気分
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気分(きぶん、独: Stimmung、英: mood)は、一般には心身についての微弱で持続的な感情のことである。
哲学における「気分」[編集]
「雰囲気#人文学における「雰囲気」」および「情動」も参照
気分概念は実存主義哲学において重要な概念となっており、この場合、もはや単なる我々の知覚や行為に付随する心理的現象を意味するものではない。ハイデッガーの場合、気分は、決して目立たない仕方で我々自身の存在を規定するものであり、了解とともに現存在の開示性を構成する本質的契機として位置づけられている。
たとえば、人間存在はその無根拠性ゆえに未来に不安を抱くが、この不安こそが、現存在を世界内存在へと孤独化させその自由存在へ直面させる根本的気分であるとされる。この気分は、自発的に惹き起こされるものでも外部の刺激に自動的に反応するのでもなく、世界内存在という在り方として世界内存在自身から立ち上がってくる。そうして、私たちが世界の内で何ものかに出会い、それに注意することに先行して、そうした個々の出会いの場である世界全体を開示するのである。
こうした事態について、ハイデッガーの﹁聴くこと﹂についての説明がわかりやすい。すなわち、﹁我々が聴くときというとき、耳が受け取ったものに何かを付け加えるのではなく、耳が何を聴き分け、いかに聴き分けるかということも、我々が聴くものによって既に調子を合わせられ︵︿気分づけられ﹀︶、決定されている﹂のである(﹃存在と時間﹄87頁)。