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|名称=ローヌ川 |
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|画像=[[ファイル:Rhône, château de Beaucaire.jpg|300px| |
|画像=[[ファイル:Rhône, château de Beaucaire.jpg|300px|2002年2月20日撮影]]ローヌ川([[ボーケール (ガール県)|ボーケール]]・[[タラスコン]]付近) |
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[[ファイル:Rhone drainage basin.png|300px|ローヌ川流域]]流域地図 |
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|水源=サン=ゴタール山塊[[ローヌ氷河]]([[スイス]]・[[ヴァレー州]]) |
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[[File:Leman img 0573.jpg|thumb|right|upright|レマン湖に流れ込むローヌ川 2007年6月2日撮影]] |
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'''ローヌ川'''︵Rhône︶は、フランス4大河川の一つで、主として[[フランス]]南部を流れて地中海に注ぐ唯一の[[川]]であり、4大河川のうち唯一の[[男性名詞]]でもある。全長812kmのうち、フランス国内を流れるのは581kmである。フランスを流れる川としては長さ・流域面積とも屈指のものとなっている。
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[[File:Starry Night Over the Rhone.jpg|thumb|right|upright|[[ローヌ川の星月夜]] ゴッホ]] |
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'''ローヌ川'''︵ローヌがわ、{{lang-fr|Rhône}}、{{lang-de|Rhone}}、{{lang-it|Rodano}}、{{lang-*|frp|Rono}}、{{lang-oc|Rose}}︶は、[[スイス]]及び[[フランス]]を流れ[[地中海]]に注ぐ[[ヨーロッパ]]の[[川]]。
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== 概要 == |
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ローヌ(Rhône)の語源は[[ラテン語]]の'''ロダヌス川'''(flumen Rhodanus)であり、さらには古典[[ギリシア語]]の'''ロダノス'''(ροδανός ;Rhodanos)に遡れるが、これはケルト語の河川名''Roto''あるいは''Rodo''の音写と考えられている。 |
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[[スイス]]の{{仮リンク|サン=ゴタール山塊|en|Saint-Gotthard Massif}}[[ローヌ氷河]]に源を発し、[[レマン湖]]を経由して、フランス国内に入る。フランス国内では山脈に沿って大きく迂回しながら流れ、[[リヨン]]で[[ソーヌ川]]を合わせる。南へ流れを転じ、いくつかの支流を合わせ、[[アルル]]付近で二手に分かれて三角州地帯の[[カマルグ]]を形成し[[地中海]]に注ぐ。二手に分かれたあとの東側の流れをグラン・ローヌ、西側をプティ・ローヌと呼ぶ。
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フランスでは、[[セーヌ川]]、[[ロワール川]]、[[ガロンヌ川]]とともに4大河川のひとつに数えられ、そのうち地中海に注ぐ唯一の川であり、唯一の[[男性名詞]]でもある。全長812kmのうち、フランス国内を流れるのは581kmである。フランスを流れる川としては長さ・流域面積とも屈指のものとなっている。
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[[プロヴァンス]]地方の風物詩である北風「[[ミストラル]]」は、[[大西洋]]からフランス国土に流れ込み[[アルプス山脈]]にぶつかって方向を変え、この流域を[[地中海]]へ強烈に吹き降ろす。このとき、気温を10度近く下げ、歩くことも困難になるため、人々はひっそりとこの北風の怒りが収まるのを待つ。3の倍数日吹き続けるというこの季節風の対策として、プロヴァンスの古い家屋では北側に窓を設けないなどの工夫がされていた。 |
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ローヌ({{lang|fr|Rhone}})の語源は[[ラテン語]]の'''ロダヌス川'''({{lang|la|flumen Rhodanus}})であり、さらには古典[[ギリシア語]]の'''ロダノス'''({{lang|gr|ροδανός}} ;{{lang|la|Rhodanos}})に遡れるが、これはケルト語の河川名''Roto''あるいは''Rodo''の音写と考えられている。 |
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鉄道や飛行機が登場する前は、ローヌ川は物資の大動脈としてフランスの南北を結んでいた。例えば、[[ワイン]]がギリシア人によって最初にマルセイユに持ち込まれると、[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]率いる[[共和政ローマ|ローマ]]軍の進軍とカトリック修道院の繁栄ともに北に西に運ばれ、[[ブルゴーニュ]]や[[ボルドー]]といった名産地に伝播した。そのためこの流域には、[[プロヴァンス]]、[[コート・デュ・ローヌ]]、[[ブルゴーニュ]]とワインの産地が連なっている。
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[[プロヴァンス]]地方の風物詩である北風「[[ミストラル]]」は、[[大西洋]]からフランス国土に流れ込み[[アルプス山脈]]にぶつかって方向を変え、この流域を[[地中海]]へ強烈に吹き降ろす。このとき、気温を10度近く下げ、歩くことも困難になるため、人々はひっそりとこの北風の怒りが収まるのを待つ。3の倍数日吹き続けるというこの季節風の対策として、プロヴァンスの古い家屋では北側に窓を設けないなどの工夫がされていた。 |
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== 流路 == |
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[[ファイル:Rhone drainage basin.png|thumb|300px|ローヌ川流域]] |
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鉄道や飛行機が登場する前は、ローヌ川は物資の大動脈としてフランスの南北を結んでいた。例えば、[[ワイン]]がギリシア人によって最初にマルセイユに持ち込まれると、[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]率いる[[共和政ローマ|ローマ]]軍の進軍とカトリック修道院の繁栄ともに北に西に運ばれ、[[ブルゴーニュ]]や[[ボルドー]]といった名産地に伝播した。そのためこの流域には、[[プロヴァンス]]、[[コート・デュ・ローヌ]]、[[ブルゴーニュ]]とワインの産地が連なっている。
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[[スイス]]のサン=ゴタール山塊ローヌ氷河に源を発し、[[レマン湖]]を経由して、フランス国内に入る。フランス国内では山脈に沿って大きく迂回しながら流れ、[[リヨン]]で[[ソーヌ川]]を合わせる。南へ流れを転じ、いくつかの支流を合わせ、[[アルル]]付近で二手に分かれて三角州地帯の[[カマルグ]]を形成し[[地中海]]に注ぐ。二手に分かれたあとの東側の流れをグラン・ローヌ、西側をプティ・ローヌと呼ぶ。
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== 流量 == |
== 流量 == |
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ローヌ川の流量は春と秋に最大となり、夏に最小となる。冬はしばしば安定した流量を示すが、目立ったものではない。[[ボーケール (ガール県)|ボーケール]]における平均流量は毎秒1,900立方メートルであるが、増水したときには毎秒5,000立方メートルにもなる。正式な記録がつけられるようになってからの最高記録は2003年12月に示した毎秒14,000立方メートルである。
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ローヌ川の流量は春と秋に最大となり、夏に最小となる。冬はしばしば安定した流量を示すが、目立ったものではない。[[ボーケール (ガール県)|ボーケール]]における平均流量は毎秒1,900立方メートルであるが、増水したときには毎秒5,000立方メートルにもなる。正式な記録がつけられるようになってからの最高記録は2003年12月に示した毎秒14,000立方メートルである。
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== 生態系 == |
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中流部のレマン湖の流出部と{{仮リンク|ブルジェ湖|en|Lac du Bourget}}付近には[[ヨシ原]]や[[森林]]などの[[生態系]]があり、[[ホシハジロ]]や{{仮リンク|イシガイ属|en|Unio (bivalve)}}の[[二枚貝]]などが生息している<ref name=":0">{{Cite web |title=Le Rhône genevois - Vallons de l'Allondon et de la Laire {{!}} Ramsar Sites Information Service |url=https://rsis.ramsar.org/ris/506 |website=rsis.ramsar.org |access-date=2023-02-16 |date=2017-03-29}}</ref><ref>{{Cite web |title=Lac du Bourget - Marais de Chautagne {{!}} Ramsar Sites Information Service |url=https://rsis.ramsar.org/ris/1268 |website=rsis.ramsar.org |access-date=2023-02-16 |date=2003-02-02}}</ref>。河口部のカマルグには[[ラグーン]]、淡水の湿地と池、[[塩性湿地]]、[[塩湖]]、塩性草原、乾性草原、[[砂浜]]、[[砂丘]]、{{仮リンク|拠水林|en|Gallery forest}}など多様な生態系があり、{{仮リンク|アッケシソウ属|en|Salicornia}}などの[[塩生植物]]、[[水草]]、樹林を形成する{{仮リンク|セイヨウシロヤナギ|en|Salix alba}}と[[ギンドロ]]、[[スゲ属]]などの植物が生え、[[サギ科]]、[[カモ科]]などの多くの種類の鳥類が生息している<ref name=":1">{{Cite web |title=Carmargue/Delta du Rhone Biosphere Reserve, France |url=https://en.unesco.org/biosphere/eu-na/camargue |website=UNESCO |date=2019-04-10 |access-date=2023-02-16 |language=en}}</ref><ref name=":2">{{Cite web |title=Camargue {{!}} Ramsar Sites Information Service |url=https://rsis.ramsar.org/ris/346 |website=rsis.ramsar.org |access-date=2023-02-16}}</ref>。レマン湖<ref>{{Cite web |title=Rives du Lac Léman {{!}} Ramsar Sites Information Service |url=https://rsis.ramsar.org/ris/519 |website=rsis.ramsar.org |access-date=2023-02-16 |date=1991-04-08}}</ref><ref>{{Cite web |title=Les Grangettes {{!}} Ramsar Sites Information Service |url=https://rsis.ramsar.org/ris/504 |website=rsis.ramsar.org |access-date=2023-02-16 |date=2018-07-09}}</ref>、[[ジュネーヴ]]付近の本流および{{仮リンク|アロンドン川|fr|Allondon}}渓谷と{{仮リンク|エール川|fr|Aire (rivière de Genève)}}渓谷<ref name=":0" />、三角州のカマルグ<ref name=":2" />とカマルグ西側の{{仮リンク|小カマルグ|fr|Petite Camargue}}はそれぞれ[[ラムサール条約]]登録地となった<ref>{{Cite web |title=La Petite Camargue {{!}} Ramsar Sites Information Service |url=https://rsis.ramsar.org/ris/786 |website=rsis.ramsar.org |access-date=2023-02-16}}</ref>。また、1977年にカマルグは[[UNESCO]]の[[生物圏保護区]]に指定された<ref name=":1" />。
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== 歴史 == |
== 歴史 == |
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ローヌ川は、地中海と北部のヨーロッパを結んでいる唯一の流れである。ロードス島・フェニキア時代以来、人口と商品の循環において中心を成している。流域では、先史時代からの痕跡を見つけることができる。
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ローヌ川は、地中海と北部のヨーロッパを結んでいる唯一の流れである。ロードス島・フェニキア時代以来、人口と商品の循環において中心を成している。流域では、先史時代からの痕跡を見つけることができる。
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[[563年]]、[[レマン湖]]から5km上流の{{仮リンク|トレデュナム|fr|Tauredunum}}と呼ばれた地点で、ローヌ川に面した山腹が大規模に崩壊。土砂が湖へ流出すると[[津波]]が発生し、周辺の村々を飲み込む大災害となった({{仮リンク|トレデュナム・イベント|en|Tauredunum event}})<ref>{{Cite news |
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|url=https://www.afpbb.com/articles/-/2909622?ctm_campaign=outbrain |
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|title= 6世紀のジュネーブを襲った「湖の津波」、スイス研究 |
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|date=2012-10-29 |
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|accessdate=2014-11-16}}</ref>。 |
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== 支流 == |
== 支流 == |
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''下流より記載。<sup>*</sup>は右岸支流。括弧内は合流点。''
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''下流より記載。<sup>*</sup>は右岸支流。括弧内は合流点。''
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*[[ガルドン川]]<sup>*</sup>([[ボーケール (ガール県)|ボーケール]]) |
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*[[デュランス川]]([[アヴィニョン]]南付近) |
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*[[ウヴェーズ川]](アヴィニョン北付近) |
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*[[ドローム川]](la Drôme)([[ロリオル=シュル=ドローム]]付近) |
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*[[イゼール川]]([[ヴァランス]]付近) |
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== 脚注 == |
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== 外部リンク == |
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* [https://rsis.ramsar.org/ris/506 Le Rhône genevois-Vallons de l'Allondon et de La Laire | Ramsar] |
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* [https://www.myswitzerland.com/ja/destinations/waterland-switzerland/rhone.html スイス政府観光局:ローヌ川 ]{{ja icon}} |
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2024年4月12日 (金) 21:31時点における最新版
ローヌ川 | |
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流域地図 | |
延長 | 812 km |
平均流量 | 1,820 m³/s |
流域面積 | 95,500 km² |
水源 | サン=ゴタール山塊ローヌ氷河(スイス・ヴァレー州) |
水源の標高 | 1,753 m |
河口・合流先 | 地中海(フランス) |
流域 |
スイス フランス |
概要[編集]
スイスのサン=ゴタール山塊ローヌ氷河に源を発し、レマン湖を経由して、フランス国内に入る。フランス国内では山脈に沿って大きく迂回しながら流れ、リヨンでソーヌ川を合わせる。南へ流れを転じ、いくつかの支流を合わせ、アルル付近で二手に分かれて三角州地帯のカマルグを形成し地中海に注ぐ。二手に分かれたあとの東側の流れをグラン・ローヌ、西側をプティ・ローヌと呼ぶ。 フランスでは、セーヌ川、ロワール川、ガロンヌ川とともに4大河川のひとつに数えられ、そのうち地中海に注ぐ唯一の川であり、唯一の男性名詞でもある。全長812kmのうち、フランス国内を流れるのは581kmである。フランスを流れる川としては長さ・流域面積とも屈指のものとなっている。 ローヌ︵Rhone︶の語源はラテン語のロダヌス川︵flumen Rhodanus︶であり、さらには古典ギリシア語のロダノス︵ροδανός ;Rhodanos︶に遡れるが、これはケルト語の河川名RotoあるいはRodoの音写と考えられている。 プロヴァンス地方の風物詩である北風﹁ミストラル﹂は、大西洋からフランス国土に流れ込みアルプス山脈にぶつかって方向を変え、この流域を地中海へ強烈に吹き降ろす。このとき、気温を10度近く下げ、歩くことも困難になるため、人々はひっそりとこの北風の怒りが収まるのを待つ。3の倍数日吹き続けるというこの季節風の対策として、プロヴァンスの古い家屋では北側に窓を設けないなどの工夫がされていた。 鉄道や飛行機が登場する前は、ローヌ川は物資の大動脈としてフランスの南北を結んでいた。例えば、ワインがギリシア人によって最初にマルセイユに持ち込まれると、カエサル率いるローマ軍の進軍とカトリック修道院の繁栄ともに北に西に運ばれ、ブルゴーニュやボルドーといった名産地に伝播した。そのためこの流域には、プロヴァンス、コート・デュ・ローヌ、ブルゴーニュとワインの産地が連なっている。流量[編集]
ローヌ川の流量は春と秋に最大となり、夏に最小となる。冬はしばしば安定した流量を示すが、目立ったものではない。ボーケールにおける平均流量は毎秒1,900立方メートルであるが、増水したときには毎秒5,000立方メートルにもなる。正式な記録がつけられるようになってからの最高記録は2003年12月に示した毎秒14,000立方メートルである。生態系[編集]
中流部のレマン湖の流出部とブルジェ湖付近にはヨシ原や森林などの生態系があり、ホシハジロやイシガイ属の二枚貝などが生息している[1][2]。河口部のカマルグにはラグーン、淡水の湿地と池、塩性湿地、塩湖、塩性草原、乾性草原、砂浜、砂丘、拠水林など多様な生態系があり、アッケシソウ属などの塩生植物、水草、樹林を形成するセイヨウシロヤナギとギンドロ、スゲ属などの植物が生え、サギ科、カモ科などの多くの種類の鳥類が生息している[3][4]。レマン湖[5][6]、ジュネーヴ付近の本流およびアロンドン川渓谷とエール川渓谷[1]、三角州のカマルグ[4]とカマルグ西側の小カマルグはそれぞれラムサール条約登録地となった[7]。また、1977年にカマルグはUNESCOの生物圏保護区に指定された[3]。歴史[編集]
ローヌ川は、地中海と北部のヨーロッパを結んでいる唯一の流れである。ロードス島・フェニキア時代以来、人口と商品の循環において中心を成している。流域では、先史時代からの痕跡を見つけることができる。 563年、レマン湖から5km上流のトレデュナムと呼ばれた地点で、ローヌ川に面した山腹が大規模に崩壊。土砂が湖へ流出すると津波が発生し、周辺の村々を飲み込む大災害となった︵トレデュナム・イベント︶[8]。支流[編集]
下流より記載。*は右岸支流。括弧内は合流点。- ガルドン川*(ボーケール)
- デュランス川(アヴィニョン南付近)
- ウヴェーズ川(アヴィニョン北付近)
- アルデーシュ川*(ポン=サン=テスプリ付近)
- ドローム川(la Drôme)(ロリオル=シュル=ドローム付近)
- イゼール川(ヴァランス付近)
- ソーヌ川*(リヨン)
- アン川*
- アルヴ川(ジュネーヴ)