デジタル大辞泉 「往来」の意味・読み・例文・類語 おう‐らい〔ワウ‐〕【往来】 ﹇名﹈(スル) 1 行ったり来たりすること。行き来。﹁車が激しく往来する﹂ 2 人や乗り物が行き来する場所。道路。﹁往来で遊ぶ﹂ 3 互いに行ったり来たりすること。交際。﹁足しげく往来する間柄﹂ 4 感情や考えが、心中に現れたり消えたりすること。去来。 ﹁いろいろな人たちのことがわたしの胸を―した﹂︿藤村・千曲川のスケッチ﹀ 5 手紙などのやりとり。また、往復書簡。 6 書簡文の模範文例集。→往来物 7 ﹁往来物﹂の略。 [類語]︵1︶行き来・通い・交通・通る・運行・通行・走行・行き交い・行き帰り・来往・往還・行き戻り・去来・通う/︵2︶道・通り・道路・車道・街路・舗(ほど)道(う)・街道・往還・通路・路上・路面・ロード・ルート 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「往来」の意味・読み・例文・類語 おう‐らいワウ‥【往来】 (一)〘 名詞 〙 (二)① ( ━する ) 人や事物が行ったり来たりすること。また、その人。 (一)(イ) ある場所へ、また、ある道をゆききすること。行ったり帰ったりすること。ゆきき。通行。 (一)[初出の実例]﹁未レ有二幾時一既絶二往来一累レ月之後更起二愛心一﹂(出典‥万葉集︵8C後︶四・五三六・左注) (二)[その他の文献]︹詩経‐小雅・巧言︺ (二)(ロ) 互いにゆききすること。交際すること。 (一)[初出の実例]﹁西は東を攻め、南は北と戦ひ、物を掠め土地を奪ふ習ひなりしかば、相往来するの心はなく﹂(出典‥日本読本︵1887︶︿新保磐次﹀六) (三)(ハ) 補任すること。︹醍醐寺新要録︵1620︶︺ (四)(ニ) ︵考えなどが︶消えたり浮かんだりすること。 (一)[初出の実例]﹁こんな考は余程早くから博士の胸に往来してゐる﹂(出典‥半日︵1909︶︿森鴎外﹀) (三)② 廻国修行の行脚(あんぎゃ)。 (一)[初出の実例]﹁げに往来の利益こそ、他を助くべき力なれ﹂(出典‥謡曲・鵜飼︵1430頃︶) (四)③ 人や乗り物が行き来する道。道路。街道。 (一)[初出の実例]﹁山水雖レ可レ愛、恨接二往来一未二幽邃一﹂(出典‥艸山集︵1674︶二二・谷口歌) (二)﹁往来へ出ると何もしないで店先の看板ばかり見て歩行(ある)いて居る﹂(出典‥吾輩は猫である︵1905‐06︶︿夏目漱石﹀三) (五)④ 手紙。特に往復書簡。また、そのやりとり。訪問時の贈答。 (一)[初出の実例]﹁わうらい月日書きてせん立てて、御名し給へり﹂(出典‥宇津保物語︵970‐999頃︶国譲中) (六)⑤ 手紙。特に往復書簡を集めて手習いの手本としたもの。近世では、寺子屋の教科書などに用いられた。﹁明衡往来﹂﹁庭訓往来﹂など。→往来物。 (一)[初出の実例]﹁庭訓の往来の詞に﹂(出典‥壒嚢鈔︵1445‐46︶一) (七)⑥ ﹁おうらいてがた︵往来手形︶﹂の略。 (一)[初出の実例]﹁疑がやるなら順礼の、この往来(ワウライ)が慥(たし)かな証拠﹂(出典‥歌舞伎・八重霞曾我組糸︵1823︶序幕返し) (八)⑦ 熱が出たり引いたりすること。﹁寒熱往来﹂ (九)⑧ 相場が一定の範囲内を上下して、大幅な値動きをしないこと。持合い。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「往来」の読み・字形・画数・意味 【往来】おう(わう)らい 往返。ゆきき。交際。︹老子、八十︺鄰國相ひみ、犬の聲相ひ聞ゆ。民、老死するに至るまで、相ひ來せず。 字通﹁往﹂の項目を見る。 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報