畔（読み）ハン

デジタル大辞泉 「畔」の意味・読み・例文・類語

はん【畔】［漢字項目］

 
﹇常用漢字﹈　﹇音﹈ハン︵漢︶　﹇訓﹈あぜ　くろ　ほとり
1 田と田とを分ける境界。あぜ。﹁畦(けい)畔(はん)﹂
2 ある場所の周辺。ほとり。﹁河畔・湖畔・江畔・池畔﹂  
 

くろ︻▽畔／×畦／×壠︼

 
1土を盛り上げた田畑の境。あぜ。
2 小高くなった所。  

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精選版 日本国語大辞典 「畔」の意味・読み・例文・類語

くろ【畔・畦・&JIS8885;】

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① 田と田の間の土を盛り上げた所。田の境。あぜ。
(一)[初出の実例]﹁世尊︿略﹀中道にして有る田の善能く事を作して畦(クロ)・畔(あ)の斉整(ととのほれる)を見(みそこ)なはして﹂(出典‥岩淵本願経四分律平安初期点︵810頃︶)
 (三)② 小高くなった所。また、物を小山のように積み上げたもの。︹観智院本名義抄︵1241︶︺
(一)[初出の実例]﹁そばの畑に大きな藁のくろがあった﹂(出典‥せみと蓮の花︵1952︶︿坪田譲治﹀)

畔の語誌


①の意味では、アゼが主に北陸・中部以西、九州にかけて分布するのに対し、クロは関東以北および九州北部の一部などに見られる。この分布状況から、クロはアゼよりも古い語形と推定され、文献への両語形の出現順とも合致する。→あぜ︵畔︶
 

あぜ︻畔・畦︼

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① 田と田の間に土を盛って堤をつくり、水をため、また、境界とするもの。あ。くろ。
(一)[初出の実例]﹁畔 陸詞曰畔音半田界也 和名久呂 一云阿世﹂(出典‥二十巻本和名抄︵934頃︶一)
 (二)﹁苗代の水にうきねやまかすらん蛙の声のあぜつたひ行く﹂(出典‥寂蓮法師百首︵1187︶)
 (三)② 敷居または鴨居のみぞの中間にあるしきり。
  

あ【畔】

  1. 〘 名詞 〙 「あぜ」のこと。上代、中古に用いられた。
    1. [初出の実例]「天照大御神の営田(つくだ)の阿(ア)〈此の阿の字は音を以ゐよ〉を離ち、其の溝を埋め」(出典：古事記（712）上)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「畔」の意味・わかりやすい解説

畔
くろ

 
田の中の境。あぜ。古くは屋敷内の田畑である園地をいった。これは免租地であったので，私領の拡大の基礎となった。  

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