悉皆（読み）シッカイ

デジタル大辞泉 「悉皆」の意味・読み・例文・類語

しっ‐かい【×悉皆】

 
﹇副﹈
1 残らず。すっかり。全部。
﹁少しも包み隠さず、―話して了(しま)って﹂︿二葉亭訳・めぐりあひ﹀
2 まるで。
﹁白いふんどしで、かごの胴中をくくった所は、―おやしきの葬礼といふものだ﹂︿滑・膝栗毛・三﹀
3 ︵あとに打消しの語を伴って用いる︶全然。まったく。
﹁―それは武士たるもののしわざならず﹂︿浄・凱陣八島﹀
[類語]凡て・皆・何もかも・ことごとく・なべて・残らず・余すところなく・漏れなく・逐(ちく)一(いち)・すっかり・そっくり・洗い浚(ざら)い・一から十まで・くまなく・根こそぎ・虱潰し・あまねく・満遍ない・万事・一切・一切合財・丸ごと・ごっそり・すっぽり・いちいち・細大漏らさず・何でもかんでも・根掘り葉掘り  

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精選版 日本国語大辞典 「悉皆」の意味・読み・例文・類語

しっ‐かい【悉皆】

 

(一)[1] 〘 名詞 〙
(一)① 全部。すべて。みな。一切。副詞的にも用いる。
(一)[初出の実例]﹁此仏の第七願云、家属資具悉皆豊足と云へり﹂(出典‥神道集︵1358頃︶四)
 (二)﹁家屋敷土蔵から道具器械一式揃へて株ぐるみ悉皆(シッカイ)其人に譲って﹂(出典‥自然と人生︵1900︶︿徳富蘆花﹀写生帖)
 (三)[その他の文献]︹北史‐楊大眼伝︺
 (二)② ﹁しっかいや︵悉皆屋︶﹂の略。︹随筆・守貞漫稿︵1837‐53︶︺
 (二)[2] 〘 副詞 〙
(一)① 完全に一致・相似する意を表わす語。まったく。まるきり。まるで。
(一)[初出の実例]﹁コノ ヲハカライワ xiccai(シッカイ) メツバウノ モトイ ナレドモ﹂(出典‥天草本伊曾保︵1593︶鳶と、鳩の事)
 (二)② ( 打消の語を伴って ) 全然。
(一)[初出の実例]﹁悉皆そこから梅をしらぬぞ﹂(出典‥玉塵抄︵1563︶三三)
 (二)﹁おとなげもなき無慈非道は、悉皆(シッカイ)本気の沙汰ではない﹂(出典‥当世書生気質︵1885‐86︶︿坪内逍遙﹀四)
 (三)③ ( 推量の語句を伴って ) きっと。確かに。
(一)[初出の実例]﹁お笑ひ召したは悉皆(シッカイ)在所の、庄屋殿だんべい﹂(出典‥長唄・隈取安宅松︵1769︶)

悉皆の語誌


仏書資料に多く漢文資料には極めてまれであるため、仏書の用語と見られ、本来の用法は[ 一 ]①であって、これが転じて[ 二 ]のように副詞として使用されるに至ったものと考えられる。
  

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普及版 字通 「悉皆」の読み・字形・画数・意味

【悉皆】しつかい

 
すべて。︹北史、楊大眼伝︺大眼、不學と雖も、恆に人をして書を讀ましめ、坐して之れを聽き、悉皆記(きし)す。令して露布を作(な)すに、皆之れを口授す。而れども(つひ)に多くは字をらざるなり。
字通﹁悉﹂の項目を見る。
  

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