現代音楽(読み)ゲンダイオンガク

デジタル大辞泉 「現代音楽」の意味・読み・例文・類語

げんだい‐おんがく【現代音楽】

 
西20  

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「現代音楽」の意味・読み・例文・類語

げんだい‐おんがく【現代音楽】

 

(一)   西()調
 

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「現代音楽」の意味・わかりやすい解説

現代音楽
げんだいおんがく


2020

 

第一次世界大戦前

19世紀後半に始まった後期ロマン主義が成熟、崩壊していくにつれて、20世紀独自の音楽が生み出されていった。レーガー、リヒャルト・シュトラウス、マーラーらの転調の激しい、したがって調的安定性を失った後期ロマン派の音楽は、一方でドビュッシーの印象主義音楽、他方ではシェーンベルクの表現主義音楽を生んだ。印象主義では全音音階、微妙なリズムとテンポの揺れ、豊かで色彩的なオーケストレーションが、表現主義では無調と無主題の技法による内面の自我の主体的表現、重厚なオーケストレーションが特徴であった。

 ドビュッシーの愛好した瞬間的イメージ、雲や風など不定的な流動性は、ラベル、ルーセル、ストラビンスキー、ファリャらの同時代人に大きな影響を与え、のちにメシアン、ブーレーズがこのフランスの響き感覚を引き継ぐ。またシェーンベルクは無調音楽を理論づけ、1920年代の十二音主義(十二音音楽)、後のセリー音楽の基礎を築いた。この2人と並ぶ大作曲家、バルトークとストラビンスキーは、それぞれ民族主義と原始主義を代表する。2人とも初期にはドビュッシーの印象主義に触発されたが、ハンガリー、ロシアの民族的な感覚を尊重した非西欧的音楽を開花させた。コダーイ、ファリャ、ヤナーチェクらがこの流れに属する。

[船山 隆・細川周平]

両大戦間


()191919201921192219261927()1930()1928

 192019232324調13192319251935調

 193621937()調調19411943

 西192019

 

第二次世界大戦後

セリー音楽

1945. 9. 151946Henri Pousseur1929200919492195119521953195519571957

 
トーン・クラスター技法

総セリー主義が活力を失い始めると同時に、トーン・クラスター技法(音塊技法)が注目されだした。これは、ある範囲の音高をもった音を同時に演奏する技法で、第二次世界大戦前、アメリカのカウエルHenry Dixon Cowell(1897―1965)やアイブス、アメリカに亡命したバレーズらがすでに部分的に試みていたが、1950年代の終わり、カーゲル、リゲティ、ペンデレツキによって全面的な作曲技法として認められるようになった。この3人がいずれも非西欧の生まれであることも注目してよい。ハンガリー生まれのリゲティは1958~1959年の『出現』で初めてトーン・クラスターを試みたあと、『アトモスフェール』(1961)、『ボルーミナ』(1961~1962)で語法として完成する。ポーランド生まれのペンデレツキは『広島の犠牲者への哀歌』(1960)で、弦楽器の非伝統的な奏法の一つとして4分音によるクラスターを採用し、雑音に似た効果を生み出した。ケージやブーレーズの作品にもこの技法がみられる。

[船山 隆・細川周平]

ミュージック・コンクレートと電子音楽

1948Pierre Schaeffer19101995Pierre Henry192720171950531953Herbert Eimert18971972195319551956

 AB1958195919581960()19601964Lejaren A. Hiller19241994Leonard M. Isaacson19571967

 
ケージ以後

1950(1)(2)(3)(4)195413446.77631955195719571962111956

 1960西Franco Evangelisti19261980Cornelius Cardew19361981

 1970Terry Riley1935 Philip Glass1937 Aribert Reimann19362024Wolfgang Rihm1952 George Crumb19292022Jacob Druckman19281996119

 
1980年代以降

1980Arvo Pärt1935 Sofiya Asgatovna Gubaydulina1931 Edison Vasil'yevich Denisov19291996Al'fred Shnitke19341998使()Carl Stone1953 

 1990119801957 2001西1990

 

日本

第二次世界大戦以前

日本では、洋楽の流れをくんだ作曲家の系譜は滝廉太郎(れんたろう)に始まるが、本格的に作品を出版・演奏したのは山田耕筰(こうさく)が最初であった。大正期から海外で自作を演奏・指揮した山田は、伝統的な音階を用いた民族主義的な技法の基礎を築いた。彼の神髄は歌曲、ピアノ曲にあるが、昭和期になると、協奏曲や管弦楽曲で民族主義的な作風を発揮する作曲家が多く現れた。西洋の新古典主義や東欧・ロシアの新しい音楽が以前よりもたやすく入るようになって、ドイツ一辺倒だった楽壇に刺激を与えたり、国内の管弦楽団の実力が向上したことがその要因と考えられる。この時期に登場した代表的な作曲家としては、伊福部昭(いふくべあきら)、貴志康一(1909―1937)、清瀬保二(やすじ)(1900―1981)、信時潔(のぶとききよし)、早坂文雄、箕作秋吉(みつくりしゅうきち)(1895―1971)らがあげられる。その後、太平洋戦争が進むにつれて、民族主義は超国家主義と結びつき、山田をリーダーにナチス・ドイツを模範とした音楽生活全体の統制が行われた。

[細川周平]

第二次世界大戦以降

第二次世界大戦後は戦前の統制への反動から、1950年代に入野義朗(よしろう)、柴田南雄(しばたみなお)らにより、戦前には顧みられなかった十二音技法が研究されたり、黛(まゆずみ)敏郎が電子音楽を試みるなど、普遍的な傾向につながろうとする作曲家が現れた。しかし同時に、武満徹(たけみつとおる)、芥川也寸志(やすし)、團伊玖磨(だんいくま)らが日本的なものの追求も始めた。1960年代初頭には、ケージの偶然性の手法に傾倒した一柳慧(いちやなぎとし)、クセナキスよりコンピュータの手法を学んだ高橋悠治(ゆうじ)が現れ、海外の現代音楽祭への出品や演奏の機会、来日する作曲家・演奏家も増えて、日本人作曲家も、国際的な作曲家サークルのなかにしっかりと足場を築いていった。石井真木(まき)、八村義夫(はちむらよしお)(1938―1985)、松村禎三(ていぞう)、間宮芳生(みちお)、三善晃(みよしあきら)、諸井誠(もろいまこと)(1930―2013)、湯浅譲二らは、欧米の技法を十分に消化しながら、日本的なものがどれだけ意識されるかどうかは別として、自己の響きをつくり出そうとした。1970年代に登場した近藤譲(じょう)(1947― )、1980年代に登場した細川俊夫(1955― )や藤枝守(1955― )、1990年代の池田亮司(りょうじ)(1966― )は、武満の世代の作曲家とは違った考え方で、日本的なもの、個体性というものを追究している。

[細川周平]

伝統邦楽との交流

洋楽系の流れとは別に、伝統的な邦楽(日本音楽)においても、1920年代の宮城道雄(みやぎみちお)、中尾都山(とざん)らの新日本音楽運動以来、レパートリー、奏法、演奏形態の拡大がたえず行われている。いわゆる現代邦楽の作曲家は、唯是震一(ゆいぜしんいち)(1923―2015)のように演奏家を兼ねているのが特徴だが、前述した洋楽系の作曲家も、雅楽や尺八から琵琶(びわ)や和太鼓に至るまで、いろいろな形で自作に伝統楽器を用いてきた。また、海外の作曲家が、日本の伝統楽器のために曲を提供することも頻繁にみられ、新たな文化交流の波がおこっている。

[細川周平]

『ヤニス・クセナキス著、高橋悠治訳『音楽と建築』(1975・全音楽譜出版社)』『吉田秀和著『現代音楽を考える』(1975・新潮社)』『ピエール・ブーレーズ著、店村新次訳『意志と偶然』(1977・法政大学出版局)』『E・カルコシュカ著、入野義朗訳『現代音楽の記譜』(1978・全音楽譜出版社)』『秋山邦晴著『日本の現代作曲家たち』上下(1978・音楽之友社)』『ジョン・ケージ、ダニエル・シャルル著、青山マミ訳『ジョン・ケージ 小鳥たちのために』(1982・青土社)』『ピエール・ブーレーズ著、船山隆・笠羽映子訳『ブーレーズ音楽論――徒弟の覚書』(1982・晶文社)』『船山隆著『現代音楽』全2冊(1983・小沢書店)』『ダニエル・シャルル著、岩佐鉄男訳『ジョン・ケージ』(1987・白馬書房)』『細川周平著『レコードの美学』(1990・勁草書房)』『マイケル・ナイマン著、椎名亮輔訳『実験音楽――ケージとその後』(1992・水声社)』『庄野進著『音へのたちあい――ポストモダン・ミュージックの布置』(1992・青土社)』『松平頼暁著『現代音楽のパサージュ――20.5世紀の音楽』(1995・青土社)』『ジョン・ケージ著、柿沼敏江訳『サイレンス』(1996・水声社)』『ピエール・ブーレーズ著、笠羽映子訳『現代音楽を考える』(1996・青土社)』『ビリー・ハーグマン、リチャード・ホーン著、若尾裕訳『実験的ポップ・ミュージックの軌跡』(1997・勁草書房)』『カールハインツ・シュトックハウゼン著、清水穣訳『シュトックハウゼン音楽論集』(1999・現代思潮社)』『武満徹著『武満徹著作集』全5巻(2000・新潮社)』『小沼純一著『サウンド・エシックス』(平凡社新書)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「現代音楽」の意味・わかりやすい解説

現代音楽 (げんだいおんがく)


︿︿︿︿︿︿︿︿︿︿20220

11900-1821918-4531945-

201119R.1819調F.5調︿使2191013191321908191219101911191311910191121917西調

21︿19202712︿︿Georges Auric︿西︿︿︿︿︿︿1︿21921︿1︿︿︿2192219281934193519362K.19203020

23西︿︿︿32︿194510194819481954196061969197119713︿︿LPLPCD︿

2020︿︿︿20︿︿︿︿︿︿︿︿︿︿︿︿︿︿20︿2︿︿︿musics︿︿︿︿L. ︿︿L. ︿︿︿︿︿︿︿T.S.

 ︿︿︿202020︿musics

 202120西︿Weltmusik

20︿1912西1819R.西19201913191621819西

 ︿2︿1946︿1946︿1948︿1951︿31953︿1953︿1957西196021

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「現代音楽」の意味・わかりやすい解説

現代音楽
げんだいおんがく
modern music; contemporary music

 
202201R.12212 ( )   

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

音楽用語ダス 「現代音楽」の解説

現代音楽

ポピュラー以外のジャンルにおいて、20世紀初頭以後作られた音楽をいう。まず20世紀初頭では、調性の破壊や曖昧さをねらったドビュッシーやラヴェルら印象主義、ストラヴィンスキー、バルトークらの原始主義、シェーンベルクに代表される表現主義などなどが有名。第二次世界大戦前には、新古典主義や十二音の技法などが現れた。そして、大戦後にはジョン・ケージらの偶然性の音楽、シェッフェルらのミュージック・コンクレート(テープレコーダーを駆使して、非楽音までも取り込んだ音楽)などが登場。そして現在、デジタル・メディアやコンピューター・ミュージックの発展により、かつて想像もされなかった音楽の登場が期待される。

出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報

今日のキーワード

選挙公営

国または地方公共団体が個々の候補者の選挙費用の一部または全額を負担すること。選挙に金がかかりすぎ,政治腐敗の原因になっていることや,候補者の個人的な財力によって選挙に不公平が生じないようにという目的で...

選挙公営の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android