デジタル大辞泉 「将」の意味・読み・例文・類語 はた【▽将/▽当】 ﹇副﹈ 1 あるいは。それとも。はたまた。﹁夢か、―幻か﹂ 2 さらにまた。そのうえまた。﹁野越え、山越え、―海を越え﹂ ﹁かくては生けるかいもなし。―如何にして病の牀のつれづれを慰めてんや﹂︿子規・墨汁一滴﹀ 3 ひょっとすると。 ﹁さ雄(をし)鹿(か)の鳴くなる山を越え行かむ日だにや君が―逢はざらむ﹂︿万・九三五﹀ 4 それはそれとして。こちらはこちらで。 ﹁男破(わ)れて、逢はむ、と言ふ。女も―、いと逢はじ、とも思へらず﹂︿伊勢・六九﹀ 5 そうはいっても。とはいえ。 ﹁しばし休らふべきに、―侍らねば﹂︿源・帚木﹀ 6 いうまでもなく。まして。 ﹁女房共、いまいましきまで泣きあひたり。若君の乳母、―言ふべきやうなし﹂︿今昔・一九・九﹀ 7 思ったとおり。やはり。 ﹁ひとへに魔王となるべく大願を誓ひしが、―平治の乱ぞ出で来ぬる﹂︿読・雨月・白峯﹀ 8 否定・疑問・感動などの表現を強める語。まったく。いったい。 ﹁家のうちに足らぬことなど―無かめるままに﹂︿源・帚木﹀ ﹁いで、あな悲し。かく―おぼしなりにけるよ﹂︿源・帚木﹀ [類語]︵1︶はたまた・あるいは・それとも・または・もしくは・ないし/︵2︶そのうえ・このうえ・かつまた・且つ・又・なおかつ・おまけに・加うるに・のみならず・しかのみならず・そればかりか・それどころか・かてて加えて しょう︻将︹將︺︼﹇漢字項目﹈ ﹇音﹈ショウ︵シャウ︶︵漢︶ ﹇訓﹈まさに はた ﹇学習漢字﹈6年 1 軍を統率する長。﹁将棋・将軍・将校・将兵/王将・主将・智(ちし)将(ょう)・敗将・武将・勇将﹂ 2 軍隊の階級に用いる語。﹁将官/空将・少将・中将﹂ 3 引き連れる。もたらす。﹁将来﹂ 4 これから…しようとする。﹁将来﹂ ﹇名のり﹈すけ・すすむ・たすく・ただし・たもつ・のぶ・ひとし・まさ・もち・ゆき ﹇難読﹈女(おか)将(み)・将(さか)曹(ん)・将(じょ)監(う) しょう︹シヤウ︺︻将︼ 1軍隊を率い指揮する者。将(しょ)帥(うすい)。﹁一軍の将﹂ 2 軍人の階級の一。将官。 3 自衛官の階級の一。最高位の階級で、陸将・海将・空将があり、諸外国軍や旧日本陸海軍の大将・中将に相当する。 4 律令制の近(この)衛(え)府(ふ)の官名。大将・中将・少将があった。 [類語]将軍・知将・名将・勇将・闘将・驍将・参謀・軍師・司令官・提督 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「将」の意味・読み・例文・類語 はた【将・当】 (一)〘 副詞 〙 他の事柄と関連させて判断したり推量したり、あるいは列挙選択したりするときに用いる語。 (二)① 事の成否を危惧しながら推量するときに用いる。 (一)(イ) ひょっとして。もしかして。→はたや。 (一)[初出の実例]﹁さ男鹿の鳴くなる山を越え行かむ日だにや君が当(はた)逢はざらむ﹂(出典‥万葉集︵8C後︶六・九五三) (二)(ロ) ( 下に否定語を伴って ) まさか。よもや。 (一)[初出の実例]﹁女もはたいと逢はじとも思へらず﹂(出典‥伊勢物語︵10C前︶六九) (三)② 当然のこととして肯定する気持を表わす。やはり。さすがに。思ったとおり。はたして。 (一)[初出の実例]﹁男の御かたち・有様、はたさらにもいはず﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶明石) (四)③ 他に考えてもやはり、と肯定する気持を感動的に表わす。 (一)[初出の実例]﹁ほととぎす初声聞けばあぢきなくぬし定まらぬ恋せらるはた︿素性﹀﹂(出典‥古今和歌集︵905‐914︶夏・一四三) (五)④ 先行の事柄と類似の事柄をさらに想定してみるときに用いる。 (一)(イ) 打消表現と呼応して、それもだめだという気持を表わす。そうはいうものの。しかしながら。 (一)[初出の実例]﹁げにさせばやと思せど、数より外の大納言になさん事は難し。人のはたとるべきにあらず﹂(出典‥落窪物語︵10C後︶四) (二)(ロ) 二つの事柄のどちらを選ぶか迷う気持を表わす。はたまた。それともまた。あるいは。 (一)[初出の実例]﹁是の諸の行相は一人に具せりとや為む、当(ハタ)多人に具せりとや為む﹂(出典‥蘇悉地羯羅経略疏寛平八年点︵896︶) (六)⑤ 先行の事柄と類似の事柄を列挙するときに用いる。 (一)(イ) それもまた同様であるという気持を表わす。また。同様に。 (一)[初出の実例]﹁この男はた宮仕へをば苦しき事にして、ただ逍遙をのみして﹂(出典‥平中物語︵965頃︶一) (二)(ロ) さらに類似のことが加わることを表わす。その上にまた。さらにまた。いっそう。 (一)[初出の実例]﹁例の遊び、はたまして、心に入れてし居たり﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶嵯峨院) しょうシャウ︻将︼ (一)〘 名詞 〙 (二)① 一軍を指揮し統率する者。軍隊の長。将帥。 (一)[初出の実例]﹁征て功を立(たつる)は武人のわざなり。此わざに誉れあらば将とするにたれり﹂(出典‥神皇正統記︵1339‐43︶中) (二)[その他の文献]︹史記‐朝鮮︺ (三)② 近衛府の官名。大将、中将、少将に分ける。 (四)③ 旧陸海軍の階級の一つ。将官。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例