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「カルメル派修道女の対話」の版間の差分

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[[File: CarmélitesComp02.jpg|thumb|upright=1.2|ルイ・ダビドによるコンピエーニュの16人のカルメル派修道女]]

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''''''''Dialogues des carmélites''[[]][[]][[]][[]][[]]3

''''''''Dialogues des carmélites''[[]][[]][[]][[]][[]][[]]3


== 概要 ==

== 概要 ==

[[1957年]][[1月26日]]に、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]にて初演され、成功をおさめた。[[ニーノ・サンツォーニョ]]が指揮を担当し、この時はイタリア語で歌われた。フランス語版初演は同年[[6月21日]]に、[[パリ国立オペラ|パリ・オペラ座]]にて行われ、指揮は[[ピエール・デルヴォー]]であった。本作が最初にイタリアでイタリア語によって上演された理由は、このオペラの依頼者である [[楽譜]]出版会社[[リコルディ]]との契約によるものである<ref>『ラルース世界音楽事典』P435</ref>。プーランクの他のオペラはコミカルな『[[ティレジアスの乳房]]』(1947年)、ソプラノ一人によるモノオペラ『[[人間の声]]』(1958年)の2作がある。このオペラは19世紀に多く作られた恋愛を中心としたロマンティックな愛憎劇とは全く異なり、シリアスな内容となっている。既に世界的に高い評価を得ているが、『オペラ名曲百科』の著者[[永竹由幸]]は「恐ろしいほど冴えきった名曲。現代フランス・オペラでは最高峰であろう」と評している<ref>『オペラ名曲百科 上 増補版 イタリア・フランス・スペイン・ブラジル編』P498</ref>。

[[1957年]][[1月26日]]に、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]にて初演され、成功をおさめた。[[ニーノ・サンツォーニョ]]が指揮を担当し、この時はイタリア語で歌われた。フランス語版初演は同年[[6月21日]]に、[[パリ国立オペラ|パリ・オペラ座]]にて行われ、指揮は[[ピエール・デルヴォー]]であった。本作が最初にイタリアでイタリア語によって上演された理由は、このオペラの依頼者である[[楽譜]]出版会社[[リコルディ]]との契約によるものである<ref name="#1">『ラルース世界音楽事典』P435</ref>。プーランクの他のオペラはコミカルな『[[ティレジアスの乳房]]』(1947年)、ソプラノ一人によるモノオペラ『[[人間の声]]』(1958年)の2作がある。このオペラは19世紀に多く作られた恋愛を中心としたロマンティックな愛憎劇とは全く異なり、シリアスな内容となっている。既に世界的に高い評価を得ているが、『オペラ名曲百科』の著者[[永竹由幸]]は「恐ろしいほど冴えきった名曲。現代フランス・オペラでは最高峰であろう」と評している<ref>『オペラ名曲百科 上 増補版 イタリア・フランス・スペイン・ブラジル編』P498</ref>。



== リブレット ==

== リブレット ==

[[File:Gertrud v Le Fort c1935.jpg|thumb|upright=0.8|ゲルトルート・フォン・ル・フォール ]] [[File:Georges-Bernanos.jpg|thumb|upright=0.7|left| [[ジョルジュ・ベルナノス|ベルナノス]]]]

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== 楽曲 ==

== 楽曲 ==

[[File:Elin Rombo as Sister Blanche in Dialogues of the Carmelites 2011.jpg|thumb|upright=1.2|エリン・ロンボ、2011年のストックホルムでの上演]]

[[File:Elin Rombo as Sister Blanche in Dialogues of the Carmelites 2011.jpg|thumb|upright=1.2|エリン・ロンボ、2011年のストックホルムでの上演]]


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{{仮リンク|ミサ曲ト長調|en|Mass in G major (Poulenc) }}、[[オルガン協奏曲 (プーランク)|オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲 ト短調]]、[[ピアノ協奏曲 (プーランク)|ピアノ協奏曲 嬰ハ短調]]、『夜想曲』第1番、歌曲集『冷気と火』(第3曲 全ては消え去り)、『[[小象ババールの物語]]』、『[[2つのクラリネットのためのソナタ]]』などである<ref>『プーランクを探して』P300</ref>。

『新グローヴ オペラ事典』では「このオペラはプーランクの後期の作品の中でもとりわけ、1930~40年ごろ彼が到達した宗教的、音楽的境地を統合したものになっている。この時期、友人の不慮の死が彼に新たな成熟をもたらし、彼はカトリックの信仰を再発見した。技法的、形式的に高いレベルに達しているにもかかわらず、しばしば調性のある旧式の音楽様式を採用したと弁明していた」と解説している<ref>『新グローヴ オペラ事典』P235</ref>。また、本作はプーランクの音楽の集大成と言える内容となっており、作曲者本人の過去の作品からの部分的引用が多く使われている。具体的には、


{{|調|en|Mass in G major (Poulenc) }}[[ ()| 調]][[ ()| 調]]13 [[]]{{|2|en|Sonata for two clarinets}}<ref>P300</ref>


== 初演後 ==

== 初演後 ==

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|  ||[[]]||<br>||[[]]|| {{||en|Denise Duval }}

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|ド・ラ・フォルス侯爵|| [[バリトン]] ||ブランシュの父<br>妻が民衆の暴動に巻き込まれ<br>命を落とした。||スキーピオ・コロンボ||グザヴィエ・ドプラ

|ド・ラ・フォルス侯爵|| [[バリトン]] ||ブランシュの父<br>妻が民衆の暴動に巻き込まれ<br>命を落とした。||スキーピオ・コロンボ||グザヴィエ・ドプラ

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|リドワーヌ夫人|| [[ソプラノ]] ||次期修道院長|| [[レイラ・ジェンチェル]]||{{仮リンク|レジーヌ・クレスパン|en|Régine Crespin }}

|リドワーヌ夫人|| [[ソプラノ]] ||次期修道院長|| [[レイラ・ジェンチェル]]||{{仮リンク|レジーヌ・クレスパン|en|Régine Crespin }}

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|マザー・マリー|| [[メゾソプラノ]] ||副修道院長||ジリオラ・フラッツォーニ||リタ・ゴール

|マザー・マリー|| [[メゾソプラノ]] ||副修道院長||[[ジリオラ・フラッツォーニ]]||リタ・ゴール

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|マザー・ジャンヌ|| [[コントラルト]] ||修道女長||ヴィットリア・パロンビーニ||ジャニーヌ・フーリエ

|マザー・ジャンヌ|| [[コントラルト]] ||修道女長||ヴィットリア・パロンビーニ||ジャニーヌ・フーリエ

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|将校|| [[バリトン]]||-||ミケーレ・カッツァート||ジャック・マルス

|将校|| [[バリトン]]||-||ミケーレ・カッツァート||ジャック・マルス

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*合唱:その他の修道女たち、将校、囚人、民衆、教徒、その他

*合唱:その他の修道女たち、将校、囚人、民衆、教徒、その他

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|1958

|1958

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|[[ピエール・デルヴォー]]<br>[[パリ・オペラ座管弦楽団]]<br>パリ・オペラ座合唱団

| CD: EMI <br> ASIN: B0001O3YBW

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[[Category:プーランクのオペラ]]

[[Category:1950年代のオペラ]]

[[Category:1950年代のオペラ]]

[[Category:フランス語のオペラ]]

[[Category:小説を原作とするオペラ]]

[[Category:小説を原作とするオペラ]]

[[Category:1957年の音楽]]

[[Category:1957年の音楽]]

[[Category:プーランクの楽曲]]

[[Category:フランス革命を題材とした作品]]

[[Category:フランス革命を題材とした作品]]

[[Category:パリを舞台とした舞台作品]]

[[Category:パリを舞台とした舞台作品]]

[[Category:キリスト教を題材とした作品]]

[[Category:キリスト教を題材とした作品]]

[[Category:宗教施設を舞台とした作品]]

[[Category:宗教施設を舞台とした作品]]

[[Category:修道を主人公にした作品]]

[[Category:カルメル会|作品]]

[[Category:カルメル会|作品]]

[[Category:修道を主人公にした作品]]


2023年1月8日 (日) 03:24時点における最新版

ルイ・ダビドによるコンピエーニュの16人のカルメル派修道女

Dialogues des carmélites3

[]


1957126621[1]19471958219[2]

[]

 

201931[3]161906 稿 1960 Le Dialogue des carmélites[4]

[]

2011

2222[1][5][5]20[6] 193040調[7]使 調 調 調13 2[8]

[]


1957920[9]1958116[10]1990[11]

登場人物[編集]

人物名 声域 ミラノ世界初演時の配役
(1957年1月26日)
指揮:
ニーノ・サンツォーニョ
フランス初演時の配役
(1957年6月21日)
指揮:
ピエール・デルヴォー
ブランシュ・ド・ラ・フォルス ソプラノ 架空の侯爵家フォルス家の令嬢
カルメル会修道院に入る。
ヴィルジニア・ゼアーニ ドゥニーズ・デュヴァル
ド・ラ・フォルス侯爵 バリトン ブランシュの父
妻が民衆の暴動に巻き込まれ
命を落とした。
スキーピオ・コロンボ グザヴィエ・ドプラ
騎士フォルス テノール ブランシュの兄
ブランシュの身を案じる。
ニコラ・フィラクリーディ ジャン・ジロドー
コンスタンス ソプラノ 明るい性格の修道女
ブランシュの友人
エウジェニア・ラティ リリアーヌ・ベルトン
クロワシー夫人 コントラルト 現修道院長
ブランシュに修道院の
何たるかを教える。
ジアンナ・ペデルチーニ ドゥニーズ・シャルレィ
リドワーヌ夫人 ソプラノ 次期修道院長 レイラ・ジェンチェル レジーヌ・クレスパン英語版
マザー・マリー メゾソプラノ 副修道院長 ジリオーラ・フラッツォーニ リタ・ゴール
マザー・ジャンヌ コントラルト 修道女長 ヴィットリア・パロンビーニ ジャニーヌ・フーリエ
シスター・マチルド ソプラノ 修道女 フィオレンツァ・コッソット ジゼル・デムティール
礼拝堂神父 テノール アルヴィーノ・マネッリ ミシェル・フォレル
将校 バリトン ミケーレ・カッツァート ジャック・マルス
  • 合唱:その他の修道女たち、将校、囚人、民衆、教徒、その他

楽器編成[編集]

演奏時間[編集]


245705045

[]

1[]


1



2



3



4

退

2[]

1907

1







2







3



4


3[]


1

1





2







3







4


[]




21

22

24

34

en:Veni Creator Spiritus34

[]

配役
ブランシュ・ド・ラ・フォルス
コンスタンス
リドワーヌ夫人
クロワシー夫人
マリー
指揮者、
管弦楽団および合唱団
レーベル
1958 ドゥニーズ・デュヴァル
リリアーヌ・ベルトン
レジーヌ・クレスパン英語版
ドゥニーズ・シャーリィ
リタ・ゴール
ピエール・デルヴォー
パリ・オペラ座管弦楽団
パリ・オペラ座合唱団
CD: EMI
ASIN: B0001O3YBW
1990 カトリーヌ・デュボスク
ブリジット・フルニエ
ラシェル・ヤカール
リタ・ゴール
マルティーヌ・デュピュイ
ケント・ナガノ
リヨン歌劇場管弦楽団
リヨン歌劇場合唱団
CD: Virgin
B000FVR5FW
1999 アンヌ=ソフィー・シュミット
パトリシア・プティボン
ナディーヌ・ドゥニーズ
ヴァレリー・ミロー
ヘトヴィヒ・ファスベンダー
ジャン・レイサム=ケーニック
ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団
ラン歌劇場フランス語版合唱団
演出:マルト・ケラー
DVD: ArteHouse
ASIN: B000053GTD
2004 ダグマー・シェレンベルガー
ローラ・エイキン
グヴィン・ゲイヤー
アニャ・シリヤ
バーバラ・ディヴァー
リッカルド・ムーティ
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ミラノ・スカラ座合唱団
演出:ロバート・カーセン
DVD: ArteHouse
ASIN: B000TJBNOE
2008 アレクシア・ヴルガリドゥ
ヤーナ・ビュヒナー
アン・シュヴァネウィルム
キャスリン・ハリーズ
ガブリエーレ・シュナウト
シモーネ・ヤング
ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
ハンブルク国立歌劇場合唱団
演出:ニコラス・レーンホフ
DVD: ArteHouse
ASIN: B003RS7QRC
2010 スーザン・グリットン
エーレヌ・ギルメット
ソイレ・イソコスキ
シルヴィー・ブリュネ
スサネ・レースマーク
ケント・ナガノ
バイエルン国立管弦楽団
バイエルン国立歌劇場 合唱団
演出:ディミトリ・チェルニャコフ
DVD: Bel Air
ASIN: B01I05LVJ0
2011 サリー・マシューズ
ヘンドリッケ・ファン・ケルクホーフ
デボラ・ポラスキ英語版
ハイディ・ブルンナー
ミケーレ・ブリート
ベルトラン・ド・ビリー
ウィーン放送交響楽団
アルノルト・シェーンベルク合唱団
CD: Oehms Classics
ASIN: B0069TWD9C
2013 パトリシア・プティボン
サンドリーヌ・ピオー
ヴェロニク・ジャンス
ロザリンド・プロウライト
ソフィー・コッシュ
ジェレミー・ロレール
フィルハーモニア管弦楽団
シャンゼリゼ劇場 合唱団
演出:オリヴィエ・ピィ
DVD: Erato
ASIN: B00NT2NFPI

脚注[編集]

  1. ^ a b 『ラルース世界音楽事典』P435
  2. ^ 『オペラ名曲百科 上 増補版 イタリア・フランス・スペイン・ブラジル編』P498
  3. ^ 『オペラ鑑賞辞典』P364
  4. ^ 『新グローヴ オペラ事典』P233
  5. ^ a b 『プーランクを探して』P299
  6. ^ 『フランス・オペラの魅惑 舞台芸術論のための覚え書き』P232
  7. ^ 『新グローヴ オペラ事典』P235
  8. ^ 『プーランクを探して』P300
  9. ^ September 20 1957, San Francisco Opera Association
  10. ^ 『オックスフォードオペラ大事典』P178
  11. ^ 外国オペラ作品322の日本初演記録

参考文献[編集]

外部リンク[編集]