雁 (小説)
﹃雁﹄︵がん︶は、森鷗外の小説である。文芸雑誌﹃スバル﹄にて、1911年9月から1913年5月にかけて連載された。1915年5月刊行。
あらすじ[編集]
1880年︵明治13年︶高利貸し末造の妾・お玉が、医学を学ぶ大学生の岡田に慕情を抱き、末造の来ない日に一人で家にいるようにして、散歩に来る岡田を待つ。ところが、いつも一人で散歩していた岡田は、その日の下宿の夕食が偶然、語り手の﹁僕﹂が嫌いなサバの味噌煮だったため、﹁僕﹂とともに散歩に出た。途中不忍池で、たまたま投げた石が雁に当たって死んでしまう。かれらは無縁坂の中途にあるお玉の家の前を通ったが、岡田が一人ではなかったので、お玉は結局その想いを伝える事が出来ないまま岡田は洋行する。 不運にも命を落とす雁になぞらえ、女性のはかない心理描写を描いた作品である。ただしそれを、岡田の友人が語り手となって書いており、かれらがその当時は知りえないような、お玉と末造とのなれそめ、末造と妻との諍いなども描かれている。これは、語り手がその後お玉と知る機会を得て、状況を合わせ鏡のように知ったのだと、語り手の﹁僕﹂は作中で弁解している。映像作品[編集]
映画[編集]
●﹃雁﹄(大映) ●1953年版 - 監督‥豊田四郎、脚本‥成沢昌茂、音楽‥團伊玖磨、出演‥高峰秀子︵お玉役︶、芥川比呂志︵岡田役︶、宇野重吉︵木村役︶、東野英治郎︵末造役︶、浦辺粂子︵お常役︶、飯田蝶子︵おさん役︶、小田切みき︵女中・お梅役︶、三宅邦子︵お貞役︶、田中栄三︵お玉の父・善吉役︶ ●﹃雁﹄(大映) ●1966年版 - 監督‥池広一夫、脚本‥成沢昌茂、出演‥若尾文子、山本学、姿美千子、小沢栄太郎、山岡久乃、水戸光子、井川比佐志テレビドラマ[編集]
●1959年版 ●KR︵現・TBS︶系、脚本‥小幡欣治、出演‥森光子、山内明、御橋公、小田切みき。﹃サンヨーテレビ劇場﹄︵三洋電機一社提供︶で放送。 ●NET︵現・テレビ朝日︶系、出演‥岩井半四郎、八波むと志、藤乃高子、小桜京子。﹃岩井半四郎ショー﹄で放送。 ●1962年版 - NHK、脚本‥尾崎甫、出演‥小林千登勢、大町文夫、巌金四郎、石濱朗、菅井きん ●1963年版 - MBS系、出演‥不明。﹃南海水曜劇場﹄︵南海電鉄一社提供︶で放送。 ●1974年版 - NET系、監督‥河野寿一、脚本‥成沢昌茂、出演‥十朱幸代、岡田裕介、桑山正一、浜村純。水曜21:00時代劇﹃女・その愛のシリーズ﹄で放送。 ●1993年版 - テレビ東京系、脚本‥金子成人、演出‥久世光彦、出演‥田中裕子、長谷川和彦、石橋保、吉行和子、中野英雄、木田三千雄、櫻井淳子、でんでん、柴田理恵、ナレーション‥加藤治子。月曜21:00ドラマ﹃日本名作ドラマ﹄︵第1期︶で放送︵第1作目︶。 ※第31回ギャラクシー賞奨励賞受賞 ●1994年版 - フジテレビ系、演出‥片岡K、出演‥桜金造、井出薫、袴田吉彦関連項目[編集]
- 岡田国太郎 主人公岡田のモデルとされる人物。