「エアブラシ」の版間の差分
→構造: 「 微細な調整ができない」は通説で、微細なコントロールが可能なのは多くのペインターが実証してる。 |
Mocha c jp (会話 | 投稿記録) m編集の要約なし |
||
(21人の利用者による、間の26版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{出典の明記|date=2022年1月3日 (月) 12:15 (UTC)}} |
|||
⚫ | |||
[[画像:PaascheAirbrush.jpg|thumb|300px|代表的なエアブラシ<br/>パーシェ社のシングルアクション・吸上式型]] |
|||
'''エアブラシ'''([[英語]]:air brush)とは、[[塗装]]に用いられる[[スプレー]]の一種。 |
'''エアブラシ'''([[英語]]:air brush)とは、[[塗装]]に用いられる[[スプレー]]式塗装器具の一種である。 |
||
⚫ | 圧縮した |
||
⚫ | |||
== 概要 == |
|||
⚫ | 「エアブラシ」という呼称は、低圧なエアを使う小型の霧化機器を言い、自動車塗装などの一般塗装機器に用いられる |
||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | |||
== 歴史 == |
|||
{{節スタブ}} |
|||
[[アメリカ合衆国]]の[[特許]](Patent Number 182,389) によると、エアブラシに関する最初の特許は[[1876年]]に[[ニュートン (マサチューセッツ州)|マサチューセッツ州のニュートン]]に住むフランシス・エドガー・スタンレー([[:en:Francis Edgar Stanley|en]])によって取得された。彼は彼の双子の兄弟と共に[[イーストマンコダック]]の[[写真乾板]]や[[スタンレー・スチーマー]]などの[[自動車]]の生産で知られている。この特許で作られたエアブラシがどういう形状だったのかはよく分かっていない。 |
|||
== 名称について == |
|||
⚫ | 「エアブラシ」という呼称は、低圧なエアを使う小型の霧化機器を言い、自動車塗装などの一般塗装機器に用いられる、同様の形状をした大型の吹付け式塗装機器は「'''スプレーガン'''(英語:spray gun)」と呼称されるが、呼称のみ異なった同一のものではなく、圧縮空気を利用しない機器などスプレーガンの形状や仕組みも異なる。 |
||
日本では「ピースコン(PIECE COM)」、「トリコン(TRICON)」、海外では「バジャー(badger)」「パーシェ(Paasche)」と呼称されていることがあるが、これらはいずれも販売しているメーカーの製品名もしくは会社名である。 |
|||
== 利用例 == |
== 利用例 == |
||
[[画像:VFS Summer Intensive Programs 2011.jpg|thumb|200px|エアブラシによる[[化粧]]]] |
|||
エアブラシは霧状の色材で吹き付けパターンの外側が薄く暈けるため[[グラデーション]]効果や、下にある色を透かす効果が容易に得られるため、写実的な[[イラストレーション]]をはじめとして、多彩な表現を行うことができる。 |
エアブラシは霧状の色材で吹き付けパターンの外側が薄く暈けるため[[グラデーション]]効果や、下にある色を透かす効果が容易に得られるため、写実的な[[イラストレーション]]をはじめとして、多彩な表現を行うことができる。 |
||
⚫ | 近年は、[[自動車]]のカスタムペイント、Tシャツなどのペイント、[[ネイルアート]]や[[ボディアート]]、携帯電話などの小物、人形や工芸品、模型のペイントなど、幅広い用途に用いられ広く普及している。 |
||
エアブラシによるペイントはフリーハンドはもちろん、不要箇所を覆い隠すこと(マスキングと呼ぶ)でパターンを描くことができる。マスキングには塗り分けを目的としたテープ類、模様や文字などをパターンとして切り抜いたフィルムや紙([[ステンシル]]・[[テンプレート]]などと呼ぶ)、定規や綿など様々なものを用いる。ステンシル類はテープなどで固定する場合もあるが、移動させつつ繰り返し用いることで複雑なデザインを作る場合も多い。 |
エアブラシによるペイントはフリーハンドはもちろん、不要箇所を覆い隠すこと(マスキングと呼ぶ)でパターンを描くことができる。マスキングには塗り分けを目的としたテープ類、模様や文字などをパターンとして切り抜いたフィルムや紙([[ステンシル]]・[[テンプレート]]などと呼ぶ)、定規や綿など様々なものを用いる。ステンシル類はテープなどで固定する場合もあるが、移動させつつ繰り返し用いることで複雑なデザインを作る場合も多い。 |
||
16行目: | 29行目: | ||
== 構造 == |
== 構造 == |
||
[[画像:Airbrush.jpg|thumb|200px|エアブラシ<br/>エアログラフ社のもの]] |
|||
⚫ | |||
噴射口をもつ本体('''ハンドピース''')に、塗料を入れる「塗料カップ」と[[圧縮機|エアコンプレッサー]]からエアを導入するホースを接続して使用する。[[ボンベ]]を使用する場合はハンドピースに直接接続することもできる。 |
噴射口をもつ本体('''ハンドピース''')に、塗料を入れる「塗料カップ」と[[圧縮機|エアコンプレッサー]]からエアを導入するホースを接続して使用する。[[ボンベ]]を使用する場合はハンドピースに直接接続することもできる。 |
||
22行目: | 37行目: | ||
塗料の流量は、ノズルを塞いでいるニードル︵針︶弁の前後動により、ノズルとニードルの隙間の調整することで行う。ノズルから出る塗料は、その外側にあるエアキャップを通ってきたエアと混ざり合い霧状となって吹き出される。
|
塗料の流量は、ノズルを塞いでいるニードル︵針︶弁の前後動により、ノズルとニードルの隙間の調整することで行う。ノズルから出る塗料は、その外側にあるエアキャップを通ってきたエアと混ざり合い霧状となって吹き出される。
|
||
吹き付けパターンの大きさ︵面積︶はエアブラシと吹き付け対象物の距離によって変わり、ノズル口径によってもその大きさは異なる。利用の多いノズル口径 0. |
吹き付けパターンの大きさ︵面積︶はエアブラシと吹き付け対象物の距離によって変わり、ノズル口径によってもその大きさは異なる。利用の多いノズル口径 0.3 mm では丸形のパターンで、サイズは 30 mm 程度である。太い線や面を塗る場合はエアブラシを対象から離し、細い線で細部を描き込むような場合は数ミリ程度にまで近づける。この際、適切な量を塗布するためにニードルのコントロールが不可欠であり、エアブラシを移動させる速度とも深く関係する。また、エアブラシ先端のニードルキャップと呼ぶニードルの先端を保護する部品の有無で霧の状態が変わることを利用したり、エア圧とエア流量を下げて粗い粒子を作りテクスチャ︵[[スパッタリング]]のような粒子感が出る︶として利用することもある。
|
||
ハンドピースの機構は3種類に大別される。 |
ハンドピースの機構は3種類に大別される。 |
||
;ダブルアクション:標準となるものである。レバー操作が |
; ダブルアクション:標準となるものである。レバー操作が2段階あり、まずレバーを押し下げることでエアバルブを開き、次に、レバーを押し下げたまま後ろに引くことで塗料を出す。この2つの動作をもってダブル︵デュアルと呼ぶ場合もある︶アクションという。現代のモデルも世界で最初に発売されたものとは形状や機能に大きな違いはない。扱うには慣れが必要だが、微調整しやすいので熟練者に好まれる。
|
||
;トリガーアクション:ダブルアクションのレバーをピストルのような引き金に変えたものと、レバーの形状も位置も変わらないものがある。スライドカムを介してエア流量と塗料流量の変更を行うため、自動的に適切な量が決まる。 |
; トリガーアクション:ダブルアクションのレバーをピストルのような引き金に変えたものと、レバーの形状も位置も変わらないものがある。スライドカムを介してエア流量と塗料流量の変更を行うため、自動的に適切な量が決まる。引き金を引くだけの単純な動作(ただし、ダブルアクションと同じ2段階の動作を連続した動作で行っている)で初心者でも扱いやすいが、部品が変わってしまうため高価なものが多い。 |
||
;シングルアクション:ダブルアクションを簡易化したもので、簡易式エアブラシなどとも称される。エア流量の操作をレバーでおこない、塗料の流量は変えらないか、 |
; シングルアクション:ダブルアクションを簡易化したもので、簡易式エアブラシなどとも称される。エア流量の操作をレバーでおこない、塗料の流量は変えられないか、変えられる場合は本体後方に調整ダイアルがついているものが多い。レバー操作が一つ減るためシングルアクションと呼ばれる。扱いやすく一定量の吹き付けを行うには適しているが、強弱をつける操作が出来ないため細部の塗装などには向かない。その性質上安価なものが多い。
|
||
[[File:Airbrush System for Gundam Marker.jpg|thumb|200px|[[GSIクレオス]]製ガンダムマーカーエアブラシシステム]] |
|||
また、簡易なものとして[[コピック]]などの[[ペン]]([[フェルトペン]])のペン先に圧縮空気、圧縮ガスを噴射させるなどして利用するものもある。 |
また、簡易なものとして[[コピック]]やガンダムマーカーなどの[[ペン]]([[フェルトペン]])のペン先に圧縮空気、圧縮ガスを噴射させるなどして利用するものもある。 |
||
用いられる色材は、[[水彩絵具]]・[[油絵具]]・[[アクリル絵具]]および日本画用に用いられる岩絵具を含む色材、墨汁 |
用いられる色材は、[[水彩絵具]]・[[油絵具]]・[[アクリル絵具]]および[[日本画]]用に用いられる[[岩絵具]]を含む色材、[[墨汁]]、ドローイングインク、︵カラー︶[[インク]]、[[染料]]、ホビー向けの水性塗料や油性塗料、家庭用塗料などほとんどの色材、塗料が使われている。
|
||
⚫ | |||
⚫ | |||
== エアブラシ塗装の手順(模型の場合) == |
|||
#色を塗りたい場所以外を、[[マスキングテープ|粘着テープ]]などで覆う。(マスキング) |
|||
#道具を用意し、ハンドピースにエア用のホースを接続してエアが導入される状態にする。 |
|||
#塗料を調色してハンドピースの塗料カップに少しだけ入れる。 |
|||
#不要な紙や材料、目立たない所などで試し吹きを行い、塗料の濃度やエアの圧力を調整する。 |
|||
#調整が出来たら任意の量の塗料を塗料カップに入れ、対象物を塗装する。 |
|||
#色や塗膜の厚さが任意の通りになるまで、乾かしながら何度か重ね塗りする。 |
|||
#複数の色を使う場合、塗料カップの余った塗料を捨て、うすめ液などを代わりに入れて噴射し、ハンドピース内部を洗浄し、別の色を入れて再度塗装する。 |
|||
#塗料が乾いたらマスキングを取り外す。 |
|||
#全ての塗装作業終了時には、ニードルを引き抜き、布やキッチンタオルなどで汚れを拭い、ノズルを外して溶剤などで洗浄する。また、カップ内部、ノズル取り付け部分から内部に至る塗料が流れる経路も溶剤・ブラシなどを用いて汚れを落として完了する。 |
|||
== 脚注 == |
|||
{{脚注ヘルプ}} |
|||
{{Reflist |
|||
|refs= |
|||
<ref name="BEST54">{{Cite book|和書|chapter=怪獣アイテム豆辞典|title=[[東宝]]編 日本特撮映画図鑑 BEST54|others=特別監修 [[川北紘一]]|publisher=[[成美堂出版]]|series=SEIBIDO MOOK|date=1999-02-20|page=149|isbn=4-415-09405-8}}</ref> |
|||
}} |
|||
== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
||
{{Commons|Category:Airbrushes}} |
|||
*[[スプレー]] |
*[[スプレー]] |
||
*[[塗装]] |
*[[塗装]] |
||
*[[霧吹き]] |
*[[霧吹き]] |
||
*[[キャブレター]] |
*[[キャブレター]] |
||
*[[スパッタリング]] |
|||
*[[扶桑精機]] OEMで各社に供給する。 |
|||
{{模型}} |
|||
{{Normdaten}} |
|||
{{DEFAULTSORT:えあふらし}} |
{{DEFAULTSORT:えあふらし}} |
||
[[Category:工具]] |
[[Category:工具]] |
||
⚫ | |||
[[Category:画材]] |
[[Category:画材]] |
||
⚫ | |||
[[Category:空圧工具]] |
|||
[[ar:فرشاة هوائية]] |
|||
[[bg:Аерограф]] |
|||
[[ca:Aerògraf]] |
|||
[[cs:Fixírka]] |
|||
[[de:Airbrush]] |
|||
[[en:Airbrush]] |
|||
[[es:Aerógrafo]] |
|||
[[fa:قلم بادی]] |
|||
[[fi:Retussiruisku]] |
|||
[[fr:Aérographe]] |
|||
[[gl:Aerógrafo]] |
|||
[[he:איירבראש]] |
|||
[[id:Airbrush]] |
|||
[[it:Aerografo]] |
|||
[[jv:Airbrush]] |
|||
[[ko:에어브러시]] |
|||
[[lb:Airbrush]] |
|||
[[nl:Airbrush]] |
|||
[[pl:Aerograf]] |
|||
[[pt:Aerógrafo]] |
|||
[[ru:Распылитель краски]] |
|||
[[sl:Airbrush]] |
|||
[[sv:Airbrush]] |
|||
[[tr:Airbrush]] |
|||
[[uk:Аерограф]] |
2022年10月26日 (水) 11:31時点における最新版
概要[編集]
圧縮した空気などの気体︵以下、エアと表記︶の圧力によって塗料・絵具等を霧状に噴射する器具[1]。またそれを用いて描画や着色をする技法のことも指す[1]。 缶スプレーなどと異なり、噴射する塗料などは使う器具を変えずに任意に使い分けることができる。 近年は、自動車のカスタムペイント、Tシャツなどのペイント、ネイルアートやボディアート、携帯電話などの小物、人形や工芸品、模型のペイント、絵画など、幅広い用途に用いられ広く普及している。歴史[編集]
この節の加筆が望まれています。 |