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[王政復古期]
1660年の王政復古とともにロンドンの劇場は再開され,女優の登場など革命前にはなかった現象があらわれた。劇場は屋内に限られ,舞台は客席に張り出したエプロンと呼ばれる部分をもってはいたが,近代的な額縁舞台に近づいた。あまり精巧ではないが装置も用いられ,劇全体の終りにのみおろされるのが普通ではあったが幕の使用も始まり,また人工照明も採り入れられた。…
…俳優は正面に壁があるつもりで観客を無視して演ずべきという考えは,すでに18世紀のディドロなどにみられたが,〈第四の壁〉が成立するためには少なくとも次の三つの外的条件を必要とした。(1)額縁舞台の成立 19世紀初めに大方の劇場は張出し舞台とその両脇のボックス席を撤廃し,舞台と客席の間に截然たる境を意識することが容易になった。(2)箱型装置の使用 19世紀半ばから舞台上の部屋は三方を壁で囲まれた上に天井のついたものとなり,〈第四の壁〉の想定が自然にできるようになった。…
…60年,王政復古に際して劇場経営の勅許を得,リンカンズ・インズ・フィールズに公爵劇場を開場,T.ベタートンを中心とする劇団の本拠とした。劇場史的には,エリザベス朝の張出舞台から近代的な額縁舞台への橋渡しをし,大がかりな装置や舞台機構を採り入れた。作品には革命以前に発表した宮廷仮面劇もあるが,むしろ王政復古以後に観客の好みに合わせると称してシェークスピア劇を改作したことが重要である。…
…劇場内の舞台と客席との関係は,前者が後者から明瞭に区別されている場合と,前者の全部または一部が後者によってとり囲まれている場合とに大別される。第1がいわゆる〈額縁(がくぶち)舞台〉で,おおむね近代以後の劇場に多く認められ(今日の日本のほとんどの劇場もこのかたちである),第2が近代以前の劇場に多い〈張出(はりだし)舞台〉である(例えば日本の能舞台もこの一種といえる)。 この額縁舞台・張出舞台の両者の区別は,実は単に形状の問題にとどまらず,そこで行われる演劇の成り立ち方の本質に触れる問題と関わっている。…
※「額縁舞台」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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