つんと（読み）ツント

デジタル大辞泉 「つんと」の意味・読み・例文・類語

つん‐と

 
﹇副﹈(スル)
1 愛想なくとりすましているさま。﹁つんと乙にすます﹂
2 においが強く鼻を刺激するさま。﹁わさびがつんとする﹂
3 上を向いてとがっているさま。﹁鼻がつんと高い﹂
4 ︵あとに打消しの語を伴って︶とんと。まったく。
﹁在所へ行かんしたと言へども、―まことにならず﹂︿浄・曽根崎﹀
[類語]︵1︶ぷいと・むしゃくしゃ・かんかん・ぷりぷり・ぷんぷん・かちん・かっか・かりかり・かっと・ぷんと・つんつん・つんけん・けんけん・けんもほろろ・つっけんどん・邪険・むげに・意地悪・素(す)気(げ)無い・そっけない・つれない・よそよそしい・にべない・冷たい・気がない・ぎすぎす・ぶっきらぼう・意地悪い・刺(とげ)刺(とげ)しい・取り付く島も無い・ないがしろ・白い目で見る・軽(かろ)んずる／︵2︶ぷんと・ぷんぷん・芬芬  

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精選版 日本国語大辞典 「つんと」の意味・読み・例文・類語

つん‐と

 

(一)〘 副詞 〙
 (二)① 物を一度に切るさまを表わす語。つっと。
(一)[初出の実例]﹁めてのかふりの板をかけて、つむと切てぞ落ける﹂(出典‥幸若・高たち︵室町末‐近世初︶)
 (三)② 放屁するさまを表わす語。
(一)[初出の実例]﹁五節の女房のへをつむとひりたればといへることぐさあり。そのつむ如何。ちるめる、つるめるを反せば、つむとなる也﹂(出典‥名語記︵1275︶四)
 (四)③ すましかえって、ぶあいそなさまを表わす語。つんつん。
(一)(イ) とりすましてあいそのないさま。冷たい感じが伴う。
(一)[初出の実例]﹁梅は香(にほひ)、持ちながらつんとした枝ぶり、張の強い女に似て﹂(出典‥浄瑠璃・諸葛孔明鼎軍談︵1724︶一)
 (二)(ロ) 怒りを含んだり、不きげんであったりして、ぶあいそなさま。
(一)[初出の実例]﹁つんとしたる、ぴんとしたるふくれっつら﹂(出典‥咄本・喜美賀楽寿︵1777︶序)
 (五)④ ( 下に打消を伴って用いることが多い ) その状態を是認しながら強める語。とんと。さっぱり。まったく。
(一)[初出の実例]﹁どうとなりとも云はるれば妙の字はつけられぬぞ。つんと不測のなりぞ﹂(出典‥大学垂加先生講義︵1679︶)
 (六)⑤ 他より抜きんでて高いさま、とがって高いさまを表わす語。
(一)[初出の実例]﹁白菊のつんと立たる土用哉﹂(出典‥俳諧・文政句帖‐五年︵1822︶六月)
 (七)⑥ 鼻汁をかむさまを表わす語。ふんと。
(一)[初出の実例]﹁泣止(なきやめ)泣止、ドレじじかんでやろ、サつんとせい、つんとせい﹂(出典‥浄瑠璃・染模様妹背門松︵1767︶下)
 (八)⑦ 感覚を強く鋭く刺激するさまを表わす語。匂いに限らず広く用いられる。﹁つんつん﹂より用法が広い。
(一)[初出の実例]﹁世にも利たる芥子なれば、鼻から天窓(あたま)へ一たんに辛さがツンと突ぬく故﹂(出典‥滑稽本・七偏人︵1857‐63︶四中)
  

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