デジタル大辞泉
「和名類聚抄」の意味・読み・例文・類語
わみょうるいじゅしょう〔ワミヤウルイジユセウ〕【和名類聚抄/倭名類聚鈔】
934︶ごろ成立。漢語を意義分類し、出典を記して意味と解説を付し、字音と和訓を示す。和名抄。倭名鈔。わみょうるいじゅうしょう。
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わみょうるいじゅしょうワミャウルイジュセウ【和名類聚抄・倭名類聚鈔】
(一)平安中期の漢和辞書。十巻本と二十巻本とがある。源順編。承平四年︵九三四︶ごろの成立。醍醐天皇皇女勤子内親王の令旨によって撰進。天地・人倫など部門別に漢語を掲出、出典・音注・証義を示し、和名を万葉仮名で記す。和漢の典籍からの引用が豊富。百科事典としての機能も果たし、その資料的価値は大きい。和名抄。
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和名類聚抄【わみょうるいじゅうしょう】
平安時代の漢和辞書。︿わみょうるいじゅしょう﹀とも読み,︽和名抄︾と略す。承平年間︵931年―938年︶源順(みなもとのしたごう)撰。10巻本と20巻本の2種がある。意義分類により,天地部より草木部に至る部類別に漢語を標出して,出典を示し,類音字や反切によって音注を施し,漢文で説明を加え,和名を万葉仮名で記した辞書。項目は事物の名称︵名詞︶が大部分で,一種の百科事典的性格をもつ。すでに平安時代からかなり世に行われていたらしく,︽類聚名義抄︾︽色葉字類抄︾︽節用集︾など後続の辞書類にも大きな影響を与えている。国語史学はもちろん,古代文化の研究にも重要な資料である。
→関連項目安食荘|足羽|大野荘︵徳島︶|遠敷|寒河御厨|塵袋|投壺|百科事典|二見御厨|八代荘|類書|和字正濫鈔
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和名類聚抄 (わみょうるいじゅうしょう)
︿わみょうるいじゅしょう﹀とも読み,︽和名抄︾と略称する。また︿和﹀は︿倭﹀とも記す。醍醐天皇の皇女勤子内親王の命により,源順︵みなもとのしたごう︶が撰上した意義分類体の漢和辞書。承平年間︵931-938︶の編集か。10巻本と20巻本とがあるが,どちらが原撰かについては論議がある。10巻本は24部128門,20巻本は32部249門に分かれる。漢語の出典,字音,和名などを説明した一種の百科事典である。和名は万葉仮名で記されており,古代の語彙を研究するための貴重な資料である。写本の中には声点︵しようてん︶を付したものもあり,アクセント資料としても使える。引用書には現存しないものも多い。また文学作品にはあまり見られない,日常使われる物品の和名が多く採用されている。なお本書の研究書としては狩谷棭斎︵かりやえきさい︶の︽箋注︵せんちゆう︶倭名類聚抄︾︵1827成立︶がある。
執筆者‥前田 富祺
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倭名類聚抄
わみょうるいじゅしょう
﹁和名(わみょう)類聚抄﹂﹁和名抄﹂ともいう。平安時代の分類体漢和対照辞書。源順(みなもとのしたごう)撰(せん)。承平(しょうへい)年間︵931~938︶ごろの成立。約2600の漢語を分類し、その文例・語釈を漢籍から引用して、割注で字音と和訓を示す。従来の﹃楊氏(ようし)漢語抄﹄﹃弁色立成(べんしきりゅうじょう)﹄︵いずれも逸書︶などの漢和対訳語彙(ごい)集を集成し、漢籍を引用して学問的権威づけを施したもので、辞書の一つの標準として後の時代に影響を与えた。十巻本︵24部128門︶と二十巻本︵32部249門︶の二系統があり、いずれを原撰とみるかで論が分かれている。二十巻本は職官、国郡、郷里、曲調、薬名など、語彙や地名を列挙するのみの部門がある。
﹇宮澤俊雅﹈
﹃中田祝夫編﹃倭名類聚抄﹄︵1978・勉誠社文庫︶﹄
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倭名類聚抄
わみょうるいじゅしょう
﹃和名類聚鈔﹄とも書き,また﹃和名抄﹄ともいう。平安時代中期の漢和辞書。源順 (みなもとのしたごう) 著。10巻本,20巻本の2種があるが,この両系統の前後関係は未詳。承平4 (934) 年頃成立。天地,人倫,装束,飲食などの部類別に漢語を標出し,出典 (おもに中国のもの) ,音を示したのち,説明を加え,さらに和名を注記したもので,特に20巻本は百科事典のような性格も有している。平安時代の発音,語彙,俗語などを知るうえで貴重な資料。また,出典に佚書を多く含むため,文献書誌学上でも重要。本書は醍醐天皇の第4皇女勤子 (きんし) 内親王の要請によって順が著わした旨,その序文に書かれている。
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和名類聚抄
わみょうるいじゅうしょう
「倭名類聚抄」「和(倭)名抄」「順和名」とも。日本最古の意義分類体の漢和辞書・百科辞典。醍醐天皇の皇女勤子内親王の依頼により源順(したごう)撰。承平年間(931~938)の成立。意義によって部類をたて,漢語を掲出して漢文による注記をほどこし,和訓を万葉仮名で付記する。伝本には10巻本系と20巻本系があるが,前後関係は不詳。10巻本は天・人(衣食・調度を含む)・動植物24部128門,20巻本は歳時・音楽・職官・国郡・香薬などを加えた32部249門からなる。国郡部の郷名は9~10世紀前半の史料としてきわめて貴重。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
倭名類聚抄
わみょうるいじゅうしょう
平安前期の漢和辞書
略称『倭名抄』。「和名類聚抄」とも書く。930年代の成立。10巻本と20巻本とがある。源順 (みなもとのしたごう) 編。百科辞書的な分類により,古代の百科・語学の研究に重要な史料である。
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世界大百科事典(旧版)内の和名類聚抄の言及
【辞書】より
…漢字を字形によって偏旁に分類したものであるが,漢文の注のあとに,万葉仮名で和訓を書き添えてある点は現存する最古のものである。《[和名類聚抄](わみようるいじゆうしよう)》(《和名抄》と略称される)は源順(みなもとのしたごう)の著で,承平年間(931‐938)に醍醐天皇の皇女勤子内親王に献じられた。おもに物の名を集め,意味によって分類し,出典,発音,意味,万葉仮名による和訓などを書き加えたもので,百科辞書的な要素が濃い。…
【東雅】より
…20巻。中国の︽[爾雅]︵じが︶︾にならったもので,︽[和名類聚抄]︾にみえる物名について語義の解釈をしたものである。︿天文﹀︿地輿﹀︿神祇﹀︿人倫﹀などと分類され,天地よりはじめて虫魚の類に及んでいる。…
【図書館】より
…それはまた史料編纂所の大事業《大日本史料》編纂にも受け継がれている。やがてわれわれはより便利な漢和字書《和名類聚抄(わみようるいじゆしよう)》をもつが,これも一種の[類書]であった。
[中世,近世]
下っては,[金沢(かねさわ)文庫]と[足利学校]が日本図書館史上重要である。…
【百科事典】より
…その編成は,日本的な類書の構成の原型となり,後世の和学に大きな影響を与えた。もう一つの例は,源順(みなもとのしたごう)が醍醐天皇の皇女勤子内親王の求めに応じて編纂した《[和名類聚抄](わみようるいじゆうしよう)》10巻(略して《和名抄》,大幅に増補された20巻本もある)である。この書は,日本・中国の物名の語義と音訓を解説した辞書であるが,全体が類書的な部・門に編成されており,構成の面からみて百科事典的な性格をもっている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」