デジタル大辞泉
「試行錯誤」の意味・読み・例文・類語
しこう‐さくご〔シカウ‐〕【試行錯誤】
種々の方法を繰り返し試みて失敗を重ねながら解決方法を追求すること。「試行錯誤を重ねる」
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しこう‐さくごシカウ‥【試行錯誤】
- 〘 名詞 〙
- ① 本能、習慣などのままに行なって、失敗を重ねながら、だんだんと適応するようになること。たとえば、迷路に入れた動物がえさに到達する道をおぼえる経過。
- ② 課題が困難で、解決の見通しが容易に立たない場合、種々試みて失敗を重ねながら次第に目的に迫って行くこと。
- [初出の実例]「いつも試行錯誤をくりかえしているようなことになるだろうと思われる」(出典:文学の根本問題(1958‐59)〈中島健蔵〉一二)
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試行錯誤
しこうさくご
trial and error
学習の成立について、アメリカの心理学者ソーンダイクが動物実験に基づいて主張した解釈。すなわち、動物が問題状況に置かれるとさまざまな行動をおこすが、そのうち、たまたま問題解決を結果した行動、また、それに近づく行動は、その結果が満足を与え、快をもたらしたことによって強められ、状況と行動との結合を生じ、学習を成立させるというものである。
﹇小川 隆﹈
ソーンダイクは1898年﹃動物の知能﹄のなかでこの解釈を表明したが、たとえば、ネコを空腹の状態で問題箱puzzle boxの中に入れると、ひっかいたり、かんだり、さまざまに反応をするが、たまたまその反応のどれかが仕掛けに触れて脱出に成功する。彼はこれを﹁試行錯誤と偶然の成功﹂といっているが、こうした試行を重ねるうちに、しだいに脱出までの時間が短縮することが示され、これが学習成立を反映することになる。
試行のたびごとに問題箱の中の刺激作用も反応も同じではないが、効果的な結果をもたらすか否かについては、共通な面をもっている。ソーンダイクは、(1)満足を伴うかそれに近づく反応は、その刺激作用との結合を強め、不満足を伴うかそれに近づく反応は、その刺激作用との結合を弱める結果、満足に至る反応が選択されるという﹁効果の法則﹂law of effect、また、(2)満足を伴うかそれに近づく反応は、繰り返されることによって生じやすくなり、不満足を伴うかそれに近づく反応は、繰り返されればそれだけ生じにくくなるという﹁練習の法則﹂law of exercise、のちには、(3)刺激作用と反応との結合が用いられるだけ強められるという﹁使用の法則﹂law of useと、(4)用いられないと消失するという﹁不使用の法則﹂law of disuseとに分けた。刺激作用と反応との結合を強調することで、この主張は結合主義connectionismともいわれる。
﹇小川 隆﹈
試行錯誤による学習が学習成立の唯一の過程とみられないのは、ドイツの心理学者ケーラーのチンパンジーの問題解決についての研究で明らかにされた。ソーンダイクの問題箱では、問題解決の目標をネコがあらかじめ発見することはできないので試行錯誤による探索がなされる。ケーラーのチンパンジーの研究では、檻(おり)の中から手を伸ばしただけでは外のバナナがとれない状況で、チンパンジーは檻の中に置かれた棒に気づいて、突然、これをとって外のバナナをかき寄せることに成功する。この成功は、1回だけで同じ状況で再現するので、練習の法則は必要でない。ケーラーはこのような学習を﹁見通しinsightによる学習﹂と名づけたが、これに対してソーンダイクの問題箱の学習は﹁試行錯誤による学習﹂といわれる。
﹇小川 隆﹈
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試行錯誤 (しこうさくご)
trial and error
E.L.ソーンダイクが,動物や人間の学習を最もよく特徴づけるとして唱えた説。その後これを︿選択と結合の学習﹀と呼びかえた。彼は猫用問題箱で実験をしたが︵1898︶,この箱の外側のかんぬきは,内側の紐を飢えた猫が正しく操作すればはずれて扉が開き,箱から脱出でき,餌が食べられる仕組みになっていた。猫ははじめ脱出したい衝動から可能なあらゆる反応をでたらめにおこすが,しだいにうまく脱出し餌を食べるようになる。この試行を繰り返させ時間を記録すると,脱出所要時間は短縮されて不必要動作は消失し,目標達成に有効な一連の動作がすばやく続くだけとなり,学習は完成する。その結果,不満足な反応は起こりにくくなり,偶然の成功に導いた反応が次の試行におこりやすくなる。この現象を彼は︿効果の法則law of effect﹀︵有効な反応が他の反応を退けて学習が成立するとする説︶で説明し,この過程を試行錯誤と呼んだ。これに対して︿洞察︵見通し︶﹀︿あっそうか体験﹀︿潜在学習﹀などを学習の本質として強調するゲシュタルト心理学派やE.C.トールマンなどの立場もある。
→学習
執筆者‥梅津 耕作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
試行錯誤
しこうさくご
trial and error
課題場面におかれた生体が,既知の解決法のないときに,手当り次第の反応を次々に試みていくことによって,最後には課題を解決するにいたるような行動様式。またこのような行動様式に基づく課題解決ないしは習慣形成の一形式のこと。 E.L.ソーンダイクは,種々の問題箱を用いて動物が一定の動作により箱からの脱出に成功するにいたる過程を研究し,効果の法則との関連で,これを学習の基本形式とした。
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試行錯誤
ある目的を達成しようと、試みと失敗とを繰り返しながら追求すること。
[活用] ―する。
[使用例] たとえ、試行錯誤的なまわり道を重ねることになるにしても﹇安部公房*他人の顔|1964﹈
[使用例] 人類は試行錯誤をくりかえしながら、ここまで発展してきたのだ。なにごともやってみるに限る﹇星新一*来訪者|1961﹈
[解説] ﹁試行﹂は試みに行うこと、﹁錯誤﹂は誤り、間違い。元来は心理学用語で、英語trial and errorの訳語。
出典 四字熟語を知る辞典四字熟語を知る辞典について 情報
試行錯誤【しこうさくご】
英語ではtrial and error。人や動物が新しい問題状況や刺激状況に当面した場合,本能や習慣などのままに行動し,失敗を重ねるうちに,偶然的に解決すると,以後はその成功した方法のみに従う習性をいう。E.L.ソーンダイクが学習様式の基本として提唱した。
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試行錯誤
英国の作家アントニイ・バークリーの本格推理小説(1931)。原題《Trial and Error》。
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