アウトレイジ (2010年の映画)
表示
この記事には暴力的または猟奇的な記述・表現が含まれています。 |
アウトレイジ | |
---|---|
Outrage | |
監督 | 北野武 |
脚本 | 北野武 |
製作 |
森昌行 吉田多喜男 |
製作総指揮 | 北野武 |
出演者 |
ビートたけし 椎名桔平 加瀬亮 三浦友和 國村隼 杉本哲太 塚本高史 中野英雄 石橋蓮司 小日向文世 北村総一朗 |
音楽 | 鈴木慶一 |
撮影 | 柳島克己 |
編集 |
北野武 太田義則 |
製作会社 | オフィス北野 |
配給 |
![]() ![]() |
公開 |
![]() ![]() ![]() |
上映時間 | 109分 |
製作国 |
![]() |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 7.5億円[1] |
次作 | アウトレイジ ビヨンド |
﹃アウトレイジ﹄(Outrage) は、2010年6月12日に公開された日本映画。北野武の15本目の監督作品。
キャッチコピーは﹁全員悪人﹂﹁下剋上、生き残りゲーム﹂。
過激なバイオレンスシーンや拷問シーンが数多く含まれるため、映倫でR15+指定を受ける。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d7/2015_1223_Otomo-gumi_Office.jpg/220px-2015_1223_Otomo-gumi_Office.jpg)
大友組事務所として撮影に使用された、高砂ビル402号室。2011 年より一般公開されている。
たけしによると﹁どうやって人を殺そうかというプロセスを先に考え出し、それに対しストーリーを後付けした﹂と語っており、その一例として﹁歯科医院で治療器具を使用して襲撃する﹂、﹁サウナで銃を使用して射殺する﹂といったものがある。
北村総一朗、三浦友和、加瀬亮など、善人役のイメージが強くヤクザ映画の出演経験に乏しい俳優を意図的に起用している。石原秀人役候補の俳優は加瀬亮の他に押尾学がいたが、﹁胡散臭い感じがする﹂という理由で、押尾のキャスティングは見送られた。英語が得意で武闘派を嫌う﹁インテリヤクザ﹂キャラの石原のイメージに合わなかったからと言われる。﹁もしも︵押尾を︶採用していたら作品がお蔵入りになって、他の出演者への賠償がとんでもないことになっていた﹂と押尾学事件報道の際、たけしが自身の出演番組情報7days ニュースキャスターで語っていた[注釈 10]。また、番宣の際には、﹁加瀬くんは、悪人に見えにくかったので、インテリヤクザという設定にした﹂とも語っている。
村瀬︵石橋蓮司︶と組員をサウナで射殺するのは、当初水野︵椎名桔平︶の予定だったが、大友︵たけし︶の出番が少ないと思ったため、変更になった。また、水野と彼の情婦︵渡辺奈緒子︶のベッドシーンはやる予定はなかったが、入れ墨を時間をかけて描いてくれたのになかなか画面に映らず、彫り師の人がかわいそうに思ったため、撮ったとたけし本人が語っている。
北村総一朗が演じた山王会会長・関内の邸宅は、たけしの親友、所ジョージが所有する別荘、通称﹁沖縄ベース﹂を借りて撮影した。その際、たけしは冗談か本気かは定かではないが﹁この家を爆破するシーンを撮りたい﹂と所に言ったが、さすがにそれは許可されなかった。
神戸フィルムオフィスの協力でポートアイランドや東門街などでロケが行われた[4]ほか、大友組事務所は兵庫県神戸市中央区の旧居留地に有るビルの一室にて撮影され、この部屋は映画公開後もセットを再現の上で当時の資料と合わせて公開されている[5]。
主要人物
山王会本家
関東一円を取り仕切る巨大暴力団。 関内 - 北村総一朗 山王会本家会長。 関東の暴力団の頂点に長年に渡って君臨。表面上は寛容かつ穏やかな態度をとるが、自分の利益のために直系の組を壊滅させることも厭わないなど本性は腹黒く狡猾な性格。自身は静かな口調で配下に接し、右腕の加藤稔を使って命令を下す。自身の命令には誰も逆らえないのをいいことに、麻薬でシノギを行う村瀬と、彼とつるむ兄弟分の池元を追い込むよう、池元に村瀬組を締めるよう命令を下す。これが一連の騒動のきっかけとなる。 村瀬が射殺され、大友がその殺害容疑の証拠不十分で釈放されると池元に大友を破門させ、その一方で陳情に来た大友には池元を殺害するように唆す。池元が大友に殺害されると、今度は小沢に大友を討って親の仇を取れと発破をかけ、抗争を煽る。大友組を壊滅させた後は小沢をも始末して、莫大な利益を上げている大友組の闇カジノと村瀬組のシマを手に入れる算段だったが、最期は加藤に裏切られ、拳銃で頭部を撃ち抜かれ死亡した。 加藤 稔︵かとう みのる︶ - 三浦友和 山王会本家若頭。山王会のナンバー2。 会長の関内に対しては、どんなに理不尽に叱責されようと無言で服従する彼の右腕。冷静沈着な策略家で頭脳派。村瀬に形だけの引退を持ちかけたり、刑事の片岡や大友組の石原秀人と個人的なパイプを持つなど、関内の目の届かないところで暗躍していた。本家の直接の命令役で安易に村瀬組と手打ちを行った池元を叱責したり、小沢を唆して大友と小沢の抗争が始まると、直接行動に出て小沢を手助けした。終盤に大友組の粛清を終えた小沢を関内の命令で射殺するが、返す刀で関内本人を射殺し、小沢に関内殺しの罪を着せた上で山王会本家会長の座に収まった。池元組
山王会の直参︵二次団体︶で、大友組の上部団体。 池元 - 國村隼 山王会池元組組長。 私利私欲のために周りへ二枚舌を使う下劣な男。一連の騒動の元凶。会長の関内に媚びへつらいつつ、麻薬で得た村瀬の金に目をつけて彼に山王会入りを持ちかけ、兄弟盃を交わす。本家から村瀬組を締めるよう命じられると、自身の手を汚したくない池元はそれを傘下の大友組に丸投げする。当初は村瀬組と揉めているように見せかけるだけで済ませるつもりであったが、真意をしらずに苛烈な行動をとった大友組により、岡崎が木村達に殺害されてしまったことで大友組と村瀬組の抗争が激化。村瀬が泣きつくと安易に手打ちを進めようとするものの、本家からは手打ちを認められず、最終的には大友に村瀬を痛めつけさせて引退へ追い込む形で抗争にけりをつけた。その際に村瀬から大友組に払われた詫び金は彼の懐に納められる。引退後も村瀬が麻薬売買を続けていることが発覚すると大友に村瀬の殺害を命じるが、村瀬殺害が本家で問題視されると大友に破門を言い渡し、加えて大友組のシマまで取り上げようとしたために彼を激怒させる。これらの経緯にもかかわらず、その後も大友組の闇カジノに入り浸るという軽率な行動をとってしまったことから大友の逆鱗に触れ、脇腹に鉄拳を喰らって身動きを取れなくさせられた上で、舌を出した状態で顎に強烈な一撃を受けて舌を噛まされた挙げ句、銃でとどめを刺され死亡。遺体はグバナン大使と大友組によって大使館の自動車で運ばれ、河川敷に埋められた。 小沢 - 杉本哲太 山王会池元組若頭。 池元の側近で、20年間若頭として彼に尽くす。大友組組員の岡崎が木村と飯塚に殺された際、池元とともに関内に叱責され、そのことを大友に伝えて怒鳴りつけたり︵池元組は特に動きもせず、大友組に丸投げしているのにもかかわらず[注釈 1]︶、直後に江本が水野から暴力による制裁を食らった途端に笑みを浮かべて許したりと大友組にはどこか残忍な態度をとっていた︵笑顔をみせた後にすぐに無表情になった︶。池元からの信頼も厚かったが、関内や加藤に唆されて池元の後釜を狙い始める。大友に対しては、池元の無茶な要求を聞き同情しているような素振りを見せて池元が引退したら若頭にしようとする。大友による池元殺害時は水野の説得もあり見て見ぬ振りを決め込むが、関内から﹁組を継承したいなら親︵池元︶の仇を取れ﹂と釘を刺されたため、大友組との抗争を始める。加藤の支援もあって、大友組の幹部や組員たちを次々に殺害し、大友組の壊滅に成功する。そして、池元組を継ぐため関内の下に報告に赴くが、そこで加藤にあえなく射殺されてしまい、念願であった池元組を継ぐことが叶わなかった上に、加藤による関内殺しの罪まで着せられてしまう[注釈 2]。大友組
池元組の傘下︵山王会の三次団体︶で、規模こそ小さいものの武闘派でならしている精鋭揃いの組織。 大友 - ビートたけし 山王会池元組内大友組組長。 池元から厄介な仕事ばかりを押し付けられるが、それでも愚直に従う武闘派。抗争が激化してくると組員に逃げるよう促すなど、若い衆想いな一面もある。作中では自身で手を下したくない池元によって村瀬組を締める役目を押し付けられる。自ら率先して動き、二度にわたる村瀬組との抗争では、村瀬に直接手を下している。 池元や本家の命令によって村瀬と抗争したのにもかかわらず、詫び金一千万円は池元に掠め取られ、そのうえ破門される事態に陥る。電話で池元に対し怒りを露わにし、左手の小指を詰めて関内の元に赴く。その際に関内に唆された大友は池元を殺害するが、同じく関内に唆された池元組若頭小沢との抗争が始まる。本家の支援を受けた池元組との組織力の差から、大友組の組員達が次々と殺害され、徐々に追い詰められていく中で若頭の水野を逃がし、悩んだ末に自身は旧知の刑事・片岡を頼って敢えて服役することで難を逃れようとする。しかし、結局水野は殺害され、自分も刑務所内で先に服役していた木村に刺される。片岡は﹁大友は刑務所で刺されて死亡した﹂と告げ、本作は終幕となる。 水野 - 椎名桔平 山王会池元組内大友組若頭。 組長同様の武闘派で、失態を犯した部下に対しても容赦無く暴力を振るうが、大友には強い忠誠心を持つ。目上に対する処世術には長けており、命令には決して背かず、池元に対しても身だしなみを整えてから接する。村瀬組との抗争でも先陣を切って動き、報復に現れた木村の部下を射殺し、木村を返り討ちにしたほか、麻薬の売人の締め上げなども率先して行っている。石原とともにグバナン大使に闇カジノの経営を強制させるなど重要任務もこなす。また、大友が二回も警察に逮捕された時や、村瀬殺しが問題で大友が指を詰め、関内に謝罪にいく際も同行していた。 小沢との抗争が始まり、組の壊滅が余儀なくされると、一人だけでもことの顛末を見届ける役目を大友に託され、身を隠す。情婦のマンションに潜伏し、彼女から逃走資金と護身用の銃を渡されたが、マンションを出た所で待ち伏せていた小沢の部下に拉致されてしまい、体を固定させられた状態で首に縄をかけて車のスピードで引っ張り首を絞められたことで惨殺されるという最期を遂げた︵直接的な殺害描写はないが情婦も殺害された︶。パンフレットによれば監督の北野は水野をいかに殺すのかを一番気にしていたという。 石原 秀人︵いしはら ひでと︶ - 加瀬亮 山王会直参池元組内大友組組員。金庫番。 大友・水野とは対照的な現代ヤクザで、英語を流暢に話したり頭脳を武器とする。旧態依然としたヤクザを馬鹿にしており、自身の上の地位にあたる人間も内心愚かしく思っている。また、実働力を重視する大友組の中では鈍くさいと思われており、そんな自分をたびたび鉄拳制裁してくる水野に対して怒りを覚え、特に嫌っている。 従来から闇取引や株式売買で手広く商売を行っており、村瀬組との抗争を通して大使館で闇カジノを開くことを発案して任される。小沢によって、カジノを取り仕切っている人物として山王会本家に連れてこられ、その際に若頭の加藤と個人的に通じることとなった。がめつく、保身的な性格で売上の10%を横領しており、小沢との抗争が始まると鉄砲玉として本家にカチコミに行くフリをして逃亡を図っただけでなく、自身の横領を知っていた舎弟を殺害した。他の大友組組員の居場所、逃走先を小沢側に伝えたため、事実上大友組を壊滅に追い込んだ張本人である。その際、激しく嫌悪していた水野には自身が本家の手引きをしたことを言伝していた。 終盤、加藤が会長の座に就くと、本家の金庫番となり、さらには加藤の側近の座にまでのし上がった。 安倍 - 森永健司 山王会直参池元組内大友組組員。大友組幹部。 大友、水野と同じく大友組屈指の武闘派。謝罪にきた木村に指詰めを強制させたり、村瀬との抗争にも動いたほか、水野とともに麻薬の売人に制裁を加えた。 小沢との抗争で、敗北を悟った大友に拳銃を手渡され逃げるよう指示される。しかし車での逃走中に小沢の部下に捕捉され、車から降りて反撃しようとしたところを射殺された。 上田 - 三浦誠己 山王会直参池元組内大友組組員。 主に実働を担い、敵対する相手には容赦なく恫喝する大友・水野同様の武闘派。 村瀬組との抗争では、安倍と共に村瀬組のバーに乗り込み、拳銃や暴行による脅しで飯塚の居場所を強制的に吐かせる。抗争が終結して村瀬組のシマを事実上継承した後も、薬を売り歩いていたイラン人の拉致や、シマで商売していた組員たちを呼び出して暴行するなど、シマの確保のために数度に渡って動いた。他にも闇カジノではボーイを務め、勝手な麻薬売買が再度発覚した際は、売人の居場所を突き止めたりなどした。 最期は、大友やその他の組員達と喫茶店にいたところを乗り込んできた本家の部下による手榴弾の爆発によって一緒にいた組員共々死亡する。 岡崎 - 坂田聡 山王会池元組内大友組組員。 ヤクザには見えない気弱なサラリーマン的な風貌をしている。組員としての能力は不明だが石原などから、ぼったくりにわざと引っかかったことを﹁本当に引っかかったんじゃないの?﹂と言われるなど評価は低い模様。大友の指示により、わざと村瀬組が経営するぼったくりバーに引っ掛かる。 飯塚の指を持って謝罪に訪れた木村をコケにしただけでなく、その後も村瀬組のバーにたかりに訪れ続けるなど、調子に乗った言動を繰り返していた。また、他の組員[注釈 3]の軽い冗談に対して激昂するなど短気な面がうかがえる。 屋台で酔い潰れていたところを木村・飯塚らに拉致され、凄惨な暴行の末に死亡。遺体を大友組の事務所前に放置される。 江本 - 柄本時生 山王会池元組内大友組組員。 武闘派揃いの大友組の中では珍しい物静かな男。闇カジノではディーラーを務めていた。岡崎が木村達に拉致された場に同席していたものの、酔いつぶれていて助けることが出来なかったため、水野に制裁として理不尽なまでの暴行を受ける[注釈 4]。村瀬組のバーへの襲撃にも一応同行しており、その後は上田と共に実働を担う役割に就く。 終盤、小沢との抗争で他の組員が次々と殺害されていく中で逃亡するも、逃げ切れないことを悟ったのか公衆便所で所持していた拳銃で自殺を図ろうとするが、追跡してきたヒットマンに射殺される。村瀬組
山王会に所属していない独立組織で、池元組とは兄弟分。 村瀬 - 石橋蓮司 村瀬組組長。 麻薬売買や水商売をシノギにする弱小ヤクザで、山王会入りするために池元と兄弟盃を交わす。ところが、池元組との協力で間接的に︵麻薬売買を禁止する︶山王会のシマに麻薬が流入したことが会長・関内の逆鱗に触れてしまう。ここで会からの信頼回復を狙った池元の指示により、三次団体・大友組との抗争が仕組まれる。池元が黒幕とは知らず泣きついて収拾を図ろうとするが、彼は既に村瀬の使い捨てを決め込んでいた。さらに部下の木村や飯塚が私怨から大友組の岡崎を殺害してしまい事態は深刻化。最後の手段として池元と山王会本家へ謝罪に行き、表面上は関内の許しを得たが、数日後に歯科医院で大友に襲撃され口内を治療用ドリルで破壊され重傷を負う。あまりの泥沼化に見かねた山王会若頭・加藤から打診された﹁形だけ﹂の引退を受け入れるが、襲撃も引退も全ては山王会の謀略であった。最期は取り上げられたはずのシマで麻薬売買を仕切っていたことを理由に、大友にサウナで側近共々射殺される︵この襲撃もまた、汚れ仕事を嫌う池元が山王会からの指示を大友組に丸投げしたもの︶。 木村 - 中野英雄 村瀬組若頭。劇中では大友に対する復讐心が目立つが基本的には面倒見が良いが中立的な観点から身内には飴と鞭を使い分けた態度をとっていた[注釈 5]。 飯塚の不始末について謝罪するため、村瀬の代理として大友組の事務所を訪れる。しかし初めから許す気のない水野らからカッターナイフでの指詰めを強要されたり、さらに激昂したことで大友に顔を切り付けられたりと散々な目に遭わされる。この恨みと村瀬から﹁情けない﹂と貶されたことから独断で飯塚らと共に岡崎を殺害したことで、池元の計画では﹁揉めているように見えればいい﹂はずだった抗争は収拾がつかなくなってしまう。結果として飯塚は射殺されて村瀬も引退に追い込まれ、自身は尚も大友の命を狙ったが返り討ちとなり逃走する。終盤では刑務所に服役しており、後に服役して来た大友を刺すことで、復讐を果たした。 飯塚 - 塚本高史 村瀬組組員。 長髪が特徴の若手組員。村瀬組のぼったくりバーで客引き兼恐喝係を務める。自業自得であるにも関わらず岡崎を逆恨みするなど筋を通す性格ではない[注釈 6]。大友組に嵌められて岡崎から金を巻き上げてしまい、彼らの狙い通り抗争の火種を作ってしまう。謝罪のために村瀬の指示で指を詰めて木村と二人で大友組に赴くが、事態を激化させたい大友によって木村が重傷を負わされるなど屈辱を味わう。その悔しさから木村に従って、特に横柄ぶりが目立った岡崎を殺害したことで遂に抗争は終わりが見えなくなる。自身は故郷の青森県へ逃げようとしたが、大友組の拷問を受けた仲間が逃亡先を白状してしまう。そして送り込まれたヒットマンに新幹線内で見つかり、最期は諦めのような表情を浮かべつつ射殺された。 佐山 - 芹沢礼多 村瀬組組員。 村瀬が引退した後も裏で麻薬売買を続けたため、大友組に捕えられ事務所に連行されるが、そこでグバナン共和国大使館の情報を流し、カジノの売上や麻薬取引を仕切る役回りにつく。最期は村瀬や彼の側近と共にサウナで大友によって殺害される。警察
片岡 - 小日向文世 組織犯罪対策部︵いわゆる﹁マル暴﹂︶の、暴力団と癒着していて賄賂を受け取っている悪徳刑事。大友とは大学時代にボクシング部で一緒[注釈 7]で個人的に関係を持つ他、山王会の加藤ともパイプがある。大友とは現在も定期的に情報交換をする仲で、水野が木村の部下を射殺した件と、彼が村瀬を射殺した件では証拠不十分で不起訴にさせる。後半、大友が小沢に追い詰められると大友に出頭を促し、彼を刑務所に匿うように服役させる。そして自身の昇進と大友が獄中で刺殺された旨を山王会本家会長となった加藤に報告し、後任の山本刑事を彼に紹介する。 山本 - 貴山侑哉 組織犯罪対策部の刑事。片岡の後を引き継ぐ。グバナン共和国
グバナン共和国在日大使館大使 - ハーシェル・ペッパース[注釈 8] アフリカ大陸にある架空の国家﹁グバナン共和国﹂の在日特命全権大使。本名不明。在日大使のため日本語に堪能であるが、石原とは英語でやり取りする場面が多い。 グバナン共和国の国家予算はかなり少なく、村瀬組から大使館の治外法権を利用して麻薬の密売を強要されていた。大使館内の違法行為に日本警察が手出しできないことに目をつけた大友組によって、闇カジノの経営を持ちかけられる。 当初は大友組の提案を拒絶するも、石原達に拳銃で脅され、さらに情婦殺しの罠に嵌められたため[注釈 9]、最終的には闇カジノを開かされた。しかし、石原が売り上げを横領しているため、報酬30パーセントのところ20パーセントしか受け取っていなかったことで、高いリスクの割にリターンが少なすぎると石原に売り上げの50パーセントを寄越さなければ警察に訴えると文句を言うが、その直後にヘビのいる浴室に閉じ込められ、無理矢理20パーセントの報酬を受け入れさせられた。 最終的に池元の死体の運搬・スコップでの埋葬を押し付けられ、石原に死刑とからかわれて侮辱され、﹁一人で歩いて帰れ﹂と自分以外は車で帰るという形で置いてきぼりにされる。キャスト
●大友︵大友組組長︶ - ビートたけし ●水野︵大友組若頭︶ - 椎名桔平 ●石原秀人︵大友組組員︶ - 加瀬亮 ●片岡︵悪徳マル暴刑事︶ - 小日向文世 ●関内︵山王会会長︶ - 北村総一朗 ●安倍︵大友組組員︶ - 森永健司 ●上田︵大友組組員︶ - 三浦誠己 ●岡崎︵大友組組員︶ - 坂田聡 ●江本︵大友組組員︶ - 柄本時生 ●大友組組員 - 新田純一 ●大友組組員 - 渡来敏之 ●大友組組員 - 岩寺真志 ●大友組組員 - 小村裕次郎 ●大友組組員 - 大原研二 ●大友組組員 - 田崎敏路 ●村瀬組組員 - 内野智 ●村瀬組組員 - 鈴木雄一郎 ●ぼったくりバーの店員︵村瀬組組員︶ - 瀧川英次 ●ぼったくりバーの店員︵村瀬組組員︶ - 井澤崇行 ●ぼったくりバーの店員︵村瀬組組員︶ - 金原泰成 ●佐山︵村瀬組組員︶ - 芹沢礼多 ●山王会本部若衆 - 真田幹也 ●小沢の手下 - 外川貴博 ●小沢の手下 - 江藤純 ●刑事 - 辻つとむ ●山本︵刑事︶ - 貴山侑哉 ●ラーメン屋の客 - 太田浩介 ●ラーメン屋店長 - マキタスポーツ ●ラーメン屋店員 - ケンタエリザベス3世 ●ジュン - しいなえいひ ●ぼったくりBARのママ - こばやしあきこ ●水野の女 - 渡辺奈緒子 ●歯科女医 - 中村純子 ●グバナン共和国在日大使館大使 - ハーシェル・ペッパース ●飯塚︵村瀬組組員︶ - 塚本高史 ●大友の女 - 板谷由夏 ●加藤の部下 - 島津健太郎 ●木村︵村瀬組若頭︶ - 中野英雄 ●小沢︵池元組若頭︶ - 杉本哲太 ●村瀬︵村瀬組組長︶ - 石橋蓮司 ●池元︵池元組組長︶ - 國村隼 ●加藤稔︵山王会若頭︶ - 三浦友和スタッフ
ビートたけし受賞とノミネート
日本国内
●第20回東京スポーツ映画大賞︵2011年1月17日︶[2] 作品賞 監督賞 - 北野武 助演男優賞 - 石橋蓮司、椎名桔平 新人賞 - 北村総一朗 ●第42回報知映画賞特別賞︵2017年11月28日、﹁アウトレイジ﹂3部作として受賞︶[3]海外
●第63回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール ノミネート作品製作
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d7/2015_1223_Otomo-gumi_Office.jpg/220px-2015_1223_Otomo-gumi_Office.jpg)
プロモーション
TSUTAYA限定でスペシャルDVD﹃アウトレイジ 危険すぎる男たちの素顔﹄付き前売券を発売。2010年6月11-13日には本映画公開記念として池袋・新文芸坐で過去作品を3日間限定上映された。公開・反響
丸の内ルーブル、渋谷東急他全国155スクリーンで公開され、2010年6月12-13日初日2日間で興行収入1億4,530万9,000円、動員は10万6,138人になり映画観客動員ランキング︵興行通信社調べ︶で初登場第4位となった[6]。また、ぴあ初日満足度ランキングでも第4位になっている。 第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式参加した。映画祭期間中に発行された映画誌による評価は厳しく、批評家九人による評価はコンペティション部門で最低クラスのものだった[7]。Blu-ray / DVD
2010年12月3日発売。発売・販売元はバンダイビジュアル。- アウトレイジ 通常版(1枚組、Blu-ray / DVDでリリース)
- 映像特典
- 特報
- 劇場予告編
- TVスポット集
- キャストインタビュー
- 映像特典
- アウトレイジ スペシャルエディション(3枚組・初回限定生産)
- ディスク1:本編Blu-ray(通常版と同様)
- ディスク2:本編DVD(通常版と同様)
- ディスク3:特典DVD
- 4SHOTS(北野武×椎名桔平×加瀬亮×三浦友和)
- メイキング「OUTRAGE -INSIDE OUT-」
- カンヌ国際映画祭レポート
- 初日舞台挨拶
- 封入特典
- 解説書(16P)
- 特製アウターケース付きデジパック仕様
続編
詳細は「アウトレイジ ビヨンド」を参照
2010年9月6日に、本作品の続編となる﹃アウトレイジ2﹄の製作を発表。北野作品としては初の続編となる[8]。公開は2011年秋を予定していたが、東日本大震災の影響で、2012年秋に延期され[8]、2012年4月17日に﹃アウトレイジ ビヨンド﹄のタイトルに決定、10月6日公開予定と発表された[9]。
脚注
注釈
(一)^ ただし、揉めているように見せればよかったのに殺人事件にまで発展したのはあり得ないことである事情も含める必要がある。
(二)^ 次作﹁アウトレイジ ビヨンド﹂では、復讐に燃える大友によって、小沢に濡れ衣を着せた加藤の謀略が暴かれ、加藤は破滅への道を歩むことになる。
(三)^ 岡崎は敬語をつかっていた、岡崎にキレられたその組員が﹁誰に向かって口をきいてんだ!﹂と激昂するなどの前後のやり取りから自分より上の立場の組員であると推測される。
(四)^ 一番の理由はこれらの件で関内から叱責された小沢から怒鳴られたことで小沢の怒りを鎮めるために制裁をした。
(五)^ 飯塚が不始末で大友組に謝罪をする際に自分も付き添ったが飯塚が村瀬に命じられた指詰めに関しては庇おうとはしなかった、村瀬には従順に従ったが引退した際には乗っ取られたと憤慨する、など。
(六)^ 岡崎も調子に乗っていたが一番調子に乗っていたのは法外な値段でぼったくりをしようとした村瀬組であることを留意する必要がある。この場合、岡崎を恨んで当然なのは現場にいなかったにも関わらず、巻き添えで重傷を負わせられた木村だけである。
(七)^ 大友によると、片岡が﹁勝ったのを見たことがない﹂らしい。
(八)^ ハーシェル・ペッパースは日本在住の黒人タレントで、アメリカ国籍である。しかし、アフリカ人である本役を演じる際には、アメリカ英語を一切使わず、わざわざアフリカ英語のような印象の訛りでしゃべっている。ちょうど、西アフリカ・ナイジェリア出身のタレント、ボビー・オロゴンが話す英語に近い印象である。アフリカ諸国は旧英国領だった国が多く、地元言語の発音や語彙と融合して、地域ごとに独特な英語となっている。アフリカ英語と同様に、世界各地にインド英語など独特の英語が存在する。
(九)^ 情婦はその後のシーンで、大友組が経営する闇カジノに出現している。つまり、実は情婦は殺害されておらず、陰謀の片棒を担いでいたということが示唆されている。
(十)^ 押尾の逮捕は2009年なので、仮に押尾を起用していたら作品の製作や上映が中止されていた可能性が高い。ただし、大友組組員の安倍を演じた森永健司は2011年4月にひったくり事件を起こして逮捕され、俳優業を引退した。森永の事件発生は本作上映後だったためか、2012年9月5日と2017年9月28日に本作がテレビ東京系列で地上波放映された際に、森永の出演シーンに対するカットやモザイク処理は行われていない︵地上波版では、残虐シーンは大幅にカットされている︶。また、森永が起こした事件によって本作のDVD発売がお蔵入りにはなることはなく、2018年現在も本作のDVD・Blu-rayの販売及びレンタルは継続されている。