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[[File:Mi-Go.png|thumb|[[ユゴス]]星の菌類生物:[[闇に囁くもの]]]]

'''ミ=ゴ'''(Mi-go)、または'''ユゴスからのもの'''は、[[クトゥルフ神話]]作品に登場する架空の生物。

{{Wikisourcelang|en|The Whisperer in Darkness|闇に囁くもの}}

初出は[[ハワード・フィリップス・ラヴクラフト]]の『闇に囁くもの』。

'''ミ=ゴ'''(Mi-go)とは[[クトゥルフ神話]]作品に登場する[[地球外生命|地球外生命体]]である。'''ユゴスよりのもの'''または'''ユゴスよりの菌類'''([[菌類|Fungi]] from [[ユゴス|Yuggoth]])とも呼ばれる。

{{ネタバレ}}


初出は、[[ハワード・フィリップス・ラヴクラフト]]の小説『[[闇に囁くもの]](執筆1930年2〜9月、発表1931年8月)』<ref>全集1、クト9、定本5、新潮1、など多数。</ref>。クトゥルフ神話内では主に「[[ユゴス]]物語」に登場する<ref>事典四「クトゥルー神話の歴史●クトゥルー神話の誕生」、14ページ。</ref><ref>新紀元社『クトゥルフ神話ガイドブック』30ページ。</ref>。


== 概要 ==

== 概要 ==

ユゴス([[冥王星]])を支配している生物であり、特殊な鉱物資源を採取するめに度々、地球を訪れている。


[[]]姿[[]][[]][[]]

ユゴスもあくまで拠点のひとつに過ぎず、本拠地は遥か彼方の外宇宙、あるいは異次元にあると思われる。


''''''Abominable Snow-Men''''''[[|Fungi]] from [[|Yuggoth]][[]]19312319362

名前の由来はヒマラヤの雪男=[[シェルパ族]]の言語で「[[イエティ]]」の、[[ブータン語]]「ミゲー」から。イエティを英訳すると「Abominable Snow-Men」になる。ラヴクラフトは、イエティの正体をこの種族とした。転じて、ミ=ゴがこの種族を指す固有名詞になっている。


ラヴクラフト代作の『[[永劫より]]』には'''ユゴス星人'''への言及があり、ムー大陸のヤディス=ゴー山頂に城塞を築いたと『[[無名祭祀書]]』に仮託して述べられている。「ユゴス星人」がミ=ゴを指すのかは定かでないが、たとえばダニエル・ハームズは『{{仮リンク|エンサイクロペディア・クトゥルフ|en|Encyclopedia Cthulhiana}}』のガタノトーアの項で「ユゴスの菌類が置き去りにしていった」と記述し、両者を同一視している<ref>(第2版邦訳版)『エンサイクロペディア・クトゥルフ』82頁。</ref><ref>(第3版){{Cite book

|last = Harms

|first = Daniel

|year = 2008

|title = The Cthulhu Mythos Encyclopedia

|edition = 3rd

|publisher = Elder Signs Press

|page = 108

}}</ref>。


== 生物的特徴 ==

身体組織は[[菌類]]に近い。写真に写らず、死体は数時間で分解して消える。有翼種と無翼種がいることが知られている。

[[File:Migo.jpg|thumb|[[バーモント州]]で目撃された有翼甲殻種]]

有翼種は体長は5フィート(約1.5m)ほどで、背中には一対の[[コウモリ|蝙蝠]]のような翼を持ち、薄桃色の甲殻類のような姿をしている。渦巻き状の楕円形の頭にはアンテナのような突起物が幾つか生えている。鉤爪のついた手足を多数持ち、全ての足を使って歩行することも、一対の足のみで直立歩行することも出来る。



[[ ()|]][[]][[|]][[]]

無翼種は大型類人猿のような姿で、ヒマラヤの雪男として目撃される。さらに無翼甲殻種もいる。


== 活動 ==


[[]][[]][[]][[]]<ref>4[[]][[]]248-249</ref>


姿[[|]][[|]]{{|1927113|en|Great Vermont Flood of 1927}}使[[|]]

人間に手出しないのは単に採掘作業を優先しているからであり、必要以上に自分達に近づくものに容赦しない。しかし時には信頼できる人間を仲間に引き入れることもある。


月にもコロニーがあり、彼らと協力関係にある人間たちが地下都市で生活している。ここには[[シュブ=ニグラス]]の祭壇がある。


== 宗教 ==

さまざまな邪神を崇拝する。作者・作品によってバラバラで、定説がない。


『闇に囁くもの』では、[[ナイアーラトテップ]]とシュブ=ニグラスを信仰している描写がある。『[[銀の鍵の門を越えて]]』では[[ヨグ=ソトース]]を「彼方のもの」と呼び讃える。カーターは[[ハスター]]の奉仕種族とした。


ナイアーラトテップの神体である宝玉「輝くトラペゾヘドロン」をユゴス星から地球に持ち込んだのは彼らとも言われる。


== 社会・科学技術 ==


使使<ref name="Enc_Migo">2254-255</ref>


邪神の崇拝、身体改造を忌避しない点に代表される精神構造が人間と相容れない思想面であるとされている。このため利己的で人間と敵対的な種族として扱われる。


[[|]][[|]]<!--{{}}-->

しかし、実体は一般的な雪男のイメージからはかけ離れている。

体長は5フィート(約1.5メートル)ほどで、薄赤色の甲殻類のような姿だが、性質としては菌類に近い生物である。

体が通常とは異なる物質によって構成されており、直接見たり触れたりすることはできるが、写真等には写らない。

また、死亡すると数時間のうちに消滅してしまう。



一方、『[[アーカムそして星の世界へ]]』では、『[[ダンウィッチの怪]]』の裏側で[[ヨグ=ソトース]]を召喚しようと目論んだウェイトリー兄弟の野望に対する知恵を人類側に提供する、[[ハワード・フィリップス・ラヴクラフト|死の間際の若い紳士]]から脳髄を抜き取って宇宙旅行に送り出すなど、ある程度の一線と利害の一致さえあれば人類側に一定の恩恵をもたらす存在としても扱われている。

鉤爪のついた足を多数持ち、全ての足を使って歩行することも、一対の足のみで直立歩行することもある。

背中には一対の蝙蝠のような翼がついている。

この翼は[[エーテル (物理)|エーテル]]に対して作用する特殊なもので、大気中よりも宇宙での使用に適している。

生身の体のまま、宇宙空間での活動が可能であり、自身の翼で星々の間を行き来する。

しかし、もとの世界には光が存在しなかったため、光を苦手としている。



==デルタグリーン==

仲間同士では[[テレパシー]]で意思の疎通をおこなう。

[[テーブルトークRPG|TRPG]]『[[デルタグリーン]]』では科学者、兵士、労働者の3つの階級社会に分かれていると設定された。個体としては'''ヌガー=クトゥン'''(N'gha-Kthun)という指揮官が存在するらしい<ref name="Enc_Migo"/><ref name="Enc_Ngah">(第2版邦訳版)『エンサイクロペディア・クトゥルフ』293頁。</ref>。基本的に彼らは、5対の手足を持ち、科学者は最初の1対を手として使用する。兵士は必要に応じて翼などを増やすとされる。逆に労働者は翼や手足を減らす外科手術を受ける。

もともと様々な能力を備えているが、科学や医学も非常に発達しており、外科手術は頻繁におこなわれる。

通常はテレパシーを使用するため、発声器官はあまり発達していないが、手術により、他の種族とも会話ができるようになる。

また、生きたまま、脳を摘出し、特殊な円筒に入れて持ち運ぶということもおこなう。

このとき、元の体にも処理が施され、脳が戻るまで、老化することもなく生き続ける。



現在、[[アメリカ合衆国]]は、[[リトルグレイ]]と密約を交わし、人類の拉致などを容認する見返りとして様々な技術提供を受けているが、このリトルグレイはミ=ゴが[[インターフェース|対人インターフェース]]として創りだした[[ロボット]]であるとされている<ref name="t2">『[[デルタグリーン]]』(Pagan Publishing社)。</ref>。

初めて地球を訪れたのは人類誕生以前のことで、このときは、先住種族である[[古のもの]]を北方の地から駆逐している。



== 登場作品==

== ヌガー=クトゥン ==

*'''[[闇に囁くもの]]'''(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)

'''ヌガー=クトゥン'''(N'gha-Kthun)はミ=ゴの指揮官。<ref name="t">エンサイクロペディア・クトゥルフより</ref>

*[[アーカムそして星の世界へ]]([[フリッツ・ライバー]])

== 人間との関係 ==

*[[墳墓に棲みつくもの]](リン・カーター)


姿

*[[暗黒星の陥穽]](ラムジー・キャンベル)

1927年11月3日の[[アメリカ合衆国]][[バーモント州]]の記録的な大洪水の際には、氾濫する河川の中に奇妙な生物の死体が浮かんでいるのが目撃されている。

*{{仮リンク|エンサイクロペディア・クトゥルフ|en|Encyclopedia Cthulhiana}}ダニエル・ハームズ、初版1994、第2版1998邦訳有、第3版2008未訳)

この地方の山岳部には、それ以前から奇妙な足跡や気味の悪い声についての噂があり、ミ=ゴに関するものと思われる古い伝承も残っている。

*[[邪神帝国]]、[[弧の増殖]](朝松健)



人間に手出しをしないのは、単に採掘作業を優先しているからであり、必要以上に自分達に近づくものや、調べまわるものには容赦をしない。

しかし、時には信頼できる人間を仲間に引き入れることもあるらしい。

彼らに協力する人間は、見返りに様々な技術や知識の恩恵を受けることができるという。

== 脚注 ==

== 脚注 ==

【凡例】

*全集:[[創元推理文庫]]『ラヴクラフト全集』、全7巻+別巻上下

*クト:[[青心社]]文庫『暗黒神話大系クトゥルー』、全13巻

*真ク:[[国書刊行会]]『真ク・リトル・リトル神話大系』、全10巻

*新ク:国書刊行会『新編真ク・リトル・リトル神話大系』、全7巻

*定本:国書刊行会『定本ラヴクラフト全集』、全10巻

*新潮:[[新潮文庫]]『クトゥルー神話傑作選』、2022年既刊3巻

*新訳:星海社FICTIONS『新訳クトゥルー神話コレクション』、2020年既刊5巻

*事典四:[[東雅夫]]『クトゥルー神話事典』(第四版、2013年、学研)

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=== 注釈 ===

{{Reflist}}

{{Reflist|group="注"}}

=== 出典 ===

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[[Category:クトゥルフ神話の生物|みこ]]

{{クトゥルフ神話/作中事項}}

[[Category:架空の地球外生命体|みこ]]



{{DEFAULTSORT:みこ}}

[[en:Mi-go]]

[[Category:クトゥルフ神話の生物]]

[[fi:Mi-go]]

[[Category:架空の地球外生命体]]

[[it:Mi-go]]

[[ko:미-고]]

[[ru:Ми-го]]

[[th:มิ โก]]


2024年5月26日 (日) 00:44時点における最新版

ユゴス星の菌類生物:闇に囁くもの

=Mi-goFungi from Yuggoth

19302919318[1][2][3]

[]


姿

Abominable Snow-MenFungi from Yuggoth19312319362

Abominable Snow-Men

[4][5]

[]




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姿

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[6]

姿1927113使




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使使[7]




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TRPG3N'gha-Kthun[7][8]51使

[9]

[]










19942199832008


[]



  • 全集:創元推理文庫『ラヴクラフト全集』、全7巻+別巻上下
  • クト:青心社文庫『暗黒神話大系クトゥルー』、全13巻
  • 真ク:国書刊行会『真ク・リトル・リトル神話大系』、全10巻
  • 新ク:国書刊行会『新編真ク・リトル・リトル神話大系』、全7巻
  • 定本:国書刊行会『定本ラヴクラフト全集』、全10巻
  • 新潮:新潮文庫『クトゥルー神話傑作選』、2022年既刊3巻
  • 新訳:星海社FICTIONS『新訳クトゥルー神話コレクション』、2020年既刊5巻
  • 事典四:東雅夫『クトゥルー神話事典』(第四版、2013年、学研)

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 全集1、クト9、定本5、新潮1、など多数。
  2. ^ 事典四「クトゥルー神話の歴史●クトゥルー神話の誕生」、14ページ。
  3. ^ 新紀元社『クトゥルフ神話ガイドブック』30ページ。
  4. ^ (第2版邦訳版)『エンサイクロペディア・クトゥルフ』82頁。
  5. ^ (第3版)Harms, Daniel (2008). The Cthulhu Mythos Encyclopedia (3rd ed.). Elder Signs Press. p. 108 
  6. ^ 創元推理文庫『ラヴクラフト全集4』(大瀧啓裕訳)収録「狂気の山脈にて」248-249頁。
  7. ^ a b (第2版邦訳版)『エンサイクロペディア・クトゥルフ』254-255頁。
  8. ^ (第2版邦訳版)『エンサイクロペディア・クトゥルフ』293頁。
  9. ^ デルタグリーン』(Pagan Publishing社)。