デジタル大辞泉 「異」の意味・読み・例文・類語 い【異】 ﹇名・形動﹈ 1 他と違っていること。また、他と異なった意見。﹁異を唱える﹂ 2 普通とは違っていること。不思議なこと。また、そのさま。﹁異なことを言う﹂﹁縁は異なもの﹂ [類語]不思議・変・異常・異様・奇異・奇妙・妙(みょう)・面(めん)妖(よう)・不可解・不審・不自然・奇怪・奇態・風変わり・特異・異状・異例・非常・別条・変ちくりん・変てこ・変てこりん・けったい・おかしい・妙ちきりん・おかしな・奇(きて)天(れ)烈(つ)・珍奇・新奇・珍妙・奇抜・奇警・奇想天外・突飛・ファンシー・突拍子もない・言語道断・無茶・めちゃ・むちゃくちゃ・めちゃくちゃ・めちゃめちゃ・滅法・法外・無理・乱暴・無体・理不尽・非理・不当・不条理・不合理・非合理・狂的 い︻異︼﹇漢字項目﹈ ﹇音﹈イ︵呉︶︵漢︶ ﹇訓﹈こと ﹇学習漢字﹈6年 1 他と違っている。別の。ことなる。﹁異国・異種・異状・異常・異色・異性・異存・異同・異動・異例・異論・異民族/差異・小異・相異・変異﹂ 2 正式・正統でない。﹁異学・異教・異端﹂ 3 普通でない。あやしい。あやしむ。﹁異(いぎ)形(ょう)・異様/怪異・奇異・驚異・妖異・霊異﹂ 4 変わった出来事。﹁災異・天変地異﹂ ﹇名のり﹈より こと︻異︼ ﹇名﹈ 1 別のもの。他のもの。 ﹁下の十巻を、明日にならば、―をぞ見給ひ合はするとて﹂︿枕・二三﹀ 2 名詞の上に付いて複合語を作り、別の、他の、などの意を表す。﹁異どころ︵異所︶﹂﹁異ひと︵異人︶﹂ ﹇形動ナリ﹈ 1 それぞれ別々なさま。まちまちなさま。→異なる ﹁もろこしとこの国とは、言(こと)―なるものなれど﹂︿土佐﹀ 2 普通と違っているさま。格別なさま。→殊(こと)に ﹁この皇(み)子(こ)生まれ給ひて後は、いと心―に思ほしおきてたれば﹂︿源・桐壺﹀ け︻▽異︼ ﹇形動ナリ﹈ 1 普通と違っているさま。異常なさま。 ﹁衣(ころ)手(もで)葦(あし)毛(げ)の馬のいなく声心あれかも常ゆ―に鳴く﹂︿万・三三二八﹀ 2 まさっているさま。格別であるさま。→異(け)な ﹁十月ばかりの紅葉、四(よ)方(も)の山辺よりも―にいみじくおもしろく﹂︿更級﹀ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「異」の意味・読み・例文・類語 け【異】 (一)〘 形容動詞ナリ活用 〙 (二)① 普通、一般とは違っているさま。他のものとは異なっているさま。 (一)[初出の実例]﹁其の烟気(けぶり)、遠く薫(かを)る。則ち異(ケ)なりとして献る﹂(出典‥日本書紀︵720︶推古三年四月︵岩崎本訓︶) (二)﹁妹が手を取石(とろし)の池の波の間ゆ鳥が音(ね)異(けに)鳴く秋過ぎぬらし﹂(出典‥万葉集︵8C後︶一〇・二一六六) (三)② ある基準となるものと比べて、程度がはなはだしいさま。きわだっているさま。多く、連用形﹁けに﹂の形で、特に、一段と、とりわけなどの意で用いられる。 (一)[初出の実例]﹁秋と言へば心そ痛きうたて家爾(ケニ)花になそへて見まく欲(ほ)りかも﹂(出典‥万葉集︵8C後︶二〇・四三〇七) (二)﹁おきて見んと思ひしほどに枯れにけり露よりけなる朝顔の花﹂(出典‥曾丹集︵11C初か︶) (四)③ 能力、心ばえ、様子などが特にすぐれているさま。すばらしいさま。 (一)[初出の実例]﹁行ひなれたる法師よりは、けなり﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶葵) (二)﹁御かたちのいみじうにほひやかに、うつくしげなるさまは、からなでしこの咲ける盛りを見んよりもけなるに﹂(出典‥夜の寝覚︵1045‐68頃︶四) (五)④ ( ﹁けな﹂の形で用いることが多い ) けなげであること。殊勝であるさま。→けな人・けな者。 (一)[初出の実例]﹁ヲヲおとなしやけな子やな﹂(出典‥浄瑠璃・甲賀三郎︵1714頃︶四) (六)⑤ ( ﹁けなひと﹂﹁けなもの﹂の形で用い ) 温和であるさま。また、柔弱であるさま。→けな人・けな者。 (七)⑥ 一風変わっておもしろいさま。おつなさま。 (一)[初出の実例]﹁ちっくりけな事云出しおった﹂(出典‥浄瑠璃・男作五雁金︵1742︶新町捕物) こと︻異・殊︼ (一)[1] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 (一)① 他と同じでないさま。相違しているさま。比較の対象を﹁に﹂で示す。→ことなる。 (一)[初出の実例]﹁紫草(むらさき)を草と別(わ)く別く伏す鹿の野は殊異(ことに)して心は同じ﹂(出典‥万葉集︵8C後︶一二・三〇九九) (二)﹁シラハタノ カゼニ ナビクワ タダ ハクウンニ cotonarazu(コトナラズ)﹂(出典‥日葡辞書︵1603‐04︶) (二)② 他と一段と相違するさま。世の常でないさま。→ことに。 (一)(イ) きわだっているさま。とりたてて言うべきさま。格別。特別。 (一)[初出の実例]﹁このごろ、ことなることなし﹂(出典‥蜻蛉日記︵974頃︶下) (二)(ロ) 他とくらべて一きわすぐれているさま。比較の対象を﹁より﹂﹁に﹂で示す。 (一)[初出の実例]﹁嬰児の間の瑞想も 人より異(コト)に御座て﹂(出典‥天台大師和讚︵10C後‐11C前︶) (二)[2] 〘 名詞 〙 他のもの。別のもの。口語では﹁ことにする﹂という形でだけ用いられる。→ことにする。 (一)[初出の実例]﹁細かりつるかたのあしにも、ことのこひをも削りつけて﹂(出典‥蜻蛉日記︵974頃︶上) (三)[3] 〘 接頭語 〙 名詞などの上に付いて、別の、他の、などの意味をそえる。﹁格別﹂の意を含む場合もある。 (一)[初出の実例]﹁上の件(くだり)の五柱の神は、別(こと)天つ神﹂(出典‥古事記︵712︶上) (二)﹁法花経はさら也。こと法文なども、いと、多く読み給ふ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶手習) い︻異︼ (一)〘 名詞 〙 ( 形動 ) (二)① 他と違っていること。また、そのさま。→異(い)を立てる・異(い)を唱える。 (一)[初出の実例]﹁明鏡の明と古鏡の古と、同なりとやせん、異なりとやせん﹂(出典‥正法眼蔵︵1231‐53︶古鏡) (二)﹁国土、およひ弟子、正法と像法と、ことことくひとしくして、異(イ)あることなけむ﹂(出典‥妙一本仮名書き法華経︵鎌倉中︶四) (三)② 普通、一般とは違っていること。変であること。不思議であること。また、そのさま。 (一)[初出の実例]﹁斲レ蠅飛レ鳶之妙。凌二匠輸一而翔レ異﹂(出典‥三教指帰︵797︶上) (四)③ 仏語。異相のこと。四相の一つ。ものを変化させ、衰えさせるもの。 (一)[初出の実例]﹁生・住・異・滅の移りかはる実の大事は﹂(出典‥徒然草︵1331頃︶一五五) (二)[その他の文献]︹倶舎論‐五︺ い‐な︻異︼ (一)〘 連体詞 〙 ( 形容動詞﹁異なり﹂の連体形﹁異なる﹂の変化したもの ) ふつうでは考えられない。風変わりな。変な。妙な。 (一)[初出の実例]﹁これやうな異な人や鳥やけだもの魚などのことを﹂(出典‥玉塵抄︵1563︶五) け‐に【異】 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ⇒け(異)①② け‐な【異】 ⇒け(異) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例