デジタル大辞泉 「思」の意味・読み・例文・類語 し【思】[漢字項目] ﹇音﹈シ︵呉︶︵漢︶ ﹇訓﹈おもう ﹇学習漢字﹈2年 こまごまと考える。おもいめぐらす。おもう。おもい。﹁思案・思考・思索・思想・思慕・思慮/意思・客思・秋思・愁思・熟思・所思・相思・沈思・不可思議﹂ ﹇名のり﹈こと ﹇難読﹈思(おも)惑(わく) 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「思」の意味・読み・例文・類語 おもいおもひ【思】 (一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁おもう︵思︶﹂の連用形の名詞化 ) (二)① 物事を理解したり感受したりするときの心の働きをいう。 (一)(イ) ある事について、こうだと考えること。また、その内容。思慮。所存。 (一)[初出の実例]﹁説法の師を供養するときには、仏世尊のごとしといふ想(オモヒ)あり﹂(出典‥地蔵十輪経元慶七年点︵883︶九) (二)(ロ) こうなるだろうという予想や想像。また、こうだろうという推量。 (一)[初出の実例]﹁かけてだに思ひやはせし山ふかくいりあひの鐘にねをそへんとは﹂(出典‥蜻蛉日記︵974頃︶中) (三)(ハ) 過ぎてきたことをふりかえって心に浮かべること。回想。追憶。 (一)[初出の実例]﹁今は早や、夢にも上らず、回想(オモヒ)も動かず﹂(出典‥蓬莱曲︵1891︶︿北村透谷﹀一) (四)(ニ) 物事から自然に受ける感じ。感慨。また、ある気持をいだかせるような体験。 (一)[初出の実例]﹁花もみぢのおもひもみな忘れて悲しく﹂(出典‥更級日記︵1059頃︶) (二)﹁諸人身の毛よだって、満座奇異の思をなす﹂(出典‥平家物語︵13C前︶三) (三)② ある対象に強く向けられる心の働きをいう。 (一)(イ) こうしたいという願い。希望。また、こうしようという決意。﹁思いがかなう﹂ (一)[初出の実例]﹁大君の 御門(みかど)の守り われをおきて 人はあらじと いやたて 於毛比(オモヒ)し増(まさ)る﹂(出典‥万葉集︵8C後︶一八・四〇九四) (二)﹁片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず﹂(出典‥俳諧・奥の細道︵1693‐94頃︶旅立) (二)(ロ) あれこれと心を悩ますこと。心配。物思い。また、嘆き悲しむ気持。 (一)[初出の実例]﹁遊ぶ内の楽しき庭に梅柳折りかざしてば意毛比(オモヒ)なみかも﹂(出典‥万葉集︵8C後︶一七・三九〇五) (三)(ハ) 恋しく慕わしく感じること。また、その気持。いとしい気持。思慕の情。和歌では﹁火﹂にかけて用いられることが多い。﹁思いをかける﹂﹁思いを寄せる﹂ (一)[初出の実例]﹁立ちて居て 念(おもひ)そ吾(あ)がする あはぬ子故に﹂(出典‥万葉集︵8C後︶三・三七二) (四)(ニ) 大切にすること。また、そういう気持の強いさま、人。多く名詞の下に付いて語素的に用いる。 (一)[初出の実例]﹁大方のやむごとなき御おもひにて﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶桐壺) (二)﹁然し兄思(オモ)ひだよ﹂(出典‥虞美人草︵1907︶︿夏目漱石﹀七) (五)(ホ) にくらしい、うらめしいと強く感じること。また、その気持。うらみ。執念。﹁思いを晴らす﹂ (一)[初出の実例]﹁そりゃア思(オモ)ひがかかるはずだ。おらア聞てもがうはらだ﹂(出典‥滑稽本・浮世床︵1813‐23︶初) (六)(ヘ) いやな、つらい気持になること。 (一)[初出の実例]﹁日が暮れるとふるふので、燈火(あかり)の附くのが思(オモ)ひだよ﹂(出典‥歌舞伎・龍三升高根雲霧︵因果小僧︶︵1861︶大切) (四)③ ( ﹁物思い、嘆き﹂の意から ) 喪(も)に服すること。また、その期間。 (一)[初出の実例]﹁女のおやのおもひにて山寺に侍りけるを﹂(出典‥古今和歌集︵905‐914︶哀傷・八四四・詞書) おもほし︻思︼ (一)〘 形容詞シク活用 〙 ( 動詞﹁おもふ︵思︶﹂の形容詞化 ) 心に思い望んでいるさま。願わしい。おもわしい。おぼしい。 (一)[初出の実例]﹁玉桙の 道をた遠み 間使も 遣るよしも無し 於母保之伎(オモホシキ) 言伝て遣らず 恋ふるにし 情(こころ)は燃えぬ﹂(出典‥万葉集︵8C後︶一七・三九六二) おぼし︻思︼ (一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁おぼす︵思︶﹂の連用形の名詞化 ) お思いになること。おぼしめし。お心。お考え。 (一)[初出の実例]﹁おぼしのままになり給ひぬるも、ことわりに見え給ふ﹂(出典‥栄花物語︵1028‐92頃︶見はてぬ夢) もほ【思】 〘 動 〙 「もう(思)」の連体形「もう」にあたる上代東国方言。[初出の実例]「松が浦にさわゑ浦だち真人言思ほすなもろわが母抱(モホ)のすも」(出典:万葉集(8C後)一四・三五五二) おもわしおもはし【思】 〘 形容詞シク活用 〙 ⇒おもわしい(思) もおもほ【思】 〘 動 〙 ⇒もほ(思) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例