幼稚産業(読み)ようちさんぎょう(英語表記)infant industry

精選版 日本国語大辞典 「幼稚産業」の意味・読み・例文・類語

ようち‐さんぎょうエウチサンゲフ【幼稚産業】

  1. 〘 名詞 〙 将来成長を期待されるが、当面国家が保護しなければ国際競争に耐えられない産業

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改訂新版 世界大百科事典 「幼稚産業」の意味・わかりやすい解説

幼稚産業 (ようちさんぎょう)
infant industry




 18A.19F.J.S.A.貿貿

 貿

 調
貿

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幼稚産業」の意味・わかりやすい解説

幼稚産業
ようちさんぎょう
infant industry

自由貿易のもとでは外国との競争に耐えられない未発達の産業。 J.S.ミルは,適切な保護のもとにその育成をはかることによって,将来は比較優位をもつ産業への転換が可能であるなら,必要期間この産業への保護政策 (保護貿易) を適用すべきであるとする考え方を提唱した。そのような目的の保護関税を育成関税 educational dutiesという。その後 C.F.バステーブルはこれを若干修正して,このような保護政策が正当化されるには,ある期間を過ぎれば保護なしでも自立でき,最終的に生じるその国の福祉向上や技術修得の外部経済効果という利益が保護期間中の不合理な生産による福祉低下を上回るものでなければならず,さらに後発性のゆえに幼稚産業で競争力が弱いのであり,元来はその国に適した産業でなければならない (ミル・バステーブル基準という) とした。ガット GATTでも幼稚産業に対する国家の保護,育成は例外的なものとして容認されている。

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世界大百科事典(旧版)内の幼稚産業の言及

【関税】より

… しかし自由貿易体制は,工業先進国イギリスをさらに発展させたが,工業後進国の発展にとっては必ずしも望ましい結果がもたらされなかった。このためドイツやアメリカでは,工業化を図るために幼稚産業の保護を目的とする高関税政策がとられることになり,その後フランスにも波及する。高関税による保護貿易は,第1次大戦後の不況のなかで一層の拍車がかけられ,幼稚産業のみならず斜陽産業にまで保護貿易政策が広がった。…

※「幼稚産業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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