新生代
累代 | 代 | 紀 | 世 | 期 | 基底年代 Mya[* 3] |
---|---|---|---|---|---|
顕生代 | 新生代 | 第四紀 | 完新世 | メガラヤン | 0.0042 |
ノースグリッピアン | 0.0082 | ||||
グリーンランディアン | 0.0117 | ||||
更新世 | 後期更新世 | 0.129 | |||
チバニアン | 0.774 | ||||
カラブリアン | 1.8 | ||||
ジェラシアン | 2.58 | ||||
新第三紀 | 鮮新世 | ピアセンジアン | 3.6 | ||
ザンクリアン | 5.333 | ||||
中新世 | メッシニアン | 7.246 | |||
トートニアン | 11.63 | ||||
サーラバリアン | 13.82 | ||||
ランギアン | 15.97 | ||||
バーディガリアン | 20.44 | ||||
アキタニアン | 23.03 | ||||
古第三紀 | 漸新世 | チャッティアン | 27.82 | ||
ルペリアン | 33.9 | ||||
始新世 | プリアボニアン | 37.8 | |||
バートニアン | 41.2 | ||||
ルテシアン | 47.8 | ||||
ヤプレシアン | 56 | ||||
暁新世 | サネティアン | 59.2 | |||
セランディアン | 61.6 | ||||
ダニアン | 66 | ||||
中生代 | 251.902 | ||||
古生代 | 541 | ||||
原生代 | 2500 | ||||
太古代[* 4] | 4000 | ||||
冥王代 | 4600 | ||||
地球環境[編集]
気候と生物の進化[編集]
中生代の地球環境は温暖であったが、新生代に入ると地球は徐々に寒冷化してゆき古第三紀の漸新世以後は南極大陸に氷床が発達し第四紀氷河時代に入る。動物は、新生代の始まりであるK-T境界を境に中生代に栄えた大型爬虫類の多くが絶滅し、地上は哺乳類と鳥類の適応分散が始まった。植物では中生代白亜紀に生まれた被子植物が全世界に広がっていった。古第三紀の気候と生物[編集]
古第三紀は約6500万年前から約2300万年前までの時代[9]で、暁新世、始新世、漸新世からなる。気候は温暖であった白亜紀半ば以後徐々に低温化していったが、約3400万年前の始新世と漸新世の境界時代に南極大陸に巨大な氷床が形成された。これ以後が現在も続いている新生代後期氷河時代である[10]。 K-T境界の事件で、中生代に地上・海中・空中に繁栄していた恐竜などの大型爬虫類は、ワニ類を除いてほとんどいなくなった。新生代は哺乳類と鳥類の適応放散が起こった。小型恐竜の一部から派生・進化した鳥類は既に白亜紀において空中でも陸上でも翼竜や恐竜と伍して生活していたため当初は哺乳類より有利であり、古第三紀最初︵暁新世︶の最大の捕食者は鳥類のディアトリマであった[11]。古第三紀が始まったときの哺乳類は、ほとんどが草食や昆虫食で大きさもネズミほどのものが多く最大のものでもネコ程度であったが、爬虫類がいなくなった地上に適応し体も大きくなってゆく。哺乳類は暁新世から始新世にかけて第一次適応放散の後、漸新世で2度目の適応放散を行う[12]。現在見られる哺乳類の多様性は漸新世から始まった。すなわち現代型のクジラ、齧歯類のリス・ネズミ、長鼻類のゾウ、霊長類の真猿類︵いわゆるサル︶、奇蹄類のウマやサイ、偶蹄類のイノシシやラクダ、食肉類のサーベルタイガーやクマなどが漸新世に現れた[13]。なお 新生代初めオーストラリア大陸は南極大陸︵南極大陸が南米とも繋がっていたが︶とのみ繋がっており、他の大陸とは海を隔てていたため、これらの哺乳類︵真獣類︶とは系統が異なる単孔類や有袋類が適応放散していた[14]。オーストラリア大陸の生物の特殊性は人類がオーストラリアに渡るまで継続した。同じように他の大陸と離れていた南アメリカには北米と繋がるまで一部の真獣類と有袋類が繁栄した[15]。 暁新世末の約5500万年前に突発的な温暖化が起こり、海洋の中層から低層に生息していた有孔虫の35-50%が絶滅した。この時海洋深層水の温度は5-7℃[16]、気温は6-8℃上昇し5万年から10万年かけて元に戻った。原因として当時の海底に大量に存在していたメタンハイドレートが融解し、数千年の間[17]に炭素量換算1500ギガトンのメタンガスが大気中に放出され、メタンによる温室効果と その後メタンが酸化されてできる二酸化炭素による温室効果が想定されている[18]。またこの時メタンが放出されたとされる地形が北大西洋のノルウェー沖で見つかって2004年に発表されている[19]。1500ギガトンという温室効果ガスの量は、産業革命以来人類が発生させてきた二酸化炭素量と今後発生させると予想される二酸化炭素量の合計に匹敵するとされている[20]。-
古第三紀暁新世の巨大な地上生鳥類ガストルニス。植物食性と推測されている。
-
肉食のミアキス、 体長30cm。現在の食肉類の祖先と考えられている。
-
ゾウの祖先のマストドン、長鼻類は漸新世に現在のゾウに近い体型になった。
新第三紀の気候と生物[編集]
-
食肉類のサーベルタイガースミロドン、体長約2m
-
南アメリカに生息していた有袋類のティラコレオ、体長1.2-1.7m、パナマ地峡を渡ってきたスミロドンとの生存競争に敗れて滅んだ。
-
中新世のウマw:Anchitheriumの足と蹄、指の数が3本から1本に減ってゆく状況がわかる。
第四紀の気候と生物[編集]
-
南アフリカで見つかった「ミセスPles」と名づけられたアウストラロピテクスの頭骨。
-
人類の派生種パラントロプス、アウストラロピテクスと同時代で、体格はやや大きく頑丈な顎を有していたが、次世代に子孫を残せなかった。
-
ホモ・エレクトスの頭骨、発見時はジャワ原人(ピテカントロプス)とも呼ばれていた。
-
ネアンデルタール人の頭骨。
-
現生人類ヒトの頭骨
-
マンモスの復元模型、マンモスを初めとする多くの大型哺乳類が約1万年前に絶滅した。
-
ニュージーランドに住んでいた巨鳥モア 体長3m以上に達したが、移住してきたマオリ族によって滅ぼされた。
第四紀の区分定義決定までの議論[編集]
長い間、第四紀の定義は確定しておらず、議論の的となっていた。国際地質科学連合(IUGS)による改訂作業が進行する中、地質科学関連学協会連合(日本地質学会など日本における関連学会の連合体)では、1989年に発表された次のものを、正式のものとして当面これを使用すべしとしていた[34][35]。
代 | 紀 | 世 | 非公式用語 |
---|---|---|---|
新生代 | 第四紀 | 完新世 | |
更新世 | |||
新第三紀 | 鮮新世 | 第三紀 | |
中新世 | |||
古第三紀 | 漸新世 | ||
始新世 | |||
暁新世 |
第四紀の範囲の問題[編集]
その一方で、第四紀の専門家の間では、当時、鮮新世の最後期とされていたジェラシアンを第四紀に含め、第四紀の始まりを258万年前のピアセンジアン・ジェラシアン(Piacenzian-Gelassian)境界とするのが一般的となっていた。氷河時代がこのころ始まっているなど、第四紀を特徴付ける気候変動が起こっているからである。
第四紀の専門家以外(特に第三紀の専門家)は、公式の区分どおり、ジェラシアンを第三紀に含めることが多い。この不一致を解消するため、時代区分の改訂作業が進められた。
2004年の提案[編集]
2004年、IUGSは新しい改訂作業を開始し、第四紀を廃止し、新生代を新第三紀・古第三紀の2つの紀に分けた時代区分を発表した。ただしこの区分は、同年の万国地質学会(IGC)では批准されなかった。
新しい新第三紀は、第四紀に含まれていた時代を含む。そのため、新第三紀という訳語はまぎらわしく、新第三紀・古第三紀の新しい訳語を作るべきだという意見も多いが、定訳はまだ無い。カタカナでネオジン、パレオジンと書かれることもある。
代 | 紀 | 世 | 以前の紀(参考) |
---|---|---|---|
新生代 | 新第三紀 | 完新世 | 第四紀 |
更新世 | |||
鮮新世 | 新第三紀 | ||
中新世 | |||
古第三紀 | 漸新世 | 古第三紀 | |
始新世 | |||
暁新世 |
2005年の提案[編集]
2004年の改定案に対して、国際第四紀学連合(INQUA)などから反対が起こったため、IUGSの下部組織である国際層序委員会(ICS)の第四紀層序小委員会(ICS-SQS)とINQUAからなる合同チームで調整が図られ、2005年に新しい提案がなされた。[36]
新生代を新第三紀・古第三紀に分けることはIUGSの提案と同じである。しかし、第三紀・第四紀は新生代を(新第三紀・古第三紀とは別の境界で)2つに区分する亜代とされた。新しい第三紀と第四紀の境界は、従来の新第三紀と第四紀の境界だった181万年前の鮮新世・更新世境界から、258万年前の鮮新世ピアセンツィアン・ジェラシアン境界に移動させられた。これは、第四紀の研究者の間では258万年前を第四紀の始まりとすることが多いことを反映させたものである。
代 | 亜代 | 紀 | 世 | 期(一部) | 以前の紀(参考) |
---|---|---|---|---|---|
新生代 | 第四紀 | 新第三紀 | 完新世 | 略 | 第四紀 |
更新世 | 略 | ||||
鮮新世 | ジェラシアン | 新第三紀 | |||
第三紀 (非公式用語) |
略 | ||||
中新世 | 略 | ||||
古第三紀 | 漸新世 | 略 | 古第三紀 | ||
始新世 | 略 | ||||
暁新世 | 略 |
2007年の提案[編集]
代 | 紀 | 世 | 期(一部) | 以前の世(参考) | 以前の紀(参考) |
---|---|---|---|---|---|
新生代 | 第四紀 | 完新世 | 略 | 完新世 | 第四紀 |
更新世 | 略 | 更新世 | |||
ジェラシアン | 鮮新世 | 新第三紀 | |||
新第三紀 | 鮮新世 | 略 | |||
中新世 | 略 | 中新世 | |||
古第三紀 | 漸新世 | 略 | 漸新世 | 古第三紀 | |
始新世 | 略 | 始新世 | |||
暁新世 | 略 | 暁新世 |