◆福田政権の前途を暗示するような本が、緊急配本されている。9月28日付の読売新聞朝刊3面に半五段の広告が掲載されている。
﹁一国は一人を以って興り、一人を以って亡ぶ﹂︵KKベストセラーズ刊︶と題する福田康夫首相﹁唯一の著書﹂である。天下取りを内心願望しながら、そのチャンスに恵まれなかったときに出版された。側近の衛藤征士郎衆議院議員との対談形式︵聞き手、明石散人︶で政治信条などが吐露されている。﹁歴史はその国の人達が方向を見失った時、それを導く人物を忽然と出現させる﹂と予言めいた発言をしているところが、可笑しい。
◆福田首相が支部長を務める自民党支部の政治資金収支報告書に添付された領収書のコピーが書き換えられていた事実がバレてしまった。まさにインチキである。この日、テレビ、ラジオなどの報道を賑わしていた。﹁政治家とカネ﹂の問題が、現職の総理大臣にまで汚染していた事実が、白日の下に晒されたのである。この問題は、依然として根本的な解決を見ていないので、引き続いて政権を脅かし、揺るがしていくことになる。
◆自らが支部長を務める政治団体のインチキさえ見抜けなかった政治家が、一国の宰相とは、実に情けない。﹁統率力なし﹂と断じられても仕方があるまい。すでに国会周辺では、福田首相にまつわるしスキャンダルをめぐって、マスコミが取材競争に走っていると言われている。
◆誕生したばかりにもかかわらず、いままさに倒れんとしているのが、福田政権である。腐臭漂う自民・公明連立与党であるから、ドサッと倒れるのは、もはや時間の問題である。福田首相が予言しているように﹁一国は一人を以って亡ぶ﹂のである。その葬儀委員長が、福田首相となる可能性は、極めて高い。﹁歴史はその国の人達が方向を見失った時、それを導く人物を忽然と出現させる﹂というが、その﹁人物﹂が福田首相ではないことは、確かである。この予言がピタリ当れば、福田首相が、﹁当代随一の預言者﹂と言われるのは、間違いない。占い師の細木数子さんも顔負けである。
◆﹁老け返り﹂、それも18歳も老化した。
福田康夫首相は、父・福田赳夫元首相の﹁怨念﹂を29年にして晴らした。父は、あの世から長男の身体を使って、怨念を晴らし、﹁成仏﹂できたのではないか。死んで、灰になってもなお、権力欲を捨てられないのが、政治家だと言われてきた。
◆安倍晋太郎は、政権を目前にして、膵臓ガンで死に、怨念をこの世に残した。それを晴らしたのが、息子の安倍晋三前首相だった。安倍政権は、誕生したころから、﹁10か月内閣﹂と言われてきた。カネさえ貰えば、あとは、用無しとは、よく言ったものである。安倍前首相はいまや﹁お友達内閣﹂のお友達だったはずの政治家からも見離されている。現金なものだ。
◆父が成仏した以上、福田政権の先行きは、すでに見えている。後は、野垂れ死にを待つのみ。国家ビジョンも、政策も、志も、バイタリティすらない﹁ひからびたチーズ﹂のような政権だから仕方がない。最悪なのは、安倍前首相よりも、取り付いている﹁背後霊﹂が増えていることだ。一匹目、森喜朗元首相、二匹目、青木幹雄前参議院会長、ここまでは、安倍前首相と同じ。三匹目、古賀誠選対委員長︵この後ろには、戦没者の霊が蠢いているから恐ろしい︶、四匹目、中川秀直元幹事長、五匹目、山崎拓元副総裁、さらにもう一匹、番外の野中広務元幹事長。背後霊には、いい背後霊と悪霊とがある。安倍前首相の背後霊は、二匹とも悪霊だった福田首相の五匹は、どこから見ても悪霊である。
◆もう一点、見逃してはならないのが、福田政権が、麻生派以外の8つの派閥︵町村派、津島派、伊吹派、山崎派、古賀派、谷垣派、高村派、二階派︶に支えられたいわば﹁ヤマタノオロチ﹂のような姿をしているところである。ヤマタノオロチは、スサノオノミコトに退治されことになっている。現代のスサノオノミコトとは、言わずと知れた民主党の小沢一郎代表である。酒甕に頭を入れて権力の美酒に酔いしれている間に、討ち取られる名場面に間もなくお目にかかれることになる。﹁角福戦争﹂の最終章でもある。老木は、必ず朽ちて倒れる。楽しみ、楽しみ。