四極性がある場合も正しく表せない。
これらの指標の基準となる強度は、エネルギーである。変位・電圧などはその平方根なので、半値幅離れた方向の強度は半分だが、振幅は約71%である。
半値幅やF/Sは、方向︵たとえば上下と左右︶で異方性がある指向性は、垂直方向の値と水平方向の値の2つの値で表す。一方、F/Bは異方性にかかわらず値は1つでいいが、逆に言うと、異方性を表すのには使えない。