群馬県は、標高500メートル以上の地域が全面積の約3分の2を占め、南東部だけが関東平野の一部になっている。東部山地のうち渡良瀬(わたらせ)川東岸の足尾(あしお)山地は、栃木県境に1000メートル級の山をもち、その北の日光火山群には、北関東最高の白根山(しらねさん)(2578メートル)がそびえ、その溶岩が菅沼(すげぬま)、丸沼などの堰止(せきとめ)湖を形成し、西を片品(かたしな)川が南流している。北西部山地は、三国山脈(みくにさんみゃく)と諸火山からなる。三国山脈は北東から南西に延び谷川岳(1977メートル)など2000メートル級の高峰が続き、新潟との県境をなすとともに、日本海岸地域と太平洋岸地域の分水界で、気候、産業、生活様式などに相違を与える。火山には至仏(しぶつ)・武尊(ほたか)・赤城(あかぎ)・榛名(はるな)・草津(くさつ)白根・浅間(あさま)などがあり、赤城・榛名・妙義(みょうぎ)は上毛三山(じょうもうさんざん)として県民から親しまれている。利根川(とねがわ)およびその支流が断続的に河岸段丘を形成し、沼田(ぬまた)盆地、中之条(なかのじょう)盆地をもっている。南西部山地は、関東山地の北縁にあたり、御荷鉾山(みかぼやま)などの1000メートル級の山があり、古い地層の長瀞(ながとろ)系(三波川(さんばがわ)系、御荷鉾系)、秩父中・古生層などからなり、北方に第三紀層で標高300メートル内外の小幡(おばた)丘陵、松井田丘陵などがある。南東部平野は、利根川系河川の沖積地および洪積台地で、大間々(おおまま)扇状地があり、前橋、高崎は台地に立地し、南東端には自然堤防が発達し、標高20メートル内外の低湿地には城沼(じょうぬま)、多々良沼(たたらぬま)などの小湖沼群がみられる。県内の河川は、北、および北西の一部を除いて、掌状にすべて利根川水系1本にまとまり、各河谷と前橋、高崎などの県中枢部との連絡がよい。これは群馬県の地形の一特色である。そのうえ、利根川は東京の上水源の重要な一つになっている。県内の自然公園には、変化に富んだ火山地形と多くの湖沼、湿原(尾瀬)が魅力である尾瀬国立公園、谷川岳のような急峻(きゅうしゅん)な山岳や、変化に富んだ風景で知られる上信越高原国立公園、妙義山・荒船山の山岳美と高原が特色の妙義荒船佐久高原国定公園などがある。
[村木定雄]
農地の開発は、明治以来、自然発生的に行われてきたが、第二次世界大戦後、計画的に行われ、とくに未開発の火山斜面が多い本県では、赤城山に大小34、榛名山に32、浅間山に13、草津白根山に4か所などの開拓地が成功して、おもに酪農と野菜、果樹栽培を行って、新しい村づくりに励んでいる。また、吾妻(あがつま)川に八ツ場ダム(やんばだむ)が建設中である。
[村木定雄・西垣晴次]
群馬県中西部、群馬郡にあった旧町名(群馬町(まち))。現在は高崎市(たかさきし)の北東部に位置する地域。1955年(昭和30)金古(かねこ)町と国府村、堤ヶ岡(つつみがおか)村が合併して群馬町が成立。1957年上郊(かみさと)村の一部を編入。2006年(平成18)高崎市に編入。旧町域は榛名山(はるなさん)南東麓(ろく)の緩斜面を占め、標高は北西部が200メートル、南東部が120メートルで、道路は縦横によく走り、中央を南北に主要地方道の高崎―渋川(しぶかわ)線が貫通し、近くに関越(かんえつ)自動車道前橋インターチェンジがある。火山裾野(すその)のため農業用水に乏しくて溜池(ためいけ)が多く、米麦のほか、とくに養蚕が盛んであったが、最近では減少傾向にあり、かわって畜産、野菜などとの複合経営が行われている。旧堤ヶ岡には多くの工場や住宅地が建設され、農村の姿が変化しつつある。国指定史跡の上野国分寺跡(こうずけこくぶんじあと)、保渡田(ほどた)古墳群跡があり、金古は旧三国(みくに)街道の宿駅。保渡田薬師塚古墳から出た馬具などは国の重要文化財に指定されている。
[村木定雄]
『『群馬町誌』全8冊(1995~2002・群馬町)』
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報